「オーバーステイのペナルティについて知りたい」「罰則や罪名を確認したい」などと思ったことのある方もいるのではないでしょうか。
オーバーステイにまつわる罰則などについて知りたいという方のために、この記事ではオーバーステイに伴う罰則や要求事項など、さまざまな法的影響を含めたオーバーステイのペナルティについて詳しく解説しています。オーバーステイが及ぼすリスクと正しい対処法を理解するために役立ちます。
オーバーステイとは
オーバーステイとは、ビザや在留期限(在留期間)の有効期限を過ぎて外国に不法に滞在することです。しかし、オーバーステイには厳しい罰則があります。以下では、オーバーステイに対する罰則に関連する法的な影響、罰則、罰金について詳しく説明します。オーバーステイのリスクを理解し、どのような対策をとるべきかを知ることが重要です。
オーバーステイのペナルティは
オーバーステイにまつわるリスクは多岐にわたります。ここでは、刑事手続でのペナルティ、行政手続でのペナルティ、社会的ペナルティ、配偶者へのペナルティ、ビザへのペナルティ、金銭的ペナルティに分け、詳しく解説しています。
刑事手続でのペナルティ
オーバーステイは刑事犯罪とされ、逮捕や起訴、罰金や懲役刑が科されることがあります。また、犯罪歴が残るため、将来の就職やビザ取得にも影響が出ることがあります。
行政手続でのペナルティ
オーバーステイが発覚した場合、強制送還や入国禁止が、行政処分の効果として課せられます。また、再入国に際しては、ビザ取得が困難になることがあります。
社会的ペナルティ
オーバーステイが明るみに出ると、周囲からの信頼を失い、親族・友人や職場などの人間関係に悪影響が及ぶことがあります。
配偶者へのペナルティ
オーバーステイが原因で、配偶者もビザ取得が困難になることがあります。また、家族の将来にも影響を与えることがあります。
本人のビザへのペナルティ
過去のオーバーステイを隠していたときに、事後的に発覚した場合、現在のビザが取り消されることがあります。また、現在オーバーステイしている場合には、現在は勿論、将来的にもビザ取得が困難になることがあります。
金銭的ペナルティ
オーバーステイにより、行政書士費用や罰金、強制送還費用など、さまざまな経済的負担が発生することがあります。
まとめ
オーバーステイのペナルティは多岐にわたりますので、在留期限を厳守し、適切な手続きを行うことが重要です。
オーバーステイの罰則
オーバーステイの罰則とは、法定刑は「三年以下の懲役若しくは禁錮若しくは三百万円以下の罰金」です。このオーバーステイに対する刑事手続きでの法定刑は、特別刑法でもある日本の入管法に基づいて定められています。具体的には、次のような法定刑が適用されます。
第七十条 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役若しくは禁錮若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はその懲役若しくは禁錮及び罰金を併科する。
※引用 e-GOV法令検索
懲役刑
入管法70条によれば、オーバーステイを行った者には、「3年以下の懲役」が科されることがあります。ただし、実際の判決は、個別の事情や過去の在留履歴などを考慮して決定されます。
一般的に初犯では執行猶予が付くことが通例ですが、執行猶予が付いても入管法5条の上陸拒否事由には該当するのが原則であることを理解することが大切なポイントです。
具体的には、国際結婚されても、退去強制が執行された後に配偶者ビザを取得するのが著しく困難になります。
罰金刑
入管法70条により、オーバーステイは、「300万円以下の罰金」が科されることがあります。罰金の金額は、違反の程度や状況、加えて個々の事情によって決定されます。
事業主についてのオーバーステイの罰則:不法就労助長罪
不法就労助長罪とは、事業活動に関し、外国人に不法就労活動をさせた者、外国人に不法就労活動をさせるためにこれを自己の支配下に置いた者などに対する罰則で、三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処せられます。これは日本の入管法に基づいて定められた犯罪です。
