オーバーステイ
オーバーステイは
オーバーステイは、基本的には、入管法に規定されている流れによって審査されます。まず、調査等の端緒は、多いのは、警察が職務質問等で摘発したものを入国管理局へ送る類型や警察と入国管理局の合同での摘発した事案です。オーバーステイにおける「出頭申告」もこの端緒に含まれますが、出頭申告には在留を希望する場合と、帰国を希望する場合の双方を含みます。最初にある入国警備官の違反調査の段階は、オーバーステイで在留を希望して出頭申告する場合の担当は、東京入国管理局の場合、調査第三部門の出頭申告の担当です。この点、一般的な説明ではオーバーステイは「収容」されるとありますが、これは全件収容主義の原則を示したものです。あくまで自主的に出頭した出頭申告の場合にまで、常に必ず、実際に収容していては、萎縮効果を与え、出頭する人も少なくなり、ひいては、オーバーステイ者数を減らすという目標の達成も困難になります。そこで、供述内容や持参した資料等の事実関係を吟味したうえ、オーバーステイしている容疑者を収容するかどうかを判断されます。この退去強制手続をみるとき、いわゆる在宅案件と収容案件では、法的には共通の流れなのですが、実際には、大きな差異があります。たとえば、出頭申告の場合、在宅案件になると、警備部門に長期間置いておかれます。その理由は、全件収容主義との関連と推定されます。 他方、オーバーステイで収容する案件の場合で、収容して早々に帰国希望するような場合、特別審理官の段階まで行かないのが通例です。また、収容案件と在宅案件とでは、この審理の中身が全く違います。なお、「在留特別許可という申請」は、「申請」という形態では存在せず、法律上、必ずしも正面から規定されているものではありません。いわゆる「在留特別許可」とは「退去強制手続」の過程で行われるものなのです。したがって、オーバーステイを理由に退去強制されたくなくとも、手続きには「退去強制手続」を受けざるを得ないのです。
また出頭申告してもそれだけでは、オーバーステイのままです。この段階で摘発を受ける人は珍しくもありません。「摘発」するのは、入国管理局と警察とは別であって、両方独立して活動しているのです。
以下に日本人配偶者ないしそれに準ずるケースでの、「不許可」のときの書類の見本を示します。近時、不許可も非常に増えてきています。
左の書類は、違反審査を行ったときのものです。出頭申告の場合、これを交付されるのは、手続の最終段階になるのが通例です。なぜ警備部門に長期間置いておくのかは、おそらく、全件収容主義との関連と思われます。
右は特別審理官が交付するものです。収容案件の場合で、収容して早々に帰国希望するような場合、この特別審理官の段階まで行かないのが通例です。
また、収容案件と在宅案件とでは、この審理の中身が全く違います。なお、法務大臣に対し、異議を申し出ることができるとありますが、審査は基本的に入国管理局そのものが行うのであって、法務大臣が直接行うのは異例のことです。また、実際には、オーバーステイでもあっという間に不許可になり、強制送還の命令が下される場合が多いです。刑務所ですら民営化する時代です。入国管理局が一個の案件に濫りに時間をかけることはできません。
左の書類は、本人が自分だけで請願し、「在留特別許可」が不許可になったときのものです。これをもらうと、基本的に、もう帰国することになります。この段階になってから相談する人もいるのですが、余りに遅すぎます。これはあなたのビザを許可する理由は無いから、オーバーステイ等で強制送還するという意味です。これが最後の紙です。あとは強制送還になります。この紙の意味が分からない場合も多いようです。
右の書類は、本人が自分で申請し、「認定」が不交付になったときのもので、「日本人配偶者等」の事案、つまりいわゆる配偶者ビザの事案です。このように理由は非常に簡潔ですが、別紙で数行敷衍した理由が付く場合が最近は多くなって、たとえば「・・・外国人の過去の入国・在留状況から判断して申請内容に信ぴょう性があるとは認められません。」などと記載されることもあります。つまり、信ぴょう性が無いだけで不許可なのです。もっとも、この理由付けは建前であって、真の理由は別であることも多いです。
左の書類は、上陸拒否された人の「退去命令通知書」の見本です。なお、この「退去命令」と「出国命令」と「退去強制」は各々、意味が違いますので、混同に注意が必要です。なお、上陸拒否はオーバーステイそのものではありませんが、過去にオーバーステイしていたときの影響の形で現れることがあるものです。