結婚ビザとは、外国人が日本人や永住者などと結婚し、日本で生活するために必要なビザを意味します。このビザは、国際結婚をした夫婦が一緒に日本で暮らすことができるようにするためのもので、一般に就労も許可されます。結婚ビザの取得には、一定の条件や手続きが必要です。
本記事では、結婚ビザの必要書類や条件、難易度、期間などについて詳しく解説します。また、日本人の配偶者ビザとの違いの有無や、手続きにおける注意点、収入要件に関する情報なども説明します。
これを読むことで、結婚ビザに関する全ての情報を把握し、手続きをスムーズに進めることができるでしょう。
- 【5分でわかる】結婚ビザ取得の必要書類一覧と入手方法
- 日本の結婚ビザの取得条件とは?
- 結婚ビザの難易度は?
- 結婚ビザの審査期間と在留期間とは?3年の期間の条件は?
- 結婚ビザと配偶者ビザの違い
- 結婚ビザのまとめ
- 結婚ビザ取得のためのプロフェッショナルなサポートを求める方
【5分でわかる】結婚ビザ取得の必要書類一覧と入手方法
結婚ビザを取得するためには、いくつかの重要な書類が必要です。この章では、申請に必要な書類の一覧と、それらの書類を用意する際の注意点を解説していきます。これらの書類は、ビザ申請の成功に大きく関わるため、丁寧に準備しましょう。ものすごくシンプルに言えば、以下の通りです。
なお、外国人同士の結婚ビザの場合、「日本人」を外国人の場合に読み替えて下さい。
- 申請書 1通
- 写真(縦4cm×横3cm) 1枚
- 配偶者(日本人)の方の戸籍謄本(全部事項証明書) 1通
- 申請人の国籍国(外国)の機関から発行された結婚証明書 1通
- 日本での滞在費用を証明する資料
- 配偶者(日本人)の身元保証書 1通
- 配偶者(日本人)の世帯全員の記載のある住民票の写し 1通
- 質問書 1通
- 夫婦間の交流が確認できる資料
- 返信用封筒 1通
- パスポートの提示
- 在留カードの提示
- その他
但し、これだけでは不足する場合や、オーバーステイや在留特別許可の問題も存在します。以下では、様々な要注意事項を詳細に説明しますので、最後まで目を通すことを強く推奨します。
在留資格認定証明書交付申請書を経由して結婚ビザを取得する場合
在留資格認定証明書交付申請書は、外国人が結婚ビザを取得するために必要な書類の一つです。具体的には、以下のような申請書です。
※引用: 法務省出入国在留管理庁
申請人がまだ日本に入国していない場合、この書類を使って在留資格(ビザ)を取得するための認定を受ける必要があります。この書類には、申請人の基本情報、申請人の配偶者である日本人の情報、両者の結婚に関する情報などが記載されます。
申請人が在留資格認定証明書交付申請書を提出し、審査が通った場合、在留資格認定証明書が交付されます。この証明書を持って申請人は日本大使館や領事館で結婚ビザの発給を受けることができます。
在留資格変更許可申請書で結婚ビザを取得する場合
在留資格変更許可申請書は、すでに日本に滞在している外国人が結婚ビザに変更するために提出する必要がある書類です。申請人が留学ビザや就労ビザなど別の在留資格で日本に滞在している場合、結婚を機に配偶者ビザに変更する必要があります。例えば、次のものが、在留資格変更許可申請書です。
※引用: 法務省出入国在留管理庁
この書類には、申請人の基本情報、申請人の配偶者である日本人の情報、両者の結婚に関する情報などが記載されます。書類を提出し、審査が通った場合、申請人の在留資格が結婚ビザに変更されます。これにより、申請人は日本での配偶者としての生活を継続することができます。
在留期間更新許可申請書で結婚ビザを取得する場合
