配偶者ビザの申請書のフォームは、主に、在留資格認定証明書交付申請書、在留資格変更許可申請書、出入国在留管理局での質問書、査証申請書、在外公館での質問書、等に分かれます。データについては、正確無比かつ明確に記載する必要があります。ここでは記載内容のポイントを解説致します。
基本概念・基本用語編
配偶者ビザの申請手続きには、申請手続き中に遭遇する様々な基本的な概念や専門用語があります。
本稿では、申請手続きを進める上で正確に理解する必要がある用語や概念について詳しく説明します。
申請人とは
イミグレーション用語では「申請者」ではなく、「申請人」と言います。
「申請人」とは在留資格に係る申請を行う本人のことで、必ず外国人です。
「申請人」をサポートするスポンサーの側を「本体者」と言います。
「本体者」は日本人か外国人のいずれかです。
日本人の配偶者が配偶者ビザを取得する場合には、「本体者」は日本人側の配偶者です。
申請人に関するデータ
申請人のIDを確認するため、申請人の氏名、生年月日、性別、国籍、職業、本国における居住地、出入国歴、申請履歴等を記載する必要があります。
在留資格の種類
日本人との結婚の場合は、「日本人配偶者等」の在留資格を選択し、申請する在留資格を特定する必要があります。
「本体者」の配偶者のデータ
申請人の配偶者(日本人や永住者等=本体者)の氏名、生年月日、性別、国籍、住所等を記載する必要があります。
結婚と家族のデータ
現在の婚姻関係を把握するために、配偶者や申請人の結婚歴と離婚歴や家族の詳細(具体的には親兄弟姉妹)、などを詳しく記載する必要があります。
生計維持能力のデータ
申請人と申請人の配偶者が日本での生活費等の経費を支弁できるデータを記載する必要があります。
申請理由のデータ
質問書等では、申請人の結婚の実態や在留状況などを詳しく記載する必要があります。
まとめ
以上のように、申請人夫妻は、当事者として、このような事項等を適切に記載し、不備がないことを確認し、具体的な事情と具体的な予定を説明の上、申請を希望する背景、理由を詳細に説明し、審査官に許可の必要性を明確に示すことが大切なポイントです。
個々の記載項目の書き方のポイント編
用語の説明だけでなく、これらが申請手続きにどのように関連しているのかもご紹介します。
最後に、効果的な申請プロセスを行うために、重要な概念や用語をどのように使用するかをサジェスト致します。
申請人の氏名
昔は漢字圏の国の場合は漢字でしたが、現在は国籍・地域に関わらず、申請書には、英字で記載致します。
スウェーデン語の「Å」等、英文字と類似していても英字に引き直すと異なるスペル(例、「AA」等)になる言語があります。旅券の写真欄下部の機械読み取り用コードでの氏名記載が正しい英字ですので、注意が必要です。
申請人の出生地
一般的にパスポートに記載されている出生地と一致します。パスポートに記載されている出生地情報がわかりにくい場合には、出生証明書等で重ねて確認致します。帰化申請と異なり、丁目番地まで書く必要は、通例ありません。出生地は(普通は)一生変更がない、不変の情報になります。
申請人の職業
申請人が無職の場合は、「無職」になります。なお、申請人の職業は、ビザ申請の審査において、生計能力や在留活動の状況を評価する際に参考となる一要素です。
入国予定年月日
具体的な日付を記載する趣旨ですが、正確な日付が未定の場合は、できるだけ入国予定日に近い日付を記載します。なお、在留資格認定証明書交付申請の場合、在留資格認定証明書の有効期間内に入国する必要があります。
滞在予定期間
日本の場合には、配偶者ビザは永住許可ではなく、最初から永住申請はできない仕組みですが、この欄には希望する期間を書いて差し支えない扱いです。なお、希望に関わらず、入管側で、在留期間は職権で設定されます。配偶者ビザは定期的に更新する必要があり、有効期限は通常、最初はしばらく1年となります。更新審査の結果、3年になる場合があります。
同伴者の有無
