配偶者ビザで許可されるために必要な措置やアクションにつき、本稿では、お約束事項、進め方、安全対策等を解説致します。
「何からまず始めたらいいかわからない」というイメージもあり、お相手の方が、海外にいたり、日本にいたり、短期滞在ビザや留学だったり、技能実習だったり、難民申請をしていたり、何のビザなのかわからなかったり、そもそもビザがあるのか、仮放免って何?自分も海外にいる場合は誰が申請すればいい?等々、途方に暮れている方も少なくないのではないでしょうか。
そこでこの記事では、今からすぐチャレンジできる対策と、初めての方でもわかるシンプルな配偶者ビザのイミグレーション知識について、具体的に解説していきます。
まず実施するべき配偶者ビザの事前準備
○ビザないし在留資格のカテゴリーをチェックする
お相手の方の、過去~現在~今後のビザないし在留資格のカテゴリーをチェックします。
日本で働いたり、勉強する、生活するための在留資格ないしビザには、多様なカテゴリーが法令や通達等で設定されています。結婚を前提に日本で生活する、あるいは、日本にイミグレーションする場合は、お相手の方がどのようなビザ・カテゴリーに該当するのかを確認しておくことが大切です。また、日系人夫妻の方は「本体者」にもビザが必要になるので、夫婦両方ともビザが必要です。
具体的には、
入管法別表第一
一
外交
公用
教授
芸術
宗教
報道二
高度専門職
経営・管理
法律・会計業務
医療
研究
教育
技術・人文知識・国際業務
企業内転勤
介護
興行
技能
特定技能
技能実習三
文化活動
短期滞在四
留学
研修
家族滞在五
特定活動入管法別表別表第二
永住者
日本人の配偶者等
永住者の配偶者等
定住者
※引用:e-GOV法令検索
となっています。
なお、法務省の入管庁のホームページでは、古いカテゴリーのpdfファイル等がそのまま残っていた経緯がありますので、入管庁のホームページでも古いものと新しいものと、きちんと見分けて利用することが大切なポイントです。特に、日本政府の在外公館のホームページや、駐日外国大使館・総領事館のホームページは、あまりアップデートされていないものが多く(とりわけその国にとっての「外国語版」がそうです。)、内容が現在のものなのかを、一個一個きちんとチェックして使うことが(本業ではない方はなおさら)必須です。
本人の現在の状況を正確に分析し正しく把握する
配偶者ビザ申請前に、申請人の過去から現在までの状況を、時系列で、正確に分析し正しく把握する必要があります。
本人確認書類のチェック
国際結婚手続きと配偶者ビザは別の手続きですが、両者は連動しています。
したがって、申請人の身元確認書類、パスポートないし旅券や渡航証明書の記載内容と有効期限、出生証明書、離婚証明書、結婚証明書等を確認することが推奨です。パスポートの有効期限が少ない場合は更新する必要があります。また、国際結婚する場合には、日本人側の戸籍に記載する外国人側の姓がカタカナになる国の場合には、ある程度、好みの表現にすることができますので、事前にパートナーと相談して決めておくと、後々までスムーズです。
なお、配偶者ビザ申請には、有効な身分証明書やパスポートが、原則は、必要です。しかし、状況によっては、パスポートないし旅券を用意できないケースもあり、本人の状況でパスポートないし旅券を用意できない場合にも配偶者ビザ申請が可能なことがありますので、あきらめずに取り組むことが大切です。
在留期間や履歴の確認
また、過去に入国歴がある場合や申請人が既に在留している場合は、申請人の日本での残りの在留期間と、過去の出入国履歴を正確に確認することも必要です。配偶者ビザでは過去の出入国履歴の入国と出国の年月日や回数、当時の在留の目的、COE申請の場合にはCOE申請の履歴の回数や不交付歴等を正確に書かなければならない欄もあります。他方、申請人の日本での過去の滞在期間が長ければ、長いほど、出入国在留管理局からの信用が高くなるのかという点については、これは、長いほど入管に様々な記録と情報も累積することから、必ずしもそうではないため、過去のビザの種類、申請履歴、不許可履歴、婚姻関係等の身分の変遷、在留状況等を総合的に(時系列で)確かめることがポイントです。
外国人側の所得の証明書の確認
所得の証明書が扶養者(経費支弁者)につき、必要なのは勿論です。しかし、申請人が既に在留している場合は、扶養者(経費支弁者)だけではなく、申請人自身の所得の証明書の内容を確認しておいたほうがよい場合が多いです。
具体的には、掛け持ちのアルバイト等で28時間等の制限を超過した就労をしていないかどうか、在留資格で指定された活動内容とは異なる就労をしていないか、さらには、課税対象のレベルのアルバイトないし就労をしているのにそれに相当する所得の証明書がない場合には脱税していることになるので違法ではないか、等に関わるためです。
アルバイトの場合は、本人が意識してなくとも、アルバイト先で税務申告して所得合算されている場合もあります。また、今後のイミグレーションの方向性では、国税・地方税・年金・公的医療保険等の各種納税や、本人が事業者である場合には厚生年金の強制適用等の事業者としての公的義務につき、これまで以上に求められていくことが予想されます。
したがって、このような部分を日本人側などの「本体者」が、きちんと把握しておくことで、その後の永住申請で、いつも申請できるわけではない「チャンス」を逃さないようにでき、申請人本人の意識改革もできるという副次的な効果もあります。
まとめ
このように、申請人の身分証明書、出生証明書、在留資格、在留期間、などを確認し、同時に本人が過去~現在まで保管しているイミグレーション関連資料を点検し、かつ、既に廃棄してしまったり、元々保管していなかった資料は、本人から聴き取りを行うことで、申請人の過去と現状を正確に把握することが大事なポイントです。