在留期間更新許可申請とは、日本に滞在している外国人が結婚ビザの在留期間を延長するために行う手続きです。前の配偶者と離婚し、別の配偶者と再婚する場合にも、在留期間更新許可申請が必要です。留期間更新許可申請書は次のものです。
※引用: 法務省出入国在留管理庁
ただし、再婚の場合は新規審査が行われるため、在留資格変更許可申請に準じた資料が要求されます。これには、新しい配偶者との結婚証明書、戸籍謄本(全部事項証明書)などが含まれます。
再婚に伴う在留期間更新許可申請では、新たな家庭状況や経済基盤が審査対象となります。申請に際しては、新しい配偶者との関係や生活状況を証明できる書類を揃えることが重要です。
写真(縦4cm×横3cm)
結婚のお相手の顔写真です。指定されたサイズ・規格のものを用意してください。多少サイズが違っても受付はされます。写真は近時に撮影されたものであることが求められます。具体的には、以下の条件の、
- 申請前3か月以内に撮影
- 正面から撮影
- 無帽、無背景の写真
- 鮮明な写真
※引用: 法務省出入国在留管理庁
が必要です。また、写真の裏面に申請人の氏名を記載し、申請書の写真欄に貼り付ける必要があります。この写真は、入国審査官が申請人の身元を確認するために使用されます。また、在留資格認定証明書の顔写真や、在留カードの顔写真にも印刷されます。結婚ビザと他のビザとで規格は同じで、共通サイズになります。
配偶者(日本人)の方の戸籍謄本(全部事項証明書)
「配偶者(日本人)の方の戸籍謄本(全部事項証明書)」は、結婚ビザ申請に必要な書類の一部です。
この戸籍謄本は、申請人と日本人配偶者の結婚が正式に登録されていることを証明するために使用されます。したがって、申請人との婚姻事実が記載されていることが必要で、結婚直後で戸籍に記載前の場合は、戸籍謄本と併せて婚姻届出受理証明書の提出も必要です。
戸籍謄本と戸籍全部事項証明書は同じです。市区町村役場や出張所で取得することができます。
申請書類として提出する際は、
発行日から3か月以内のもの
※引用: 法務省出入国在留管理庁
となります。
申請人の国籍国(外国)の機関から発行された結婚証明書
「申請人の国籍国(外国)の機関から発行された結婚証明書」も、結婚ビザ申請に原則として使う書類です。
申請人の国籍国の公的機関が発行した結婚証明書である必要があります。したがって、宗教婚の証明書だけでは足りません。
この結婚証明書は、申請人と日本人配偶者の結婚が申請人の国籍国でも正式に認められていることを証明するために使用されます。結婚証明書は、申請人の国籍国の市役所や登録機関で取得することができます。
この点、法務省では、
申請人が韓国籍等で戸籍謄本が発行される場合には、お二方の婚姻が記載された外国機関発行の戸籍謄本の提出でも差し支えありません。
※引用: 法務省出入国在留管理庁
とありますが、現在の韓国は一般的には『婚姻関係証明書』を使います。台湾は戸籍があります。
中国は『居民戸口簿』のことを戸籍と言う場合もありますが、住民票の性質を兼ねたもので、日本の戸籍とは全く違います。中国の場合は、一般に『結婚証』などを使います。
ベトナムは、現地政府発行か、又は、駐日ベトナム大使館・総領事館発行の結婚証明書を使います。
他の国も考え方は同じです。
これらの結婚証明書が日本語でない場合は、翻訳文書が必要となります。その際、翻訳者が翻訳内容を正確であることを保証する翻訳証明書を添付する必要は、必ずしも必要ありません。
相手の国によっては、日本で先に結婚した場合、この結婚証明書の取得ができない場合もあります。その場合は正当な理由があれば、それのみを唯一の理由として、不許可になることはありません。