在留資格認定証明書交付申請の場合、申請人とともに日本に入国しようとする同行者の有無の趣旨です。例えば、配偶者ビザで申請人の子どもが同行する場合は、申請書にその旨を記載します。同伴者がいる場合は、同伴者と申請人の関係の記入も推奨されます。申請人の子どもにも在留資格が新規に必要な場合には、通例は別途、「同時申請」をすることになります。日本のイミグレーションでは、子どもでも申請書は別途に必要であり、外国の旅券の一部に見られるような、旅券に子どものデータを付記するような扱いはございません。
査証申請予定地
配偶者ビザの申請書の査証申請予定地は、申請人がどの日本の在外公館(日本国大使館、総領事館)で査証を申請するのかの予定地の趣旨です。申請人の居住国・地域の中でもエリアによって、在外公館の管轄が決まっています。管轄外への在外公館には(原則として)配偶者ビザの査証申請はできません。
以上のため、事前に当該国・地域の中での在外公館の管轄を確認しておく必要があります。
なお、申請人が国籍国ではない国に居住中の場合には、申請人が当該国で所持する外国のイミグレーションでの滞在資格(VISA)によっては、日本行きの査証申請がそのエリアではできない場合もあり、これも在外公館での可否を確認しておく必要があります。
過去の出入国歴の回数
在留資格認定証明書交付申請の場合、申請人がこれまで(出生~現在まで)に日本に入国し、出国した履歴を記載する欄です。
再入国許可での入国かどうかに関わらず、物理的な出入国回数を言います。
なお、第三国の外国への出入国情報は現段階では、求められていません。但し、在外公館で配偶者ビザの査証申請を行う場合は、申請人が所持するパスポートの内容も点検致します。したがいまして、パスポートの内容のうち、いわゆる人定事項以外のページも、事前に把握し、第三国の外国への出入国情報も把握しておくことが望ましいです。
直近の出入国歴
再入国許可での入国かどうかに関わらず、物理的な直近の出入国歴を言います。
過去の在留資格認定証明書交付申請歴・申請回数・不交付回数
具体的には、配偶者ビザに限らず、在留資格の種類(例:技能実習、留学など)に関わらず、在留資格認定証明書を申請した履歴を言います。在留資格認定証明書は制度上、本人ではなく、日本の企業や教育機関が申請していることが多いです。その結果、本人が認識しないまま、申請&不交付になっているケースもあり、確認しておく必要があります。
なお、申請書に記載するデータが入管の(コンピュータに入っている)認識と異なる場合には、それ自体が審査上、マイナスになる場合もあり、そのため、慎重かつ正確なチェックを怠らないことがポイントです。
犯罪を理由とする処分を受けたことの有無 (日本国外におけるものを含む。)※交通違反等による処分を含む。
日本国内のものは勿論ですが、申請人の国籍国や第三国で受けた刑事処分も含まれます。なお、外国政府から日本政府に犯罪情報が通知されるケースもあります。
退去強制又は出国命令による出国の有無
自主的に出国しており、全く身柄拘束を受けていない場合でも、オーバーステイで出国したときは、これに該当します。
婚姻の日本国届出先
配偶者ビザの場合、婚姻に関する情報を記載します。申請人とその配偶者が日本政府に婚姻の届出をした場合は、婚姻の届出をした市区町村名、または在外公館名を記載します。なお、婚姻が外国で先に成立した場合、日本政府への直接の届出先は、その国にある日本の在外公館か、日本の市区町村のいずれかになります。
婚姻の本国等届出先
申請人とその配偶者が、申請人の本国又は第三国において婚姻の届出をした場合の、その届出先の国又は地域の政府機関名を言います。
国際結婚手続きは、技術的難易度は格段に上がりますが、第三国でも可能な場合がありますので、必ずしも日本やお相手の国でしなければならないとの固定観念にとらわれる必要はありません。
但し、配偶者ビザの申請では、日本人との結婚では、少なくとも日本の戸籍で婚姻が反映されることが必要です。
婚姻の本国等届出先の届出年月日
