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配偶者ビザのスタンダードとは?配偶者ビザ対策のノーマル規範を解説!

配偶者ビザの解説のまとめ(ベーシックレベル)では解説し切れなかったスタンダード編としてご案内致します。配偶者ビザ申請で注意すべき落とし穴や、配偶者ビザが認められる結婚と認められない結婚、配偶者ビザのアプローチのうち成果に期待ができないものと、成果が豊富な手法、等でのポイント等を解説致します。

配偶者ビザ申請で注意すべき落とし穴

ベーシックレベルでは解説し切れなかったスタンダード編です。

ビザが切れた後に日本に滞在していたとき

ビザが切れた後に日本に滞在することは法令に違反します。この点、ビザが切れたときは、「出国するか、ビザの更新手続きをすればよい」と考えるのは、実は間違っており、ビザが切れたときは、「もう遅い」のです。ビザが切れた時点で「ビザの更新手続き」はもうできません。代わりに、「退去強制手続き」が開始されるのが原則になっており、「退去強制手続き」に入る前に逮捕されて有罪判決に至ることも普通に警察の実務では実施されています。

なお、難民認定申請者等については、申請内容等に応じ、ビザの更新申請をしていても、一方的かつ遡及的に不法滞在者の扱いになることが、現場で法令に基づいて実施されています。これは不許可になった場合に出国準備期間を付与せずに、在留期限経過後の不許可=即時不法滞在と扱うためです。在留期限ギリギリでの申請で審査中に在留延長扱いになることを「特例期間」と言いますが、不許可になったときに、前の在留期限につなぎで付与する扱いの出国準備期間は、難民認定申請者に限らず、どの案件でも必ず出るわけではないので、在留期限ギリギリでの申請には、注意が必要です。

オーバーステイと国際結婚

配偶者との同居がない場合に同居があるという内容で申請する場合

余り知られていないことですが、普通の配偶者ビザは同居を重要視しているため、新規申請で、配偶者との同居がない場合には、配偶者ビザは、(一般的には)許可されません。例えば「仕事の都合で今は別居です。」という理由で許可されるかと申しますと、必ずしもそうではありません。(但し、いかなる場合でも絶対に同居が必須不可欠ですという意味ではございません。)
このことをご存知なく、申請して不許可になってから気づくというケースが本当にあります。
そのような場合に、同居しているとか、同居の予定ですという内容で申請した場合、虚偽申請で犯罪となる場合があります。具体的には申請書で同居の趣旨で記載し、住民票でも同居となっているとき、実際は別居だとなれば、犯罪になる場合があります。
これについては、判例でも、配偶者ビザの核心部分は、

日本人の配偶者の身分を有する者としての活動を行おうとする外国人が「日本人の配偶者等」の在留資格を取得することができるものとされているのは,当該外国人が,日本人との間に,両性が永続的な精神的及び肉体的結合を目的として真しな意思をもって共同生活を営むことを本質とする婚姻という特別な身分関係を有する者として本邦において活動しようとすることに基づくものと解される。

※引用:最高裁判所平成14年10月17日第一小法廷判決・民集56巻8号1823頁

と判示されています。

この点、外国人の住民票は元々は外国人登録法から由来しており、虚偽登録への罰則や制裁が日本人よりも厳しいものとなっています。

配偶者ビザが認められる結婚と認められない結婚

配偶者ビザが認められる結婚と認められない結婚

日本のイミグレーションのルール上、配偶者ビザを申請するには、民法と戸籍法的な視点では、以下の条件が必要です。

配偶者ビザが認められる結婚とは

一般に、日本人と外国人の結婚については、日本の民法上、婚姻が成立している必要があります。但し、「日本の民法上、婚姻が成立している」の意味ですが、外国で婚姻が先に成立した場合には、実は日本の戸籍に報告的に届出していなくとも、日本法では既に婚姻成立になります。もっとも審査実務では日本の戸籍への反映が通例は必要です。戸籍への反映が間に合わない場合には、臨時的に婚姻届受理証明書で対応する場合もあります。

他方、外国人と外国人の結婚については、日本の民法上、又は、外国の法令(日本の民法にあたる法令)上、婚姻が成立している必要があります。

日本人と外国人の結婚については、日本の民法上、婚姻が成立している必要があるものの、相手側の外国では必ずしも外国の法令(日本の民法にあたる法令)上、婚姻が成立しているかどうかは常に必ず必須、という扱いではなく、相手側の外国での婚姻の要否は、最終的には個別の案件で審査官が総合的に決定します。このため、申請実務では当該場面での外国側での婚姻の必要性と手続きの難易度等を総合的に考慮して可能な範囲で準備することが行われています。これは相手国にも拠りますが、外国の制度上、日本での婚姻を反映できない国が多数あるためでもあります。