日本での滞在費用を証明する資料
日本人配偶者又は申請人の収入などを証明する書類です。日本人配偶者又は申請人の収入証明書や税証明書などを提出します。主に、
申請人の滞在費用を支弁する方の直近1年分の住民税の課税(又は非課税)証明書及び納税証明書(1年間の総所得及び納税状況が記載されたもの)
※引用: 法務省出入国在留管理庁
が必要ですが、給与明細や源泉徴収票、確定申告書、預貯金通帳の写し、雇用予定証明書又は採用内定通知書(日本の会社発行のもの)なども適宜に利用できます。結婚ビザは日本で生活するビザですので、申請人夫妻が経済的に能力があることを示す目的で使用されます。
これらの証明書は、申請人の滞在費用を支弁する方の収入や納税状況を確認するために使用されます。これにより、申請人が日本で生活するための費用が十分に賄われることが確認できます。
住民税の課税(または非課税)証明書と納税証明書は、支弁する方が、毎年1月1日現在に住民登録していた市区町村役場で取得することができます。発行日から3か月以内のものが必要です。
配偶者(日本人)の身元保証書
「配偶者(日本人)の身元保証書」も、結婚ビザの申請で使う書類です。この書類は、申請人(外国人配偶者)の身元を保証するために、日本に居住する配偶者(日本人)が記入・署名するものです。
身元保証人には、申請人の配偶者(日本人)がなることが求められます。この書類は、申請人が日本で適切な行動をとることや滞在費用を配偶者が保証するという意味があり、申請審査の際に重要な役割を果たします。
出入国在留管理局の結婚ビザ申請で使う身元保証書は特有のものであり、以下のようなものです。
※引用: 法務省出入国在留管理庁
但し、「保証」とは書いてありますが、民法上の賃貸借の保証人とは異なり、民事上の債務を負うことはありません。
配偶者(日本人)の世帯全員の記載のある住民票の写し
日本人側配偶者が既に日本で住民票がある場合、住民票の写しを提出します。但し、在留資格認定証明書交付申請で同時に入国予定で、日本の親族の名義で申請するときは、その親族の住民票を使います。住民票で住所や世帯員の情報が記載されていることが確認できます。記載内容は、
個人番号(マイナンバー)については省略し、他の事項については省略のないもの
※引用: 法務省出入国在留管理庁
が条件です。具体的には、世帯主や本籍、筆頭者も抜かさないように注意しましょう。
また、結婚ビザでは同居が原則となりますので、住民票で同居となっているか、外国人側が住民登録済の場合には確認しましょう。
結婚ビザに固有の書類: 質問書
質問書は、結婚ビザの在留資格認定証明書交付申請や在留資格変更許可申請の際に、出入国在留管理局が申請人ないし配偶者から提出を求める書類です。質問書は、申請人の経歴や家庭状況、配偶者との関係などに関する詳細な情報を提供することを目的としています。
質問書には、以下のような項目が含まれることが一般的です。
- 申請人および配偶者の基本情報(氏名、国籍、住所など)
- 配偶者の職業に関する情報
- 申請人と配偶者の出会いや交際期間、結婚の経緯などに関する情報
- 申請人と配偶者の家族構成や親族関係
- 申請人と配偶者の共同生活に関する具体的な情報(使用言語、渡航歴など)
例えば、次のようなものです。
※引用: 法務省出入国在留管理庁
この質問書には、正確で詳細な情報を記入することが求められます。不正確な情報や不十分な記載があると、在留資格認定証明書や在留資格変更許可が遅れたり、不許可になる場合があります。
夫婦間の交流が確認できる資料は結婚ビザの核心部分の一つ
