- 【行政書士古川峰光の日々雑感ブログ】
- 【行政書士古川峰光の日々雑感ブログ】
- :行政書士と医師の「ガン告知」の類似点。
- :日本のアウシュビッツ「牛久」からの解放
- :公にされていないが、実は外国人への差別は、行政では、密かに行われているのが本当のところである。そもそも、法令でも最高裁判例でも、外国人は差別されている。市民は平等だと学校で習ったと思う。しかしそれは違う。あなたの愛する彼女や彼は、「犬か猫」のように扱われる。これは本当のことである。
- :ある人のキャンセルがいかに他のクライアントに迷惑をかけるかについて。
- Q:外国人Aは、過去に出国命令の適用なく、自主出頭で指紋採取のうえ、帰国したが、現在、他人名義の旅券で不法入国し、配偶者の在留資格ないし、永住許可を得ている。この場合で、在留中に事実が発覚したらどうなるか。
- Q:外国人Bは、過去に出国命令の適用なく、自主出頭で指紋採取のうえ、帰国したが、その後、母国で合法的の改名のうえ、上陸拒否期間中に、退去強制歴を隠匿のうえ、本人名義の旅券で入国し、配偶者の在留資格ないし、永住許可を得ている。この場合、在留中に事実が発覚したらどうなるか。
- Q:外国人Aは、過去に出国命令の適用なく、自主出頭で指紋採取のうえ、帰国したが、現在、他人名義の旅券で不法入国し、配偶者の在留資格ないし、永住許可を得ている。この場合で、再入国許可を得て出国し、再度戻ってきたときに、空港の指紋照合で、事実が発覚したらどうなるか。
- Q:外国人Bは、過去に出国命令の適用なく、自主出頭で指紋採取のうえ、帰国したが、その後、母国で合法的の改名のうえ、上陸拒否期間中に、退去強制歴を隠匿のうえ、本人名義の旅券で入国し、配偶者の在留資格ないし、永住許可を得ている。この場合で、再入国許可を得て出国し、再度戻ってきたときに、空港の指紋照合で、事実が発覚したらどうなるか。
- Q:外国人Cは、過去に出国命令の適用なく、自主出頭で指紋採取のうえ、帰国したが、その際、他人になりすましして帰国した。その後、母国で正規の本人名義の旅券を取得し、上陸拒否期間中に、退去強制歴を隠匿のうえ、本人名義の旅券で入国し、配偶者の在留資格ないし、永住許可を得ている。この場合で、再入国許可を得て出国し、再度戻ってきたときに、空港の指紋照合で、事実が発覚したらどうなるか。
- Q:上記の各々の設問の事例で、刑事法上の犯罪に該当するのはどの事例か。
- Q:上記の各々の設問の事例で、入国管理局が警察に告発し、外国人が逮捕されるのはどの事例か。
- Q:上記の各々の設問の事例で、入国管理局が警察に告発し、外国人が逮捕され、かつ起訴されるのはどの事例か。
- Q:在留資格を取り消す場合、どこで取り消すか。
- Q:原始的瑕疵に因り在留資格を遡及的に取り消した場合、物理的に収容するか。一般論で答えよ。
- :退去強制可能な資格外活動とは何か。
- :国際結婚仲介業者と行政書士
- :福岡入管
- :資格外活動
- :札幌入管でドイツ人を入国拒否
- :外国人パブの経営者や同業者まで相談に来る
- :教授ら、ネグリ氏来日中止で政府に抗議声明
- :最近の当事務所の実績(全部は書ききれないので、一部のみ抜粋)
- :公務員の方から「行政に対し、ご意見を」。
- 【古川峰光について】
【行政書士古川峰光の日々雑感ブログ】
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:かなり以前から、村上ファンドのような富裕層相手の資産運用会社等に勤務する就労ビザの案件を受任している。ただ、その種の会社には今時、ホームページも無い。なぜ無いのか、ある取締役に聞いてみた。曰く、富裕層相手の仕事で、受任するのはほぼ全て「紹介」なのだという。その種の会社は金融業界で超最高レベルのスーパーキャリアの集団が独立したような会社で、富裕層には知られているので、放置してもクライアントが来る。かといって、余り大きくするつもりもなく、少数精鋭の集団で確実に投資判断をしたい。取締役曰く、逆にクライアントを選ばせてもらっているという。一見(いちげん)のクライアントは、ヘタすれば「マネーロンダリング」等に利用される危険もあって、紹介が無い限り、原則、受任しないのだという。かくいう私も、なぜその種の会社の就労ビザを引き受けたのかといえば、紹介であった。たとえば、そういう会社の社長が私のクライアントで、永住を世話したような場合だったりする。そのため、私との間に信頼関係があるのである。