配偶者ビザは、先に日本で結婚しても、先に外国で結婚しても、同じ効果になる場合が多いため、当事者夫婦が一番やりやすい方法を総合的に選択する必要があります。

配偶者ビザが認められない結婚とは

本稿では、いくつかの重要なポイントに焦点を当てつつ、どのような結婚が認められにくいのか、ビザが認められない理由や、その背後にある法令と運用を明らかにします。

未婚、内縁のご夫婦は、配偶者ビザを申請することはできません。国や自治体によっては、内縁関係をパートナーシップ関係として法的な保護の対象とする場合がありますが、一般に配偶者ビザという場合には、法律婚での結婚が成立した夫婦を指します。

宗教婚だけのご夫婦は、配偶者ビザを申請することはできません。具体的にはムスリムでの宗教婚でいかに婚姻が成立しても、当該国での法律婚での結婚が成立しているか、又は、日本での婚姻が成立している必要があります。

同性婚のご夫婦は、一般に配偶者ビザを申請することはできません。同性婚は日本では法的に認められていないため、同性のご夫婦は配偶者ビザ申請が、現段階ではできません。LGBTQについては、今後変わっていく可能性があります。

不法滞在状況のご夫婦は、一般に「配偶者ビザを申請することはできません」と出入国在留管理局からは回答されます。これは配偶者ビザを「申請」することはできませんが、「国外退去が原則のため、退去強制手続きの中で審査されます」という意味です。但し、出入国在留管理局、及び、裁判所は「不法滞在状況で築かれた夫婦関係は法的保護に値しない」とか「不法滞在状況で同居を継続しており、日本人側の法令遵守意識にも疑義がある」などと指摘するのが公式見解となっているため、「配偶者ビザが認められない結婚」とまでは断定できないにせよ、結果的には、在留特別許可がなされず、「配偶者ビザが認められない結婚」になる場合は、現場では、存在します。

特に、既に退去強制令書が発付されてしまっているケースでは、そのまま在留継続を希望する場合、在留特別許可がなされず、「配偶者ビザが認められない結婚」になってしまう確率が「かなり高い」です。それではその場合に出国した場合に配偶者ビザが認められるかと言うと、退去強制令書の執行になりますので、本人の状況に応じ、5年拒否、10年拒否、永久(長期)拒否のいずれかになるというのが法令の規定であり、上陸特別許可は法務大臣の広汎な裁量権の行使という扱いになっています。

配偶者ビザのアプローチのうち成果に期待ができないものと、成果が豊富な手法

ベーシックレベルでは解説し切れなかったスタンダード編です。

配偶者ビザのアプローチのうち成果に期待ができないもの

本稿では、一般的に成功率が低い手法や、効果の薄いアプローチについて触れ、それらがなぜ効果が期待できないのか、どのような問題を引き起こすのか、みてまいりましょう。

見せ金を作る

表見上の資金は評価されず、出所を明らかにするように求められる場合もありますが、それ以前にそもそも「一般的な」配偶者ビザでは預貯金の残高の話は、拡散したフェイク・ニュースです。

パートナーシップ証明書の取得

結婚しているかどうかに関わらず、カップルは、パートナーシップ証明書を取得できることがありますが、日本のイミグレーション制度では、配偶者ビザについては、パートナーシップ証明書が特段の意味をもつことは、通例ございません。

相手方との連携ないしコミュニケーションを重視しないこと

国際結婚されたのに、コミュニケーションを重視しないというのがあるのでしょうか。「事実は小説よりも奇なり」で、何でもあるのが国際結婚の世界です。具体的には、配偶者ビザの申請では、相手方の過去の経緯や、離婚再婚がある場合にはその内容など、「国際結婚ではない世間一般の普通の夫婦であれば、敢えて話題にもしないようなパートナーの個人的な過去の話」を、相手から聞き出さないといけない場合があります。また案件によっては、入管に配偶者ビザを申請する前に本人の過去の記録を調べる場合もあります。
このような場合に、私たちは、コミュニケーション不足から、夫婦ケンカに発展、新婚で即時離婚に至ったケースを現に拝見しております。そこまで行くかはさておき、相手方とコミュニケーションが取れず、必要書類の収集にご協力いただけない場合は、配偶者ビザが認められない場合があります。
ではどうすればよいかですが、国際結婚の初期段階では、些細なコミュニケーション不足や言葉の壁から、相手との誤解に発展しがちです。配偶者ビザでの必須書類、あったほうがよい書類、無いほうがよい書類、全て理由があり意味があります。相手方になぜそれが必要なのか、なぜそれが要らないのかを、丁寧に説明することが重要です。また、相手方は、国際結婚の初期段階では、「自国の友人・知人の意見を日本人のパートナーの意見よりも優先しがち」です。これについては、信頼関係という国際結婚の核心部分に関わります。日頃から記念日等を大切にする、プレゼントやレストラン等を欠かさない、バレンタインデーや誕生日だけではなく、国際婦人デーなどその外国では重要な日もあるし、日本ではOKな花でも、外国ではNGな花もある等、相手の国の文化を学んで何が重要なのかを知る、そして、いつもありがとう、という意思を表示する等、丁寧なコミュニケーションはある意味、日本人同士、同国人以上に必要ではないでしょうか。