夫婦間の交流が確認できる資料は、出入国在留管理局が申請人と配偶者の関係の真実性を確認するために求められる書類です。この資料は、結婚ビザに特有の書類で、申請人と配偶者の間に実際の交流があることを示す証拠として提出されます。
スナップ写真
写真は夫婦間の交流や共同生活の様子が伺えるものが好ましいです。具体的に求められているものは、
スナップ写真(お二人で写っており、容姿がはっきりと確認できるもの。アプリ加工したものは不可。) 2~3葉
※引用: 法務省出入国在留管理庁
となっています。
その他: 以下で提出できるものがあれば、追加で提出することとなっています。
SNS記録
夫婦間の交流が分かるFacebookやInstagramなどのSNSの投稿履歴やコメントなど。これによって、夫婦間のコミュニケーションや共有している出来事が確認できます。
通話記録
電話やメッセージアプリの通話履歴など。これによって、夫婦間で定期的に連絡を取り合っていることが証明できます。
これらの資料は、夫婦間の実際の交流や関係性を示す証拠として重要です。偽装結婚や不適切な目的での結婚ビザ取得を防ぐため、出入国在留管理局は提出された資料を慎重に審査します。そのため、申請時には正確で具体的な情報を提供することが求められます。
返信用封筒
在留資格認定証明書交付申請の場合のみの書類です。その場合でも、在留資格認定証明書をemailで受け取る場合には必要ありません。
パスポート 提示
有効期限が切れていないことを確認しましょう。在留資格認定証明書交付申請の場合には必須ではありません。但し、
提出が可能な場合には申請時に旅券(パスポート)の写しを併せて御提出ください。
※引用: 法務省出入国在留管理庁
となっています。このように申請人の旅券(パスポート)の写しを提出する場合、顔写真や身分事項、有効期限が記載されているページの写しを提出します。
在留特別許可で結婚ビザを希望する場合は必須ではありませんが、遅くとも手続きの途中で作成することになるのが通例です。
在留カード 提示
在留カードとは、外国人が日本国内で在留する際に、出入国在留管理庁から交付される身分証明書です。このカードには、在留資格、在留期間、住所などの情報が記載されています。具体的には、次のものが在留カードです。
※引用: 法務省出入国在留管理庁
在留カードは、結婚ビザの申請でも、在留資格認定証明書交付申請の場合には必要はありません。また在留資格変更許可申請の場合でも、短期滞在や、難民認定申請中の期間の短い特定活動などからの変更申請でも、必要はありません。なぜなら在留カードがないためです。
在留特別許可の場合には、在留カードを持っている場合にのみ必要です。
その他の結婚ビザで使う可能性のある書類とは?
結婚ビザの申請には、上記で挙げられた書類のほかにも、以下のような追加書類が必要とされることがあります。
過去の離婚証明書:
過去に離婚歴がある場合、その事実を証明するために必要な書類です。これには、離婚証明書や、離婚が成立した旨を示す法的文書(例えば、離婚判決書)などが含まれます。
子どもの出生証明書:
申請者と配偶者との間に外国籍の子どもがいる場合で、その子どもも同時にビザ申請する場合です。
申請者と配偶者の共同生活証明書類:
申請者と配偶者が共同生活を送っていることを証明する書類。これには、賃貸契約書、公共料金明細書などが含まれます。主に在留特別許可の場合の書類です。
犯罪経歴証明書:
申請者が犯罪歴がないことを証明するための書類。申請者の国籍国の警察機関が発行するものです。現在のところ、日本では、
在留資格「定住者」(外国人(申請人)の方が日系3世である場合)
申請人の犯罪経歴証明書(本国の機関から発行されたもの)