この罪は、違法に働く外国人労働者を雇用し、又は働かせることによって、不法就労を助長する行為を犯罪として取り締まるものです。
入管法第73条の二によれば、不法就労助長罪には、以下のような行為に刑罰が科されます。
一 事業活動に関し、外国人に不法就労活動をさせた者
二 外国人に不法就労活動をさせるためにこれを自己の支配下に置いた者
三 業として、外国人に不法就労活動をさせる行為又は前号の行為に関しあつせんした者
法人の代表者や法人の業務を執行する者、個人事業主などが、不法就労者を雇用した場合がこれに該当します。また、不法就労者を斡旋する業者(人材紹介業者や職業紹介所など)が関与した場合もこれに該当します。
不法就労助長罪は、不法就労の拡大を防ぐために設けられた罰則であり、国内の雇用状況や治安を保護することを目的としています。したがって、雇用主や労働者は、適切な手続きを踏み、正当な就労許可を持つ外国人労働者を雇用することが重要です。
また、不法就労助長罪の適用を避けるために、雇用契約を結ぶ際には、労働者の在留資格や就労許可ないし資格外活動許可を確認し、適切な管理を行うことが求められます。
オーバーステイの罪名とは?不法滞在と不法残留の違い
オーバーステイの罪名は「不法残留罪」です(入管法70条)。オーバーステイは、日本の入管法(出入国管理及び難民認定法)に違反する行為であり、「不法入国」と合わせて、「不法滞在」といいます。不法残留は、外国人が在留期限切れの場合だけではなく、在留資格が取り消しされた後に引き続き日本国内に残留する行為も指します。但し、オーバーステイは一般的な言い方であり、「不法入国」と区別されずに「不法滞在」として、ひとまとめにして使われる場合もあります。
オーバーステイに時効はあるか?
オーバーステイに関しては、現に不法残留である限り、「継続犯」といい、時効が適用されることはありません。オーバーステイ(不法残留)は、在留資格の期限が切れた後も引き続き滞在する行為であり、その状態が継続している限り、違法な状態が続くことになります。
ただし、過去のオーバーステイがある場合でも、(1)在留特別許可が下りた場合や、(2)出国命令または退去強制後、一定期間経過した後に申請をして審査の結果、入国を許可されるケースがあります。(2)は、(ア)上陸拒否期間が過ぎた場合や、(イ)上陸拒否期間は過ぎていないが、上陸特別許可された場合です。このように、申請の内容、審査官の事実認定、証拠の評価、審査官の解釈、そして具体的な状況や経過時間によっては、再度の入国が認められることがありますが、これは時効とは異なる概念です。
オーバーステイのペナルティ「上陸拒否期間」とは
強制送還されたらどうなるのでしょうか。時効とは異なりますが、オーバーステイで出国した場合の上陸拒否期間は、その状況によって違いがあります。以下に、(1)出国命令、(2)初めての退去強制、(3)2回目以降のオーバーステイでの退去強制、(4)入管法5条の永久拒否の場合の、4つに分けて解説します。
まず、(1)出国命令は初めてのオーバーステイで、自主的に出頭し、出国する場合は、一定の要件のもと、出国命令を受け、この場合、1年間の上陸拒否期間が適用されます。(2)初めての退去強制は、オーバーステイが初めてで、強制的に退去させられる場合は、5年間の上陸拒否期間が適用されます。(3)2回目以降のオーバーステイでの退去強制は、不法残留が繰り返され、退去強制を受けたときは、10年間の上陸拒否期間が適用されます。(4)入管法第5条の永久拒否(長期拒否)は、例えば、オーバーステイで「一年以上の懲役若しくは禁錮又はこれらに相当する刑に処せられた」場合で、日本への再入国が永久に拒否されることがあります。
これらの期間は、入管法第5条の一般的な規定であり、実際の審査の結果は、個々のケースによって異なる場合があります。
上陸拒否期間が経過したら、オーバーステイで必ず再入国できるか