実は入管業界も信頼関係は非常に重要。私は、本当にビギナーのころ、親戚の弁護士がなぜ面談を重視し、「信頼関係」という言葉を重視するのか、イマイチ、ピンと来なかったものだが、今では理解できる。
:しかし、村上ファンドではないが、富裕層相手の資産運用会社等は驚くほど景気がよい。年収1億、3億という「社員」が本当に存在する。以前、ニュースで話題になったサラリーマンでの高額納税者のようなものである。本当に六本木ヒルズの世界である。最近は行政書士でも年収1000万や1500万くらいなら珍しくもないし、大したことはない。しかし、行政書士など可愛いものか。ただ、私がなぜそういう資産運用のような業界に入らなかったのか。最大の理由はリスクを好まないからである。行政書士は実入りは小さいかもしれない。しかし多面、リスクも小さい。ほとんど無いともいえる。一応、経済学科出身なので、リターンがリスクに比例するのは自明の理で理解している。また、そのうえ、法律も勉強したので、「利益の帰するところ、損失も帰する」という法理まで理解しているわけである。
:テレビ朝日から報道系番組への20分程度のコメンテーターとしての出演依頼があったが、ご遠慮申し上げた。事前に決められた質問を用意するから出演できないかとのことだったが。週刊誌の取材は慣れているのだが、テレビは週刊誌等と違う問題がある。
今回は、年間5万人も不法就労等で摘発されているのに雇用主が不法就労助長で摘発されるのは数百人程度、多くは知らなかったと答弁されれば不問になるという実態があるというが、これは問題なのではないか、というテレビ局側の問題意識についてコメントしてほしいという。しかしこれは回答はかなり難しい。いい加減な答えはできない。また、テレビでは建前通りのつまらない話しか出来ない。NHK教育のような回答でいいのか。色々問題があったので、差し当たり元東京入管局長の坂中氏と山崎氏を紹介することにして、ご遠慮申し上げた。学生のころなら喜んで出演したに違いないが、出演して欲しいと言われる立場になると、案外出たくないのである。
:週刊SPA!から取材があった。夜に電話があり、深夜の取材になった。ペルー国籍の外国人の起こした事件へのインタビューである。二度と不幸な事件を起こしてはいけない。定住者の在留資格の問題点が噴出した事件だった。担当の女性記者は熱心だ。感心した。
:理由は不明だが、最近、私の事務所には大学教授や助教授がよく来る。講師を入れればもっと多い。まさか学問的雰囲気が感じられるとか。ただ、法学部教授には驚いた。ただ、これで自分が偉くなったなどと錯覚してはいけないであろう。
:私が法律を「教えた」人が裁判官になってしまった。東大生で優秀だと思ってはいたが、人柄はごく普通の「今時の学生」だった。私に質問する姿勢は真剣だった。ちなみに女性裁判官。立派な判事になることを祈る。裁判官の素顔は普通の人だ(そもそも普通の人でないと社会通念で判断できない。)。しかし、正直、裁かれたくはない。そういえば、大学のサークルの一つ上の先輩も裁判官になった。これも別に普通の人。裁判官の給与は普通の公務員の二倍程度。しかし、お金のためにやるような仕事ではあるまい。本当にお金が欲しいなら裁判官にはならないはずである。裁判官には権威が必要である。肩がこるに違いない。
:「お宅の事務所は信用できますか。」との手紙が来て、閉口した。信用できるかどうかをお聞きしたいのは、こちらなのである。こちらは圧倒的に情報は開示しているうえ、国家資格で担保されている。しかし、そちらは何の情報も開示されていない。偽装結婚ではないこと、その他、虚偽申請ではないことの証拠を提示して頂きたい。
御心配は分かる。ならば、なぜ、まず会って確かめないのか。私だって、国籍を失った子どもの母親から、「先生!本当に大丈夫でしょうか。」と泣きそうな表情で言われたこともある。期待に応えるよう努力はしている。
私の場合、日本人配偶者等の案件は、ご両親にまで会うことを原則としている。先日も、市役所で公務員をやっていらっしゃるという親御さんに会ったばかりである。そこまでやるということで、入管でも私の申請は信用されるし、信用されるから早いし、信用されるから許可率も高いのである。