※引用: 法務省出入国在留管理庁
などの場合に、『犯罪経歴証明書』を使う場合があります。
しかし、結婚ビザの場合は、一律に求めると差し支えが生じるため、主に上陸特別許可の場合の書類です。
上陸特別許可は在留資格認定証明書交付申請の中で進めます。
理由書
結婚ビザ申請において、『理由書』とは申請人が日本で結婚ビザを取得する目的や背景を詳細に説明するための書類のことです。『結婚経緯書』などと言う場合もあります。通常、理由書は申請書類の一部として提出され、審査官が申請人の状況を理解し、在留資格を判断するために使用されます。
理由書は決まった書式はありませんが、出入国在留管理局で伝統的に使用されてきた書式には以下のものがあります。
この理由書には必要に応じ、一般的には以下の内容を含めることが推奨されます。
- 申請人と日本人配偶者との出会いや交際の経緯:
どのようにして出会い、どのような交際を経て結婚に至ったのかを具体的に記述します。 - 結婚生活に関する計画:
日本での生活についての具体的な計画や将来の目標を説明します。例えば、住居や就労予定、子どもがいる場合の教育計画などです。 - 申請人の日本での生活費や収入に関する情報:
申請人が日本での生活費をどのように賄う予定であるか、また収入源についても明記します。 - 申請人が日本での生活に適応できる理由:
言語能力や日本文化への理解、過去の訪日経験や日本での生活経験など、申請人が日本での生活に適応できる理由を具体的に説明します。
理由書を作成する際は、正確で具体的な情報を提供し、虚偽の記述を避けることが重要です。また、審査官が理解しやすい文章で書くことが望ましいです。理由書は申請の審査に大きく影響するため、丁寧に作成することが成功の鍵となります。
まとめ
これらの追加書類は、申請人や配偶者の個別の状況によって必要になることがあります。
具体的には、難易度や案件の複雑度によって書類はさらに追加されることに注意しましょう。
以上のように、結婚ビザ取得には、様々な書類が必要です。それらは、外国の政府機関や日本の市区町村等で入手できます。書類は正確かつ最新のものを揃え、手続きをスムーズに進めることが重要です。
また、現在、オンライン申請のほうが、一般的により早く審査されます。書類の準備が整ったら、オンライン申請に取り組んでみましょう。
日本の結婚ビザの取得条件とは?
日本の出入国在留管理局での結婚ビザを取得するための条件は以下の通りです。
申請人と配偶者(日本人)の婚姻関係が法的に成立していること
申請人と配偶者(日本人)の間には、日本の法律に基づく正式な婚姻関係がある必要があります。同様に、申請人の国籍国の法律でも原則として成立している必要があります(例外: 申請人の国籍国の法律上、不可能な場合など、正当な理由がある場合。)。
なお、現在のところ、日本人との同性婚では結婚ビザ取得はできません。
夫婦関係が安定的に継続し信憑性があることは結婚ビザのポイント
結婚ビザは、実際に夫婦関係が安定的であり、かつ、継続していることを前提としています。したがって、安定性や信憑性がないと、結婚ビザの新規取得の条件を満たさないことがあります。同様に、離婚や死別などで夫婦関係が終了した場合、結婚ビザの更新はできません。また、離婚しない場合でも、破綻している場合には、更新の条件を充足せず、更新ができなくなる可能性があります。
生計を維持できる収入があること
申請人または配偶者(日本人)のどちらか一方が、日本での生活費を賄うための十分な収入ないし資産を持っていることが求められます。これには、給与や貯金、年金などの収入が含まれます。
【参考知識】結婚ビザで必要な収入はいくら?