よく誤解されていることですが、上陸拒否期間が経過した後でも、違反歴は日本の入管の場合、残ります。再入国が必ず許可されるわけではありません。たとえば、配偶者ビザを申請する場合でも、違反の記録がある前提での厳格な審査になります。
再入国の際には、申請のうえで審査が行われ、その時点での状況や条件が適切であるかどうかが検討されます。以下のような要素が上陸許可の判断に影響を与えることがあります。
○申請者の過去の違反行為
過去にオーバーステイや不法滞在などの違反行為があった場合、入国審査官はその事実を考慮します。
○現在の目的や状況
再入国の目的や申請者の経済的、社会的、家族的状況が適切であるかどうかが評価されます。
○審査時点の法律や規則と運用
入国審査時に適用される将来の法律や規則と運用が、審査官の判断に影響を与えます。
したがって、上陸拒否期間が経過した後も、上陸許可が得られるかどうかは、入国審査官の判断によります。再入国を希望する場合は、適切なビザ申請や書類と証拠資料の準備を行い、かつ、許可されるような状況を整え、審査に備えることが重要です。
オーバーステイをかくまうとどうなる?
オーバーステイで配偶者ビザを希望する場合、既に同居している場合が多いのではないでしょうか。
しかし、不法滞在者(オーバーステイ者)をかくまったり、助けたりする行為は、法律で禁止されており、罰則が定められています。日本では、出入国管理及び難民認定法、及び、刑法によって、不法滞在者をかくまう行為が規制されています。
たとえば、不法滞在者と同居することも、かくまう行為とみなされる可能性があります。具体的には、刑法62条に、「正犯を幇助した者は、従犯とする。」と規定されています。
そして、「オーバーステイ」者は「正犯」に該当します。
同居がかくまう行為ないし、刑法の構成要件に該当し、違法で有責である場合に該当するかどうかは、具体的な状況や事情によって判断されます。例えば、不法滞在者であることを知りながら同居し、その状況を隠蔽したり助けたりしている場合、かくまっているとみなされる可能性が高いといえます。
したがって、不法滞在者と同居していることは、法律に違反する可能性があり、罰則が適用されるリスクがあります。同居者への起訴と有罪判決が出た裁判例もあり、有罪判決までは行かなくとも、同居者が逮捕される例も実際にあります。裁判官でも判断が分かれる部分であり、警察や裁判所の実務では、実際には「個別に判断」しています。以上から、不法滞在者やその周囲の人々にとっては、法律を遵守し、適切な手続きを踏むことが重要です。
まとめ
たとえば、国際結婚した場合、一般に、外国人配偶者には「在留期限」があります。したがって、日本人側はこれに常に注意しなければなりません。ところが、年に1回ないし3年に1回では、忘れる場合が多々あります。多少在留期限に遅れても、よいわけではありません。
法律は法律ですので、1か月程度経過しているだけで、逮捕されたケースもあります。警察や入管からみれば、意図的にオーバーステイしたのか、うっかりオーバーステイしたのか、それは外観(例、在留カードやパスポートの許可証印)では区別できないことに注意しましょう。
以上から、配偶者ビザなど、家族に外国人がいる場合、カレンダーやスケジュール表に更新申請の日程は目立つようにマーキングしておく等、強く認識しておく必要があります。そして、万が一、「オーバーステイ」してしまった場合の「危機管理」として、どうするか、オーバーステイのリスクマネジメントを想定しておくことが大切です。
まとめとして、オーバーステイのペナルティの問題に対処する際には、入管法や関連する規定を理解し、最新の情報を確認することが重要です。また、個々のケースによっては異なる対応が必要になることがありますので、具体的なアドバイスやサポートが必要な場合は、出入国在留管理局(イミグレーション)行政の業務を「本業」としている専門家に相談することをお奨めします。
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