どうやら、パソコンも所有しておらず、ネットの「リテラシー」(Information Literacy)が無いようである。ちなみに、ITに詳しいなら、SEO的な技術を使って、調査し、信用できるかどうか判断する方法もある。しかし、今はメールは年間1000通くらい来るが、手紙が来るのは珍しい。Information Literacyの格差の問題は予想以上に深刻かもしれない。ときどき、「藁をも掴む思いで、電話しました。」というクライアントの話を聞く。ただ、「藁にも縋(すが)る」とは、「頼りにならないものでも頼りにすることのたとえ」(大辞泉)であるから、当方は「藁」ではなく、地面に根ざした大樹でありたい。
どうやら、パソコンも所有しておらず、ネットの「リテラシー」(Information Literacy)が無いようである。ちなみに、ITに詳しいなら、SEO的な技術を使って、調査し、信用できるかどうか判断する方法もある。しかし、今はメールは年間1000通くらい来るが、手紙が来るのは珍しい。Information Literacyの格差の問題は予想以上に深刻かもしれない。ときどき、「藁をも掴む思いで、電話しました。」というクライアントの話を聞く。ただ、「藁にも縋(すが)る」とは、「頼りにならないものでも頼りにすることのたとえ」(大辞泉)であるから、当方は「藁」ではなく、地面に根ざした大樹でありたい。
:東京入管の帰国希望の出頭申告へ行ったら、タイ人風の外国人女性に話しかけられた。「何人(なにじん)ですか?(笑)」、「申告書は行かないともらえないよ。(笑)」、と日本語で。行政書士会の監察部の皆様、行政書士法違反で代書をしているようですよ。取締り願います。
:今日も実態調査で新婚カップルの家を回ってきた。新婚夫婦の家を回って、露骨な質問をし、○○の○○(*企業秘密)まで写真を取りまくって帰ってくるのは、日本広しと言えども、私のような特殊な分野の行政書士か、入国管理局職員しかいないであろう。最近の入国管理局の摘発時即時実行の実態調査での内容を聞くと、不思議なほど私の調査方法と同じである。場数を踏むと自然と、プロは目のつけどころは同じになるのである。もっとも、ほとんどの事案は行けば「実体」はすぐ分かるのだが。
今日のカップルは「癒し系」のいい夫婦だった。ちなみに、私は国際結婚の新婚を扱うが、姉妹事務所の弁護士は、国際結婚の離婚を扱う。そのため、私は余り破綻した夫婦というものを見ない。いつも幸せの絶頂にいる夫婦しか見ないというわけで、それも問題かもしれない。しかし、今日はとても寒かった。
明後日は弁護士先生らと忘年会である。某法律事務所の事務員さんは、そういう探偵まがいのことを、「あたしもやってみたい(笑)」らしい。しかし、探偵のような意識があるわけではない。あくまで人権救済である。ちなみに、最近は、単に出張するだけではもったいないので、なるべく風景も撮ってくるようにしている。
ところで、ご自宅を訪問した際、10人中半分以上のご家庭で、「ようかん」や「みかん」や「まんじゅう」等の茶菓子をご用意されてしまうが、茶菓子はご不要です(虫歯になるので。)。それから、菓子折りも(御歳暮も)ご不要です。お気持ちだけお預かり致します。
:息子(あるいは兄弟姉妹)が不法滞在の外国人と婚姻しようとしている。何とか妨害し、阻止できないか。こんな相談が年に、2、3回ある。無論、そのような相談はお断りしている。妨害する方法はないわけでもない。私はプロだから知っている。しかし、それは民事的に違法である。なぜ違法か。それは婚姻は夫婦の意思の問題だからである。婚姻当事者の自由意思の問題に親や兄弟姉妹といえども、介入すれば、不法行為(民法709条)の問題になり得る。
:指紋押捺問題再燃。近時、指紋押捺制度が導入される。入管のプロ中のプロの先生方(ほとんどが入管専門の行政書士)はこの問題をどうみるか。入管の実務の実情は、強制送還→密入国(犯罪)→強制送還→密入国(犯罪)、の繰り返しである。私は、憲法の本だけで100冊程度は持っている。芦部先生の本も真っ黒になるまで使ったほうであるが。人権というのは衡量が難しい。
:利益衡量