結婚ビザ取得に必要な収入は、申請人またはその配偶者(日本人)が安定した生活を送ることができる程度の収入が求められます。具体的な金額は明確に定められていませんが、一般的には年収240万円程度以上を目安としても、大きな間違いではありません。しかし、収入がより低い場合でも、貯金や他の資産や事情があれば、ビザ取得が可能な場合もあります。
申請人夫妻が日本に居住しているか、又はその予定があること
結婚ビザは、日本国内での生活を前提としているため、申請人夫妻が日本に居住していることが、原則として、必要です。在留資格認定証明書交付申請で夫婦同時に帰国する場合には、その予定での申請となります。このように結婚ビザは許可の「必要性」も条件になります。
違反歴、犯罪歴、ビザの条件違反歴などの問題がないこと
申請人が過去から現在までの間に法律違反歴や犯罪歴などの致命的な問題がないことが求められます。また、入管法違反や過去のビザの条件違反なども問題となる場合があります。これを結婚ビザの審査における「相当性」の条件といいます。
『在留資格の変更,在留期間の更新許可のガイドライン』は結婚ビザにも適用
これらとは別途に、在留資格変更許可申請と、在留期間更新許可許可申請では、入管の『在留資格の変更,在留期間の更新許可のガイドライン』があります。それによれば、
- 行おうとする活動が申請に係る入管法別表に掲げる在留資格に該当すること
- 法務省令で定める上陸許可基準等に適合していること
- 現に有する在留資格に応じた活動を行っていたこと
- 素行が不良でないこと
- 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
- 雇用・労働条件が適正であること
- 納税義務を履行していること
- 入管法に定める届出等の義務を履行していること
※引用: 法務省出入国在留管理庁
が必要です。これらは在留継続の基本的な条件として、結婚ビザの場合にも一定範囲で関わります。
他方、在留資格認定証明書交付申請は、基本的に日本にいない場合の申請ですので、このガイドラインは直接適用はありません(準用される場合はあります。)。在留特別許可の場合も参考にされることはあります。
結婚ビザ取得の条件を備えていることを「自ら立証」できること
出入国管理及び難民認定法第7条第2項では
条件に適合していることを自ら立証しなければならない
※引用: e-GOV法令検索
と規定されています。結婚ビザに限らず、一般にビザ申請では、このような考え方です。
これは、たとえば、裁判で何かを主張する場合に自分で証拠を揃えて主張・立証しなければならないのと同じ趣旨で、立証責任が本人にあるという意味です。したがって、条件を備えていても、主張・立証できなければ、証拠なしで事実を認定することは困難になります。
まとめ
これらの条件を満たしていれば、結婚ビザの取得が可能です。ただし、それぞれの条件を証明するためには、結婚証明書や収入証明書などの書類が必要です。また、申請時の審査には個別の事情が考慮されるため、必ずしもすべての申請許可されるわけではありません。
結婚ビザ取得に向けて適切な準備を行い、条件を満たすことが重要です。これにより、スムーズにビザ取得ができ、日本での生活を始めることが可能になります。
結婚ビザの難易度は?
結婚ビザの難易度は、申請人の状況や提出する書類の準備状況によって異なります。以下に、結婚ビザ取得の難易度に関連するいくつかの要素を挙げます。
書類を揃えるうえでの難易度
結婚ビザの申請には多くの書類が必要ですが、それらを適切に揃えることができれば、申請の難易度は低くなります。書類の準備に時間と労力がかかることもありますが、事前にリストを作成し、必要書類を整理しておくことが望ましいです。
結婚できるかどうかの難易度
申請人が日本人と結婚していることを証明するために、戸籍謄本や結婚証明書などの書類が必要です。これらの書類が適切に提出できれば、難易度は低くなります。国際結婚手続きは必ずしも簡単ではないので、いつでも結婚できるわけでもありません。お相手と結婚意思が合致したら、結婚できるときに結婚しておきましょう。
経済的基盤を備えることができるかどうかの難易度
結婚ビザの取得には、申請人が日本での生活費を賄えることが求められます。滞在費用を証明する資料を用意し、申請人が経済的に自立していることを示すことが重要です。オーバーステイや在留特別許可の希望などで、外国人側が就労できないときは、日本人側がアルバイトではなく、フルタイム勤務に変更しなければならない場合もあります。
交流の証明での難易度
夫婦間の交流が確認できる資料(スナップ写真、SNS記録、通話記録など)を提出することが求められます。夫婦関係が実際に存在し、疑義がないことを証明できれば、難易度は低くなります。
申請の手続きの難易度
結婚ビザ申請の手続きは、複雑で煩雑なことがあります。しかし、申請手続きを正確に行い、必要な書類を提出すれば、難易度は低くなります。出入国在留管理局では、在留申請オンラインシステムがあり、
マイナンバーカードをお持ちの外国人本人、法定代理人、親族(配偶者、子、父又は母)の方は、在留申請オンラインシステムを利用して、オンラインで申請することができます。
※引用: 法務省出入国在留管理庁
オンライン申請のほうが審査も早いので、これに取り組むことで難易度を下げることができます。
法律や規定の理解の難易度
結婚ビザの申請に関する法律や規定を理解し、適切に対応することが難易度を低くする要素です。
入管局の対応での難易度
入管局の対応や審査基準は、地域や担当官や時期によって異なることがあります。しかし、適切な書類や手続きを行えば、申請の難易度は低くなるでしょう。
個別の案件での難易度
違反歴、ビザの条件違反歴などの問題の程度や複雑度によって、難易度が変わることがあります。
結婚ビザの難易度のまとめ
以上の要素を考慮しながら、結婚ビザの申請を進めることが重要です。適切な準備と手続きを行い、必要書類を揃えることで、結婚ビザの取得に向けてスムーズに進めることができます。
結婚ビザの審査期間と在留期間とは?3年の期間の条件は?