配偶者ビザの許可=出入国在留管理局の考え方に合うようにする
出入国在留管理局の具体的な評価基準や判断基準は、公表されていません。このため、申請人は、出入国在留管理局がどのような事実と証拠を評価するのか、どのような場合に法律上及び事実上のペナルティ対象となるのか、並びに、その考え方に従って審査及び行動するのかを予測しなければなりません。
配偶者ビザについては、婚姻の信憑性(Credibility)・継続性(Continuity)・成熟性(Maturity)・安定性(Stability)を立証しつつ、出入国在留管理局が定めるガイドラインを遵守することで、配偶者ビザを申請する際の許可率を高めることができます。
この中では、出入国在留管理局が最も重要視している信憑性(Credibility)を中心に、各要素が認められることが望ましいと言えます。
配偶者と申請人夫妻の信憑性(Credibility)
信憑性(Credibility)の立証とは「関係性」を示すことだとも言えます。
申請人は、初めて知り合った時期、場所や結婚までのいきさつや、紹介により知り合われた方は、紹介されたいきさつから説明することで、そのような関係があることを立証することになります。
また、今後の計画や夫婦の結婚生活の実績などを具体的に示すことも大事なポイントです。
このようにして、配偶者と申請人との間に愛情や信頼が存在することが、審査上も大切です。
配偶者ビザの在留資格の該当性と実態の証拠提出
在留資格の該当性、婚姻の実態を証明する書類の提出が、配偶者ビザを申請する際のポイントとなります。
配偶者が日本国籍または永住者である外国人は、配偶者ビザを申請することが可能です。
別の言葉で言えば、日本国籍または永住者である配偶者がいることが必要です。
そして、以下のような婚姻及びその実態を証する書類が必要です。
コンタクト情報
申請人と配偶者の連絡先が必要です。具体的には、携帯番号や電子メールアドレスなどです。オンライン申請では、電子メールが必須になりますが、Gmail、Hotmail等のうち国外のメールサーバには届かない事例があったと法務省から公表されていますので、今後も国内メールがお奨めです。
結婚証明書
外国で先に成立した婚姻の場合は、外国政府発行の婚姻証明書(翻訳付き)が必要ですが、日本人との結婚の場合は戸籍があるので、日本の市区町村が発行する婚姻が反映された戸籍全部事項証明書も必要です。
日本国内で先に成立した婚姻の場合は、日本の市区町村が発行する婚姻が反映された戸籍全部事項証明書が必要で、申請人の国籍国(外国)の機関から発行された結婚証明書は可能な場合に準備致します。
住民票
市区町村が発行する住民票が必要です。但し、夫婦両方とも海外に長期居住している場合で、申請人夫妻が同時に来日を希望するときには、日本人との結婚の場合でも日本人に住民票がない場合もあります。そのような場合は、COEであれば、日本人の親族の住民票を代わりに用いてCOEを申請することができるなど、裏技が色々ありますので、形式的に書類の要件を満たさないように見える場合でも、あきらめずに取り組むことが大切です。
共同生活をしている(共同生活する予定である)等の交流実態を証する書類
スナップ写真、SNS記録、通話記録などの証拠書類の提出があります。
まとめ
出入国在留管理局は、証拠書類を含め、入管側が既に持っている申請人に係る過去から現在までの一連の情報と、入管が実施する関係各機関等への調査の結果、面接、電話、聴き取り、等の諸般の事情を総合的に考慮し、配偶者ビザ発給の可否を決定します。
このように、配偶者ビザ申請においては、在留資格の該当性と実際の関係性を示す証拠の提出がポイントになります。申請当事者は、証拠資料を適切に準備し、提出することが期待されています。
出入国在留管理局の変化で意味が薄くなった配偶者ビザ対策とは
入管の動向で影響力が薄れたり、意義を失ったりした配偶者ビザ対策をみてまいりましょう。
出生証明書の準備
以前は、配偶者ビザを取得する上で、婚姻証明書に加えて、出生証明書も一般には必要でした。しかし、現在では出生証明書の提出は、デフォルトでは必須化されておりません。但し、外国の出生証明書は日本で言えば戸籍全部事項証明書のようなものです。無関係ではないうえ、リクエストに至るケースもあるので、事前に点検しておくべき書類です。
日本語学習の証明
配偶者ビザを取得するために、昔は日本語学習に係る資料を出していたケースが、現在よりも現場で見ることが多かったと言えます。ただ、現段階では、語学力証明資料の提出は一般的な案件での配偶者ビザでは、あまり重要ではなくなっています。
源泉徴収票
かつて、イミグレーションでは、源泉徴収票が非常に重視されていたことがありました。現在は源泉徴収票ではなく、住民税の証明書が重要視されています。ですから、住民税にきちんと反映されるような仕事をしていることが本来のポイントです。
本人と会っている回数
本人と会っている回数は多いにこしたことはありません。配偶者ビザでは質問書にも現地に何回渡航しているかを問う欄もあります。しかし、現時点でのイミグレーションは、本人と会っている回数を昔ほどは重視しなくなってきていると言えます。ですから、本人と会っている回数が少ない国際結婚カップルでもチャンスはありますので、あきらめずに取り組むことが大切です。
まとめ
配偶者ビザの取得に向けては、以上の要点を押さえたアクションが不可欠です。
これらのステップを踏んで、配偶者ビザを申請するためのプロトコルに従えば、ビザ取得の可能性は高まります。
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