一般に、外国側の婚姻証明書に書いてある日付が参考にはなりますが、その国、地域、政府機関によって、「届出日」、「登録日」、「証書発行日」、「年月日は記載項目自体がない」等、全くバラバラです。
ただ、合理的に特定可能な各々の日付を夫婦できちんと確認しあっておくことも大切です。
申請人の日本における勤務予定先
配偶者ビザは、就労ビザとは異なり、申請人の日本における勤務予定は義務ではないため、本体者(例、日本人側配偶者)に経費支弁能力がある限り、必須ではございません。
滞在費支弁方法の欄の月平均支弁額
水道光熱費、衣服費、通信費、食費、地代家賃、医療費、交通費、家財道具購入費、子どもの監護養育費等、日本で賄う予定の必要な生活費を合算したものです。
配偶者ビザで在留する場合の日本での基本的な生活費をカバーする金額であり、本体者(例、日本人側配偶者)が働いている場合は、その収入も含めて記入することがポイントです。
初めて知り合った時期
配偶者ビザ申請での、出会いの時期や経緯に係る情報は、出入国管理局が、関係性を判定するために使用されます。そのため、できるだけ正確な記載が必要です。
もっとも、正当な理由があって具体的な日付が思い出せない場合は、年月程度でも差し支えないのが通例です。
例えば、「2023年4月」といった形です。
初めて知り合った場所
初めて会った具体的な場所を記載することになるのが通例です。
例えば、国名、都市名、場所を言いますが、「場所」には、インターネット、友人宅、職場、教育機関等が含まれます。
具体的には、オーストラリアの大学で留学中に出会った場合には、「オーストラリア、***市*****大学」、といった具合に書きます。
また、例えば、LINEで出会った場合には、「LINE」と書くこともできます。
これも配偶者ビザ申請では審査上、非常に重要ですので、できるだけ正確な記載が必要です。
初めて会ってから結婚届を出されるまでのいきさつを、年月日を示しながら、できるだけ詳しく記載
これは出会いから婚姻届を提出するまでのプロセスを、具体的な日付とともに詳しく説明します。
具体的には、例えば、2023年4月1日に、初めて会った場合、
○2023年4月1日の初めて出会った場所と方法を記載。例えば、友人との飲み会で出会った、SNSで出会った、等。
○例えば、2023年6月に初デート、2023年9月にお互いの家族と初対面等、出会ってから二人の付き合いで起こった出来事や二人の関係の発展を記載。
○プロポーズを受け入れて2023年12月に結婚することにした等の婚姻を決めたタイミングや手段。
○2024年3月に披露宴を行い、2024年4月に結婚届を届出した等の結婚準備中の重要な出来事。
これらも、配偶者ビザ申請の審査で重要な要素ですので、可能な限り正確な記載が求められます。
まとめ
以上のように、配偶者ビザ申請では、証拠書類を作成する際にも、いくつものポイントがあります。
例えば、必要な情報を詳細に記載し、事実に基づく情報と全体像を把握すること。
そして、夫婦の出会いや交際の経過について、具体的かつ正確に記載しましょう。
また、各項目を記入する際には、一致性と連続性のある情報を記載するよう注視しましょう。
その上で、申請書類と申請内容を立証する証拠書類も不足がないことを確認します。
各種証明書などがこれにあたります。
また、申請人と配偶者がよく意思疎通をとり、「記録・資料・数値・情報・詳細・事実関係・記憶」等に間違いがないかを確認することも大切です。
そして、申請内容に鑑み、用意した書類で立証可能かどうかを判断し、配偶者ビザで在留を予定する時期から、審査現場での審査にかかる時間を予測し、逆算したタイミングまでに提出するようにしましょう。遅滞しないように、予想される障害を考慮に入れつつ、タスクを分割して段階的に進めることがポイントです。
さらに、申請直前の最終段階で、もう一度、書類が正しく記載されているか、不整合性や間違いがないかを確認します。
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