結婚ビザの審査期間と在留期間は、申請者の状況と申請内容によって異なります。
結婚ビザの審査期間
結婚ビザの審査期間は、一般的には1~3か月程度が目安です。例えば、在留資格認定証明書交付申請では、
標準処理期間 1か月~3か月
※引用: 法務省出入国在留管理庁
と発表されています。
しかし、審査期間は個々の申請内容や提出書類の状況、また出入国在留管理局の混雑状況によって変動します。そのため、審査期間が短縮される場合もあれば、より長くなることもあります。
審査期間が長くなる要因には以下のようなものがあります。
- 提出書類に不備や誤記がある場合。
- 申請内容に疑問点や不明瞭な部分がある場合。
- 申請人の過去にビザの条件違反・不許可歴・不正行為・不法滞在がある場合。
- 出入国在留管理局や在外公館の混雑状況や担当者の状況による遅延。
- 申請人の国籍国や地域によって、審査期間が長くなる場合があります。
以上から、審査期間を短縮するためには、以下の点に注意して申請を行うことが望ましいです。
- 必要書類を事前に確認し、不備がないように提出する。
- 申請内容を正確かつ詳細に記載し、疑問点や不明瞭な部分がないようにする。
- 過去にビザの条件違反・不許可歴・不正行為・不法滞在がある場合は、事前に専門家に相談する。
- 審査が混雑しがちな時期を避け、余裕を持って申請を行う。
- 在留資格認定証明書交付申請の場合は、結婚ビザの査証申請と審査の時間も含めて予定を立てる。
- 審査の早い傾向のあるオンライン申請を利用する。
結婚ビザの在留期間は何年?
在留期間は最初の許可では1年が一般的です。条件が整った場合には3年間の在留期間を取得することも可能です。3年間の在留期間は永住申請の要件の一つであるため、重要です。
また3年間の在留期間になっても、その後の更新で1年に短縮されてしまう例もよくありますので、3年になり次第、速やかに永住申請に取り組むことも大切なポイントです。
結婚ビザで3年の在留期間を取得する条件とは?