入国管理局が利益衡量をすることは予定されている。利益衡量と言わず、法益衡量などと言っても同じである。国民主権(憲法前文、1条)からして、入管は国民の民主的コントロールを受ける。立法権との関係では、「代表」(憲法43条1項)、「全体の奉仕者」(憲法15条2項)、議員内閣制(憲法66条、67条、66条3項等)等がある。そして、行政権には法律の誠実執行義務があるし(憲法73条1号)、議院の国政調査権の対象である(憲法62条)。そして、三権の最後であるところの司法権(憲法76条、78条等)も統制手段であるといえる。加えて、国民による直接統制として、請願権(憲法16条)や表現の自由、知る権利(憲法21条等)等も忘れてはならない。
こうした中、入管は複雑な法益衡量に迫られる。一方においては、確かに、「個人の尊厳」という憲法上の保護法益の要請は強い。しかし、反対利益として、公共の安全、労働環境の保全、国家秘密、行政秘密、プライバシー権、名誉権等が厳格な比較衡量を要求するのである。
:興行で在留していたという中国人女性と結婚したという男性に、ビザのアドバイスをした。ダンスや歌の仕事だったという。普通のショーパブのようである。その際、私は、「興行で在留していた場合、ダンススクール等の卒業証明書等を偽造している場合が多い。偽造してはいませんか。」という趣旨で申し述べた。するとその男性、自分の愛する妻がそんなことをするわけないと思っていたのであろうか。私の親切なアドバイスを真に受けず、かえって怒ってしまった。「そんなことはない。」と。親切で本当のことを言うと、相手が怒ってしまう場合もあるから難しい。このケースでは、相手方が専門家の話を聞こうとしなかったので、それ以上の話が進まず、男性は結局、損をしている。私は自分の個人的見解で言っているのではなく、入管の審査官の視点で言っているのである。
人の話に耳を傾けるというのは、人間関係の基本ではなかろうか。コミュニケーション能力というのは人事評価の尺度でもある。一般論だが、会社の社長をしているような人は聞き上手だ。謙虚に私の話を聞いて頂ける。でなければ、社長は務まらない。
さて、少なくとも、今まで、無数の興行の在留資格で在留していた女性と日本人男性の婚姻の類型を見たが、「一切」、法令違反をしていないという案件は、原則として、無かった。興行の世界はシステム的に、そもそも、法令違反しないということは、ほぼあり得ないシステムなのである(本当のモデル業等を除く。)。また、まともな卒業証明書を経由して入ってきたようなのも見たこともない。結局、入管が不許可を突きつけないと真剣に考えない様子が伺われる。さもなくば軽く考えているので、私の話の意味も分からないのである。
反面、上記のようなやりとりがあった同じ日、入管から不許可を突きつけられた男性との面談があった。飛行機で地方から上京してきた男性は、不許可になって状況を認識したと思われ、4時間も話込んだ。こういう場合は、男性側も真剣に私の話を聞いて頂ける。結局、入管の現実を知っているかどうかである。
私も人間なので、怒られるくらいなら言いたくなくなる。以上をまとめると、入管の厳しさを分かっていない人には言っても無駄なので、初めから、何も言わないほうがよい、そのほうが私も怒られずに済むので、疲れない、ということになる。電話での応対でも、厳しさを分かっている人には、懇切丁寧に回答するが、何も分かっていない人には、本当のことを言っても怒るので、何も言わないほうがよい、ということにならざるを得ない。読者諸賢はどうお考えになるか。同業者の行政書士の先生方は同じような経験があるのではないか。
ただ、私にも思う点はある。それは、こういう仕事をしていると、警察官や入管のような視点で見るようになってしまうという点である。こういう視点は実は必要でもある。警察や入管の視点で見ることができて初めて、入管がうなずく資料を生成できるからである。ところが、この種の視点は平和ボケした普通の日本人の常識からかけ離れている場合があるのである。しかし、入管専門の行政書士の仕事は自衛手段として、そういう厳しい視点で見なければ仕事はできない。脇の甘い先生がどうなっているのか、昨今の事件を見れば分かるであろう。
