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(旧)就学ビザの法務Q&A

ここでは、現在のカテゴリーの在留資格「留学」のうち、以前のカテゴリーでの在留資格「就学」の中の日本語学校の部分のことも「就学ビザ」との旨で表現しており、主に日本語学校向けの在留資格の入管での歴史を記録するうえで記載しております。現行の扱いの意義を知るためには歴史を学ぶ必要があるためです。したがいまして、現在の扱いとはやや異なりますので、予めご了承下さいませ。

INDEX タップできる目次
  1. (旧)就学ビザの法務Q&A
    1. Q1: 就学ビザとは、どのようなものですか?
    2. Q2: 就学ビザの要件(基準)は何でしょうか?
    3. Q3: 典型的にはどういうかたがこのビザを取得するのですか?
    4. Q4: 私は、日本語学校で2年間勉強してきました。さらに大学への進学を考えていますが、就学ビザのままでよいですか?
    5. Q5: 就学ビザで働けますか?
    6. Q6: この度、資格外活動許可をもらいました。私の友人の留学生の話によると、留学生は資格外活動許可を得れば、週28時間以内なら働けると聞きました。そこで、私も今度、週末の金土日に3日、1日当たり8時間、働く予定ですが、私も日本の学校で勉強するビザをもらってますから、かまわないですよね?
    7. Q7: 資格外活動許可を取らないで働いていたのですが、ビザの更新のときに、アルバイトはしていないと申告したら、ビザの更新が不許可になりました。現在短期ビザに変更して帰国するように言われています。どうすればいいですか?
    8. Q8: 就学ビザの更新が不許可になりましたが、何が何でも日本にいたいのですが?
    9. Q9: 就学ビザの更新が不許可にならないようにするにはどうすればいいですか?
    10. Q10:興行の履歴のあるフィリピン人やロシア人等が日本語学校への就学を希望する場合、何に注意すべきでしょうか。

(旧)就学ビザの法務Q&A

就学ビザの法務に関して、専門の移民法律家がQ&A形式でお答え致します。

Q1: 就学ビザとは、どのようなものですか?

A1: 就学ビザとは、本邦の高等学校(中等教育学校の後期課程を含む。)若しくは盲学校、聾学校若しくは養護学校の高等部、専修学校の高等課程若しくは一般課程又は各種学校(この表の留学の項の下欄に規定する機関を除く。)若しくは設備及び編制に関してこれに準ずる教育機関において教育を受ける活動、のためのビザないし在留資格です。
あまり聞き慣れないかもしれませんが、留学ビザとは別ものです。
また、「就学」は「就労」とは何の関係もありません。

Q2: 就学ビザの要件(基準)は何でしょうか?

A2: 就学ビザは、以下が基準です。

1.申請人が本邦の高等学校(定時制を除き、中等教育学校の後期課程を含む。以下、この項において同じ。)若しくは盲学校、聾学校若しくは養護学校の高等部、専修学校の高等課程若しくは一般課程又は各種学校若しくは設備及び編制に関してこれに準ずる教育機関に入学して教育を受けること(専ら夜間通学して又は通信により教育を受ける場合を除く。)。

2.申請人が生活費用を支弁する十分な資産、奨学金その他の手段を有すること。ただし、申請人以外の者が申請人の生活費用を支弁する場合は、この限りでないとされます。

3.申請人が高等学校において教育を受けようとする場合は、年齢が20歳以下であり、かつ、教育機関において1年以上の日本語の教育又は日本語による教育を受けていること。ただし、我が国の国若しくは地方公共団体の機関、学校法人又は公益法人の策定した学生交換計画その他これに準ずる国際交流計画に基づき生徒として受け入れられて教育を受けようとする場合は、この限りでないとされます。

4.申請人が専修学校の高等課程若しくは一般課程又は各種学校において教育を受けようとする場合(専ら日本語の教育を受けようとする場合を除く。)は、次のいずれにも該当していること。ただし、申請人が外国から相当数の外国人を入学させて初等教育又は中等教育を外国語により施すことを目的として設立された教育機関において教育を受ける活動に従事する場合は、イに該当することを要しない。
イ  申請人が法務大臣が告示をもって定める日本語教育機関において六か月以上の日本語の教育を受けた者、専修学校若しくは各種学校において教育を受けるに足りる日本語能力を試験により証明された者又は学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する学校(幼稚園を除く。)において一年以上の教育を受けた者であること。
ロ  申請人が教育を受けようとする教育機関に外国人学生の生活の指導を担当する常勤の職員が置かれていること。

5.申請人が設備及び編制に関して各種学校に準ずる教育機関において教育を受けようとする場合(専ら日本語の教育を受けようとする場合を除く。)は、当該教育機関が法務大臣が告示をもって定めるものであること。

6.申請人が専修学校の高等課程若しくは一般課程、各種学校又は設備及び編制に関して各種学校に準ずる教育機関において専ら日本語の教育を受けようとする場合は、当該教育機関が日本語教育施設の教育条件等について審査等を行うものとして主務大臣が認定した事業を実施する者により審査等を受けている日本語教育施設で法務大臣が告示をもって定めるものであること。

Q3: 典型的にはどういうかたがこのビザを取得するのですか?