3年間の在留期間を取得するための条件は以下の通りです。
- 申請人と日本人配偶者の結婚生活が安定していること。
- 日本人配偶者の収入が安定し、申請人の生活費を支えることができること。
- 申請書類が適切に準備され、審査に必要な情報が正確に記載されていること。
- 申請人が日本の法律や規則を遵守していること。
これらの条件を満たしている場合、結婚ビザで3年間の在留期間を取得する可能性が高くなります。ただし、各ケースは個別審査が行われるため、必ずしも3年間の在留期間が保証されるわけではありません。
結婚ビザと配偶者ビザの違い
結婚ビザは一般的な表現で、結婚ビザと配偶者ビザは、実際には同じ在留資格を指す言葉であり、中身は同じです。言葉や表現が異なるものとなります。これらの言葉は、結婚を理由に日本に滞在する外国籍の方が、日本人または日本在住の外国籍の方と結婚した場合に取得する在留資格を指します。
しかし、実際の在留資格の正式名称は、結婚相手の「本体者」で異なります。「本体者」とは申請人の結婚相手で日本でのスポンサーとなる方を言います。
日本人の結婚ビザ
まず、「日本人の結婚ビザ」という言葉は、日本人と結婚した外国籍の方が取得する在留資格を指します。この場合、正式には「日本人の配偶者等」という在留資格が適用されます。
具体的には、
日本人の配偶者若しくは特別養子又は日本人の子として出生した者。
※引用: 法務省出入国在留管理庁
がこの「日本人の配偶者等」の在留資格に該当します。
配偶者ビザとは?配偶者ビザ対策の基礎から仕組とポイントまで解説!
永住者の結婚ビザや定住者の結婚ビザ
そして、一般的な表現として、「永住者の結婚ビザ」や「定住者の結婚ビザ」は、永住者や定住者と結婚した外国籍の方が取得する在留資格を指します。これらの場合、正式には「永住者の配偶者等」や「定住者」という在留資格が適用されます。「定住者の配偶者等」という在留資格の名称はありません。
「永住者の配偶者等」の対象は、
永住者等の配偶者又は永住者等の子として本邦で出生しその後引き続き本邦に在留している者
※引用: 法務省出入国在留管理庁
です。
日系人の結婚ビザ
また、「日系人の結婚ビザ」は、日系人と結婚した外国籍の方が取得する在留資格を指します。この場合、在留資格の名称は「定住者」になります。日系人の在留資格は「定住者」に限りません。「日系人」は日系二世の場合には、本人は「日本人の配偶者等」の在留資格の「等」に該当します。したがって、妻が「日本人の配偶者等」の在留資格で夫が「定住者」の在留資格という場合もあります。
この「定住者」は非常に広い範囲を含む在留資格です。具体的には、
法務大臣が特別な理由を考慮し一定の在留期間を指定して居住を認める者
該当例としては、第三国定住難民、日系3世、中国残留邦人等。
※引用: 法務省出入国在留管理庁
だとされています。しかし、他にも、結婚ビザの相手の連れ子、「普通養子縁組」の子ども、日本人の実子を養育している独身の外国人親などが、「定住者」になる場合があります。
就労ビザや留学ビザでの結婚ビザ
さらに、「就労ビザ・留学ビザでの結婚ビザ」という場合は、就労ビザや留学ビザを持つ外国籍の方と結婚した外国籍の方が取得する在留資格を指します。この場合、主として、「家族滞在」という在留資格が適用されます。
結婚ビザと配偶者ビザの違いのまとめ
いずれの場合も、結婚した相手の国籍や在留資格や身分によって適用される在留資格が異なりますが、その目的は同じであり、日本での滞在や生活を許可されることです。
必要書類や条件は、それぞれの在留資格に応じて異なりますが、中心となる目的は、夫婦で一緒に日本で生活することが認められることです。言葉や表現が違っても、根本的な目的は同じです。
結婚ビザのまとめ
以上の通り、結婚ビザは、日本人または日本在住の外国籍の方と結婚した外国籍の方が取得する在留資格です。このビザを取得するためには、条件を満たし、必要書類を提出し、審査を経る必要があります。また、難易度は申請人の状況や提出書類、そして最後は審査担当官によって変わります。
結婚ビザと配偶者ビザは、実質的に同じものであり、言葉や表現の違いがあるだけです。但し、それぞれ相手の国籍や在留資格や身分に応じ、「結婚ビザ」の在留資格の種類が異なることに注意しましょう。
最終的に、結婚ビザを取得することで、外国籍の方が日本で夫婦として生活することが認められます。
この解説を通して、結婚ビザに関する基本情報や注意点を理解し、適切な手続きを行っていただければと思います。
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