:09月08日、今日は 夕方から夜にかけてよい知らせが二件入ってきた。一件は、出頭申告中の案件につき、今日、子どもが生まれたというもの。母子ともに元気とのことで、わざわざ知らせて頂いた。母子の健康が第一である。Sさん、おめでとう。余談だが、この事案のF国大使館の杓子定規な扱い、大使館職員の国際私法の無知識さに閉口ものである。詮索だが、日本人と結婚しようとするその人に対する嫌がらせなのではないかとすら思える。しかし、別に大使館など協力してくれなくとも、こちらはプロであるから、いくらでも一方的に在留可能な状態にせしめる自信がある。C国と同じようにするだけのことである。
もう一件は、もう1年半以上もお付き合いしている日配のケース。ついに、成田空港での上陸許可(日配)まで辿りついたというもの。このケースは私も飛び上がって喜びたいくらいの事案で、上特の事案でもこれ以上はないだろうという難度の高いもの。実際のところ、一回でいけるとは思わなかった。査証拒否や上陸拒否も想定していて、最後まで、私は油断していなかった。前例もなく、裁判まで覚悟していたのだが。忍耐の認定申請、想定外の質問をされた査証申請、最後の上陸申請、各々の段階で万全の準備を凝らした。成田空港で抱き合って喜んでいる二人と子ども(ここには書けないが、非常に特種な法的地位。)が目に浮かぶ。 成田空港は美しい。夜の成田空港を出て、二人と子どもは成田エクスプレスに乗るであろうか。車窓から流れる景色をみて何を思うであろうか。証拠の重みは国をも動かした。二人が家に帰ると、日本人側の奥さんの母親は涙を流すに違いない。以前、私がご自宅を訪問した際、帰る際に、そのお母様に玄関先で両手をついて御願いされてしまったが、よい結果になって本当によかった。行政書士の仕事でもこのケースほど「人を助けた」と思える事案は多くはない。実際、私がそれを「指摘」しなければ、二人は、日本へ戻ることはなかったであろう。Aさん、Hさん、それから、お父様、お母様、ご家族の皆さん、おめでとう御座います(今度は頑張ってくださいね。)。
・・・ただし、こうした出来事に併行して、結婚している夫婦につき、日配の認定も短期査証も両方拒否され、それが原因で苦しんでいる夫婦がいることも忘れてはならない。色々な経験をする専門家ならではの複雑な心境である。
蛇足であるが、行政書士は成田(と牛久)へ行って初めて一人前になるのではないか。なぜなら、成田支局等は相当手馴れてこないと、訪問する機会などないからである。ちなみに最近、出来たばかりの芝山千代田の分庁舎へも行った。第二審判部門は入って1階の右である。おそらく行政書士を含めた士業全体で初めて訪問した者であろう。人流232号の42頁に特報として運用開始と紹介されているが、この号の前の8月中旬に訪問した。
:行政書士と医師の「ガン告知」の類似点。
ダメなケースをダメだとはっきり言うと、ショックのあまり、それを否定したいという心理が働くようである。以前、ある法律事務所のブログで同じような話が書いてあった。相談者にダメだとはっきり言ったところ、何と、相手は法律家の言うことを否定しようとしたというのであった。
行政書士事務所でも、クライアントに耳障りのいいことだけを言う事務所がある。何でも「できるできる」、「大丈夫大丈夫」と言う事務所。そういう事務所に電話された後に、当事務所に電話されると、はなはだ迷惑である。何でも「できるできる」、「大丈夫大丈夫」と言っていてダメだったらどうするつもりなのか。実績のある事務所ほど入管の怖さを知っている。法務大臣の判断にせよ、中村正三郎法務大臣不許可濫発事件を挙げるまでもなく、ブレはある。ゆえに、何でも「できるできる」、「大丈夫大丈夫」と言うことはあり得ない。どちらかと言うと、厳し目に回答する。医師のガン告知のように、知らないまま、最後(不許可とか強制送還とか)を迎えるほうが幸せなのであろうか。しかし、ガンと違うのは、強制送還等された場合、ガンのように死亡するわけではないため、その後どうするのかという問題が生じることである。実際には結局のところ、半永久的に戻ることがなくなったり、カップルの場合、それで破綻してしまうケースが多い。ワタシ的には、はっきり言ったところ、「はっきり言って頂いて有難う御座います。先生が初めてです。」と感謝されたこともあるが、その逆もある。これはまさに医師のジレンマと同じではないか。そういえば、この前クライアントに開業医師の方がお見えになり、そんなような話をしたのであった。最後を迎えなければ相談に来ないという点も共通で、二人して深くうなづいてしまった。