A3: いわゆる日本語学校で日本語を勉強しようとするかたが該当します。なお、この場合の「日本語学校」とは大学とは別ものです。日本には「就学ビザ」が認められるこの「日本語学校」がたくさんあります。

Q4: 私は、日本語学校で2年間勉強してきました。さらに大学への進学を考えていますが、就学ビザのままでよいですか?

A4: その場合、留学ビザになります(ちなみに一部の日本語学校では、初めから「留学」の在留資格です。)。なお、就学ビザでは、家族滞在ビザで長期間妻子を呼ぶことはできず、短期ビザになりますが、留学ビザになれば家族滞在ビザを使える点で、家族を長期間呼ぶことができます。また、就学ビザで短期で妻子を呼んでも、短期では難民等以外、「資格外活動許可」は原則として、許可されませんから、働けませんが、家族滞在ビザならば、資格外活動許可は得られますから、働けることになります。

Q5: 就学ビザで働けますか?

A5: そのままでは働けません。資格外活動許可が必要です。

Q6: この度、資格外活動許可をもらいました。私の友人の留学生の話によると、留学生は資格外活動許可を得れば、週28時間以内なら働けると聞きました。そこで、私も今度、週末の金土日に3日、1日当たり8時間、働く予定ですが、私も日本の学校で勉強するビザをもらってますから、かまわないですよね?

A6: 同じ日本で勉強するビザをもらっていても、留学ビザと就学ビザではかなり違います。その友人の話をうのみにしないでください。就学ビザの場合は、「1日当たり4時間」に制限されています。ですから、1日8時間あなたが働いていたら、次回の更新時に不利に扱われて不許可になったり、入管法違反で国外退去になってもあなたは文句を言えません。日本の入管法も、法律や省令や告示や通達に細かく規定がありますから、十分に法律を勉強してください。また、判例や明文になっていない先例も勉強する必要があります。

Q7: 資格外活動許可を取らないで働いていたのですが、ビザの更新のときに、アルバイトはしていないと申告したら、ビザの更新が不許可になりました。現在短期ビザに変更して帰国するように言われています。どうすればいいですか?

A7: 不許可理由の調査が必要ですが、通常、そのアルバイトが原因です。その場合、「虚偽申請」+「資格外活動」でかなり厳しい状況です。原則として、帰国するほかないとみてください。たとえ、日本語学校等での授業が残っていても同じです。但し、例外的に特段の事情がある場合は、就学ビザを認められることもあります。それには、これまでの違反の態様とそれへの反省、本人の学業への姿勢と実績、身元保証人の保障能力や今後の指導監督等の諸般の事情が総合的に考慮されます。そして、こうした事情を審査官に分かりやすいように説明する書類を作らねばなりません。この点、この場合も立証責任はあなたの側にあり、審査官からは何も言われませんので、ただ待っているだけではあなたは帰国することになるだけです。入国管理局は本来、厳格な役所です。

Q8: 就学ビザの更新が不許可になりましたが、何が何でも日本にいたいのですが?

A8: 逃亡するようなことをした場合、たとえば5年間(出国命令制度が適用されれば1年)、日本への入国を禁止されます。また、仮に5年が経過したとしても入国はなんら保障はされておらず、ブラックリストには載っています。またこの5年間は日本人と結婚したところで、その配偶者ビザの発給もかなり制限されます。ですから、むしろ、更新不許可を予防する予防法務が重要です。

Q9: 就学ビザの更新が不許可にならないようにするにはどうすればいいですか?

A9: 更新時には、出席率や成績も審査の対象になります。特に在籍管理の甘い学校ほど、厳しく審査されますので、ご自分の学校が入管にどのように見られているのかには、注意しておくべきでしょう。つまり、あなたの友人の学校とは違うこともあり得ます。

Q10:興行の履歴のあるフィリピン人やロシア人等が日本語学校への就学を希望する場合、何に注意すべきでしょうか。

A10:これはデリケートな問題です。トラブルを嫌って門前払いする学校も多く、また、仮に学校が入学許可を出しても、入管で不許可にされることが多いです。あさひ新日本総合法務事務所では、従来から、この場面の問題につき、多くの依頼を受け、最適な日本語学校を調査し、申請資料の準備を支援する業務を行って来ました。その感想として、入管だけではなく、日本語学校への対応もケアしなければならず、「一筋縄ではいかない。」という印象です。
このサイトをご覧の方は「全部自分でやりたい」とお考えの方も多いでしょうから、以下に要点と心構えの一部をボランティアで書いておきます。非常に特殊な問題ですので、日本でここにしか書いてありませんし、日本で最初にこのテーマを書いたのもこのサイトです。