配偶者ビザのアプローチのうち成果が豊富な手法

本稿では、効果的なアプローチについて説明し、注意点やポイントについてみてまいりましょう。

健康のケア

配偶者ビザの申請では、健康であることの証明書は(日本のイミグレーションの場合は)要りません。しかし、お相手の国によっては、結婚するうえで、健康診断書が必要な国もあります。また、確かにご病気があっても、配偶者ビザの申請は可能ですが、「本体者」(例、日本人側)のご病気の程度と内容によっては、生計の安定性自体がなくなるか、又は少なくとも、生計の安定性等に「許可できないほどの疑義」が生じる場合があります。
さらに、案件によっては、配偶者ビザは「長期戦」になる場合もあります。「長期戦」では精神面でも身体面でも負担がかかります。
このように、健康管理をすることは、配偶者ビザをスムーズにするために関わります。

申請人の日本語力

一般的な日本の配偶者ビザの申請では日本語能力は実は必ずしも必要ではありません。現在の制度では、(一部のビザカテゴリーを除き)日本語試験は課されておらず、日本語能力試験(JLPT)のN3やN4等を持っていなければならないということでもありません。例えば、英語だけでコミュニケーションされていても、差し支えません。しかし、当事者夫婦が日本語で会話している場合に、申請人が日本語ができないとなりますと、婚姻の実態に疑義が生じる場合があります。
次に、配偶者ビザの申請では、日本語で面接されたり、日本語で電話インタビューされたりすることもあります。確かに、通訳がつく場合もあるのですが、(1)行政側が個々の外国人向けに国費を使って手配する通訳人は完璧なレベルとは到底言えずに普通に誤訳がある、(2)建前と現場は別であり、通訳がつかない場合も実際には存在する、(3)その結果、通訳の問題が不許可の要因になっている例が実際にある。以上の理由で、申請人の日本語力は、あるにこしたことがありません。
また、案件によっては、日本国内で在留継続しながら、長期間、配偶者ビザが許可されるのを待ち続けるケースもあります。このような場合、申請人は配偶者ビザが許可されていないのに、事実上、夫婦で日本で生活し続ける事例がありますが、日本語力がないと社会からも孤立しがちで、地域にも馴染めません。その結果、生活自体がストレスになり、夫婦不和の遠因になるケースもあります。そういった場合のお奨めは、地域の自治体の主催されている日本語教室や、大人でも参加できる「KUMON(くもん)」等です。地域の自治体の主催されている日本語教室は一般にあまり費用もかかりません。なお、ご予算がある場合には、一般の日本語学校という方法もあります。

安定した所得

配偶者ビザには、所得の安定性が必要です。所得は、正社員、契約社員、派遣社員、アルバイト、パート、請負、個人事業、会社役員等の形式を問いませんし、必ずしも日本国内の所得でなければならない、というわけでもありません。但し、立証可能な所得である必要があり、本人の主張のみでは認められません。このため、働いてはいるものの、それを十分に立証できない場合には、立証可能な勤務形態に変更したり、公的に証明可能な状況にすることが有効な対策となります。

配偶者ビザを取得するための年収額については、いくら、という数字だけがネットに拡散する例がありますが、絶対的な要件はございません。実際の現場では、(永住申請とは異なり)普通の社会人であれば新卒1年目でも通例は問題にはなりません。