:日本のアウシュビッツ「牛久」からの解放
入ると二度と出られないということで怖れられる牛久。最高レベルの証拠資料を用意し、本日、恐るべき「強制収容所」からの人権救済を達成した。解放後、病院で涙を流しながら抱き合う夫婦が目に浮かぶ(私の場合、こういう話ばかり。)。牛久の場合、保証金の納付は、車で20分ほどの、龍ヶ崎市の銀行まで行くという。ゆえに、納付の際は、車で行くようにしたほうがよいであろう。
:公にされていないが、実は外国人への差別は、行政では、密かに行われているのが本当のところである。そもそも、法令でも最高裁判例でも、外国人は差別されている。市民は平等だと学校で習ったと思う。しかしそれは違う。あなたの愛する彼女や彼は、「犬か猫」のように扱われる。これは本当のことである。
:クリックで救える命があるというフレーズを思い出して、考えた。私たち行政書士は、申請で人の命を救うことがある。「申請で救える命がある」。本当にそうではないか。実際、ベテランの入管専門行政書士なら、何人も救っていると思う。というのは、たとえば、難民認定申請などは、入管が言わない場合があり、私などは、放置しておけば、国に強制送還されて、殺されていた可能性のある人を救ったこともある。見た目はただの収容先行案件で、一見しただけではそういう事情があるとは分からなかった。私が指摘するまで誰も指摘しなかった。
行政書士会はもっと、そういう社会貢献的な面をアピールするべきではなかろうか。社会問題についてももっと発言するべきではないか。「○○行政書士会声明」などとして発表すればよいのに。とても不思議である。たとえば、難民認定申請などは、行政書士で相談を受けた人は、他士業よりも多いかもしれない。であれば、難民関係の法改正で声明を出すとか考えてもよいのに。会費の問題であろうか。会費が安すぎるから、事務局の予算が足りないのかもしれない。他の士業と比較すると明らかである。無論、一因に過ぎまいが。
:財界系シンクタンクの外国人受け入れ問題検討に係る委員会委員就任の件
掲題の件、当職、委員に就任している。初回の会合に行った。事前に聞いていたのは、委員は合計、18人ほどで、その大半が東証一部上場企業の社長や会長さんらであるということであった。私が呼ばれたのは、入管の現場のナマの実態を知りたいという、シンクタンク側の意向かと思われる。入管の懇談会等でもNPO団体等から招聘したりしているので、そういう発想かと。
私の左隣の席が大手家電メーカー会長の席、右隣が大手資格学校の社長の席、テーブルはさんで向かいが、大手派遣会社社長の席、その隣が、大手商社会長の席。
このシンクタンクは経団連、経済同友会、日本商工会議所等の、財界団体の協賛で構成されており、「参与」には、各省庁の「事務次官」(法務事務次官や外務事務次官も含む)もなり、上場企業の社長等が理事になっている、歴史のあるシンクタンクである。大手家電メーカー会長と、大手商社会長が代理人を立てた以外は、全員自らお越しになった(数名欠席あり)。場所は広尾にあるシンクタンクの会議室で、座談会形式で行われる。六本木ヒルズが目前であった。
初日ということもあり、委員長(最大手の人材関連会社出身)、主査(大学教授)と各委員の紹介と意見陳述という順番になり、総論的な話であった。以下は各企業の会長、社長さんらの意見である。
大手外資系保険会社の最高顧問の方が、外資系ゆえに、外国人に対する差別など、社内では基本的には存在しない、と言われた一方、大手家具販売会社社長は、社内での差別やいじめの問題を強調されていた。また、この差別の問題は、大手派遣会社社長の方も同旨で、差別用語を言われて会社をやめる人もいるということであった。差別の問題については、会社間の差異も大きいと思われるが、ほとんどの日本の会社で存在するであろう。他方、大手メーカーの会長の代理で来られた同社の人事担当者の方は、製造現場は多くが海外にもう出てしまっているので、案外、単純労働者は要らないのだという話であった。次に、日本を代表する「遊園地」の会長は、ウチでは興業が多いのだということであった。経営コンサル会社の方は、製造現場では不法就労ブローカーが横行していることを示唆された。大手資格試験学校の社長は、中国人には実に優秀な人がいる、そういう人と日本のニートだかフリーターだかを闘わせたら、日本人の若いのは消し飛んでしまうであろう、というような話であった。