[興行>就学の要点と心構え(抜粋)]
第一 最初から志望動機とトラブル内包を疑われています。かなり有名な日本語学校でお断りされます。
第二 一期に一回しか申請できません。一期逃すと次期にずれ込んでしまいます。たとえば、1月生に間に合うよう、申込み、不許可になったとします。ところが、不許可になって対応を考えているうちに、「では4月生に申し込もう。」と考えたとき、既に12月になっていて、4月生は締め切りとなり(入管では、4か月くらい前に締め切り。学校ではその15日ほど前に締め切ることが多い。)、7月生、学校によっては、翌10月生です。そこが、即時にリトライ可能な就労とは異なります。ですので、一発勝負のようなところはあり、最初の日本語学校選びと申請資料の履歴書や理由書等の準備が重要となります。
第三 日本語学習歴等に注意してください。現在、フィリピン人やロシア人等は中国人並みに厳しく審査されているわけではありませんが、興行の履歴があるときは、特別に準備するべきです。
第四 短期でのプログラムも前提条件として検討するべきです。
第五 日本語学校によって、話の内容がかなり食い違います(原因は、その日本語学校の知識レベルと、方針の差異による。)。たとえば、短期プログラムでの受け入れの可否、実績作り目的での短期の利用の可否、履修見込み証明書での就学の申請の可否、1月生、7月生の有無、短期在留時の認定交付による変更申請の採否、等々です。不親切な学校やあまり熱心でない学校(案外、学校法人に多い。株式会社経営のほうがむしろ柔軟。)の場合、余計な一時帰国を要求し、ロシアまでの往復航空券が無駄にさせられたり、進学の時期が大幅に遅れます(最大で半年以上、ずれます。)。ですので、どの学校を選ぶかにかなりの労力を要します。全く知識と経験の無い日本人のスポンサーが自分で探した場合、よい学校を見つけるのに仕事を休んで1週間つぶすと思います。
第六 日本語学校には、通常、興行での履歴のある学生の受け入れのノウハウはありません。初めから敬遠していることと、元々、その履歴のある志望者数も少ないためです。ですから、履歴書や各種の理由書(説明書)、経費支弁書の類は、本来、特別な配慮が必要なのに、普通の志望者と同じように事務的に処理するだけのため、不許可を誘発しています(日本語学校の経営上、個別の志願者に特別に配慮することはしない方針です。)。
第七 経費支弁の経緯は注意することです。たとえば、本人との関係を「友人」とするケース=ただの友人では、現在の入管は納得しません。
第八 興行の履歴を故意に抜かして経歴を書いたり、出演店等、色々虚偽を記入して申請する人が多いですが、露見した場合、以後、虚偽申請者として、日本へ来れなくなることでしょう。また、本人が虚偽の経歴を書いているつもりはなくても、過去の興行のときのプロモーターが勝手にデタラメな経歴で認定の申請をしていたり、さらには、「もう興行(タレント)はやめる。」と言っておいたはずなのに、勝手に興行で申請され、それが就学の申請と同時申請で重複し、それで不許可になるなど、トラブルに枚挙に暇もありません。過去の申請書の履歴書の卒業や就業年月日と、数字が一字違っても不許可です。それぐらい入管では信用されていません。
第九 学生の国籍の構成にも注意が要ります。フィリピン人やロシア人はごく少数なので、長期間通うことを考える必要があります。たとえば、東京近辺でもごく少数、ロシア人を多く受け入れしている学校もあります。
第十 興行では、いったん帰国するのが原則です。よって、ダイレクト変更は困難です。但し、プロモの同意書を得たときは別途に検討する価値は大きくなるでしょう。

‡記事執筆‡イミグレーション戦略コンサルティングファーム行政書士あさひ新日本 代表 古川 峰光

‡記事執筆‡イミグレーション戦略コンサルティングファーム行政書士あさひ新日本 代表 古川 峰光

自身が国際結婚し、2万人以上の相談、20年以上の実績を有するイミグレーションコンサルタント兼行政書士。イミグレーション戦略の基盤となる渉外戸籍のマネジメント、在留資格のプログラム、来日後のライフステージに応じたサポート、永住権や国籍までの羅針盤になるようなコンサルテーションを実施。さらには、国際家族を形作ることに関わるアドバイザリー業務をコラボレーション。行政書士あさひ新日本は総合的なインバウンド・イミグレーションの真のコンサルティングサービスとしてご提案致します。

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