また、出入国在留管理局は申請人が日本で生活するのに必要な「経済力」を求めます。この点、「社会的地位」は一見関係ありそうに見えますが、実際の申請現場では、あまり関係ないのが正直なところです。たとえば「社会的地位」がどんなに高くとも、収入0円ならば、その方は0円という意味です。
さらに、「将来の見通し」も、「空想」で考えれば、一見関係ありそうに見えますが、これも実務の現場では、あまり関係ないと言わざるを得ません。例えば、「今は0円だが、将来の見通しは非常によい」と本人が主張する場合は、その方は0円という意味になります。
この辺りの審査の実情は、金融機関の住宅ローンの審査に非常によく似ていますので、融資担当の職業の方であれば、よく理解できる話ではないでしょうか。

「資産」は、「社会的地位」や「将来の見通し」に比べれば、案件によっては、まだ関係はありますが、ほとんどの場合は、あまり気にする必要はありません。具体的には、ネットに拡散してきた経緯の「200万円以上の預貯金」等をはじめとする「残高証明書」系の話は、フェイクニュースが拡散しただけであって、配偶者ビザのプロの間では全く使われていません。

「日本人の配偶者等」のビザには、配偶者以外のビザもあることに注意

「日本人の配偶者等」のビザには、「等」の部分に「配偶者以外のビザ」もあります。
「日本人の配偶者等」という在留資格は、日本国民の配偶者、直系卑属、直系尊属、兄弟姉妹、その他の親族のうち、一部の範囲の親族のみを対象としています。具体的には、配偶者以外は、直系卑属、しかも「特別養子又は日本人の子として出生した者」を対象とすることができます。

日本人の配偶者若しくは特別養子又は日本人の子として出生した者

※引用:e-GOV法令検索

「日本人の子として出生した者」のことを日本のイミグレーション用語で「日系2世」と言います。ここでの「日系2世」には「元日本人」を含みます。「元日本人」たる「日系2世」の「配偶者ビザ」のことを、「定住者ビザ」で含めます。したがいまして、「元日本人」たる「日系2世」自身は、「日本人の配偶者等」のビザとなり、その配偶者ビザは「定住者ビザ」になります。
以上のように、同じ「日本人の配偶者等」のビザで表しても、内容は異なることを押さえておくことも、申請現場で戸惑ったり、書類不足に陥らないようにするために、大切なポイントです。

イミグレーション戦略での配偶者ビザの現在とこれからどうなるか

現在、どのような法的・事実的措置を講じても結婚できない夫婦や、結婚できても、配偶者ビザを取得できない夫婦が現実に多数存在します。

配偶者ビザについてのイミグレーションの考え方は年々異なります。しかし、同じ年度でも、地方入管のエリアや、たまたま担当した審査官で異なる、というのが、いつの時代にも共通の事項です。

したがって、審査担当官の考え方に合わせて行く、というのは、これからも大事なことです。

社会的意義からみる配偶者ビザ対策とは

配偶者ビザと似ている、家族関係に関するビザに「家族滞在」ビザがありますが、いずれも、夫婦や家族の間の国際間の移動(イミグレーション)を円滑にし、本来は多様性と経済発展を促進するための制度であると位置づけることができます。

多文化共生社会の推進には、制度や法令・通達・運用の問題だけでなく、社会全体の協力と理解が不可欠です。 そのためには、専門ではない方々への情報提供も重要であり、国、自治体、NGOと、私たちのようなイミグレーションコンサルタントが一体となって取り組み、多様性を受け入れる社会の発展に貢献することが重要だと考えております。

そして、個別の案件で、このような社会的意義がどのように生じるのかを審査担当官にお伝えして、理解を得ること。これが配偶者ビザ対策のまとめになるのではないでしょうか。

○配偶者ビザの申請のプロのサポートを利用したい場合

全般的な配偶者ビザの戦略立案から対策、各ケースの過去・現在・将来の分析まで対応しております!
イミグレーションコンサルタント兼行政書士のあさひ新日本は、プロフェッショナルなコンサルタントが、ビザ取得のための戦略をサポート致します。
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‡記事執筆‡イミグレーション戦略コンサルティングファーム行政書士あさひ新日本 代表 古川 峰光

‡記事執筆‡イミグレーション戦略コンサルティングファーム行政書士あさひ新日本 代表 古川 峰光

自身が国際結婚し、2万人以上の相談、20年以上の実績を有するイミグレーションコンサルタント兼行政書士。イミグレーション戦略の基盤となる渉外戸籍のマネジメント、在留資格のプログラム、来日後のライフステージに応じたサポート、永住権や国籍までの羅針盤になるようなコンサルテーションを実施。さらには、国際家族を形作ることに関わるアドバイザリー業務をコラボレーション。行政書士あさひ新日本は総合的なインバウンド・イミグレーションの真のコンサルティングサービスとしてご提案致します。

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