大手製紙会社の会長は、現状の実態を正確に認識することから始めるべきであること、単純労働者であれ、高度人材であれ、外国人を受け入れする場合には、彼ら自身も満足できる社会システムの構築が必要であるとの見解であった。また、もちろん、大企業だけではなく、中小企業関連団体の代表の方もお越しになって、意見を陳述された。また、本日の議論の終盤では、外国人を労働力としてだけみるのではなく、一人の労働者に必然的に付随する、家族の問題を有機的に解決しなければならない(子弟の教育等)、そして、外国人の受け入れによって、日本人も支えられる側面があるのである、という話があった。
なお、当方は、業務経験上、入管行政のコストの問題や、民間活用の問題、虚偽申請等の審査の実態の問題、予見可能性や行政の透明性、外務省の査証審査の問題、といった、どちらかというと、大企業の社長や会長さんたちとは、全く違う視点を申し上げた。まあ、視点が違うので、呼ばれる価値があるのであろう。
政府の委員会のようなものであるが、違うのは、民間が中心になった委員会、研究会であるということである。同業の行政書士の中には政府の委員会の委員に就任された方もおられる。まとめるのが難しいテーマで、今日はまとまりなかった。なお、社長さん、会長さんらと名刺を直接交換させて頂いた。社長(会長)さんらと会って思ったのは、失業率や、従業員中の外国人の割合等、細かな数字がすぐ出てきて、確かに頭がいい。もっとも、社長(会長)さんによって、名刺を交換するときの腰の低さが違って興味深かった(ほとんどの方は普通か、むしろ低かったが。)。
さて、参画する以上、何か社会に貢献できる議論をするべきで、それを未来の日本につなげたい。次回以降は毎回、講師を招聘する予定で、私は毎回出席する。次回は現職の入管職員か、又は、私の推薦で、元東京入管局長を呼ぶ可能性がある。それでお話しを聞き、直接質問させて頂くというものである。委員会は毎月1回、約1年間続く予定で、成果は報告書形式で、マスコミにリリースされるようである。固い報告書なので、日経新聞等の固いメディアに載るようである。
あと、前から分かっていたことだが、今日、大手企業の社長さんらと話をして再確認したのは、一部の会社を除き、日本の大手企業でも外国人の正社員の数など小さいのである。案外、入管業務の数など少ないことを指摘しておきたい。
:今日は朝06時に家を出て、そのまま、名古屋入管(丸の内)へ向かった。先週、市役所駅のほう(警備)へ行って、連続して名古屋である。先週のはシングルマザー案件だったせいか、なんと、初回出頭申告でいきなり本格的な調書作成に入り、08時に行ったのに、終わったのは18時であった。東京なら考えがたいのだが・・・。同業と思われる行政書士の方がいらしたが、それよりも遅く一番最後となった。それに比べると、今日のは、認定なので、早い。名古屋入管の認定受理票に「行政書士○○様」というハンコが押されていて、東京と違うので面白い。09時半には終わったので、名古屋駅でソバを食べて、すぐに新幹線に乗り昼ころには東京に戻った。
今日はその後が興味深かった。私は現在、財界系シンクタンクの委員になっているわけであるが、そのシンクタンクの「春季パーティー」に呼ばれていた。行政書士というのは、人にもよるが、あまりこういう会合には行かない人が多い。最初は行くか迷ったが、何事も経験と思って行くことにした。結果は行ってよかった。主に財界(上場企業の社長や顧問とか)の人ばかりであるが、実に多様な人が来ていた。場所は竹橋のKKRホテルの「丹頂の間」。16時30分からであったが、私は、15時30分ころには着いていたので、一階で喫茶店で軽食を取り、15時50分ころに「丹頂の間」へ行ったところ、シンクタンクの職員の方々が受け付けをされていた。案の定、私が一番であった。そこで、一番最初に芳名録に署名をすることになった。筆ペンである。
会場に入ったが、まだ誰も来ていなかったので、シンクタンクの方々と少し委員会の今後の進行について、お話をしているうちに、順次、来場されてきた。話によれば、総勢100人前後の方が来るという。ただ、私が一番若いんじゃないかという気がする。最初はあまり名刺交換する予定はなかったのだが、せっかくなので交換することとした。しかし、2時間で交換するのは限度があり、交換して多少は話をするので、結局13人しか交換できなかった。まず、大手製薬会社の会長の方。次にたまたま隣に座られた、最大手の損保の相談役の方。ネットで調べたら元会長の方であった。次に、たまたま隣に座っておられた財閥系電機メーカーの「相談役」の方。ネットで調べたら元代表取締役の方であった。かなりの年配の方である。次に、何気なく話しかけた方は、大阪大の教授であった。しかも外国人の方だったので、私にとっては非常に身近な方であり(大学関係の外国人のお客さんは珍しくない。)、そのうえ、永住を許可されたばかりだとのことで、話が弾んだ。立食式パーティーであったが、次に、何気に話かけた方は、談合で有名になっている大手ゼネコンの役員の方。日経新聞にその方の紹介記事が載ったとのことで、しきりに読むことを勧めておられた。ちなみに、同じ大学の先輩であった。私のゼミが何だったかを聞かれたので、別府ゼミに途中までいたことと、その別府ゼミの前身が古川ゼミであったことを言うと、「経営学?」と聞いてきたので、驚いた。そんなことまで覚えているとは・・・。学部が違うのに何で大昔の教授の名前まで知っているのであろう。ちなみに、このパーティー、酒も出るので、途中から飲んでいる状態の方と話をすることとなる。
次に医療関係の会社の関係者と交換し、その次に、農林水産省の部長の方と交換した。さらに、次は、「前衆議院議員」の方であった。民主党。東大法卒。米国ハーバード大学大学院修了。むむっ、すごい経歴ですね。しかし、選挙というのは厳しいですね・・・。でも衆議院議員になるというのは相当大変なことではないかと思う。そういえば、そのまんま東知事は私の「後輩」になるわけだが・・・。最近は「斎藤佑樹投手」も。何かと話題が多い大学ではある。
次は、人材教育業の会社の社長と部長(女性)の方。次に、福祉関連の会社の方。たまたま同じ「福祉住環境コーディネーター」の資格を持っていた。外国人の介護福祉士やヘルパーを入れるかどうかの問題について聞いたところ、安易に入れれば、劣悪な労働条件の会社が生き残ってしまうことになって不適切だということであった。そして、次は、同じ委員会で委員になっておられる、とある産業連盟の事務局長の方。その産業は技能実習への移行の多い産業であるので、最近ニュースになった、研修生の不法入国事件について感想を聞いてみたところ、一部の悪質な受け入れ先のせいで、全体が誤解され、迷惑である、とのことであった。そして、次に、大手電機メーカーの参事の方、さらに、シンクタンクの主任研究員の方、と交換した。このシンクタンクは、研究員の方は会員の企業から出向のような形で来られているようである。
こうして、気がついたら18時半になっていた。18時半からはシンクタンクの職員の方らだけで、打ち上げのようなことをするようである。
ところで、米国で駐在員をしていた方の話によれば、米国では、日系企業がビザを手配する場合、ほぼ必ず、現地の法律事務所を通すのだという。それが当たり前で自分でやることなどまず、考えないという。その理由を聞いたところ、現地の法律事務所がたとえば、どこで申請するのがいいか等の細かいことまでビザの情報を持っていて、そういうのが企業活動の死活問題に直結するからだという。この話は実は裏付けを得ている。私は、全く別の機会に米国に20年間程度駐在していた方と話をしたことがあり、彼曰く、米国では、配偶者ビザすら法律事務所を通すのが当たり前だという。その理由は、米国でも偽装結婚が蔓延し、恐ろしく審査が厳しいのだという。試しに自分でグリーンカードを申請した人がいたらしいが、見事に不許可になったとか。日本もそうなっていくであろう。
所感。全く違う分野の人と話が出来て興味深かった。中には、私の話す外国人パブの話を興味深げに聞かれる方もおられた。ついでに「入国管理局の専門家は行政書士なのです。」、と財界の方々にPRしておいた。行政書士会からその功績を讃え、「感謝状」を頂きたいくらいである(冗談です。)。ただ、私は今回は、あまり仕事に結びつけることを考えているわけでない。というのは、既に手が一杯であって、これで新しい仕事等が企業から依頼があっても、対応する余地が小さいからである。また常識というものがあるので、これ以上、料金を高くすることもできない。人を雇ってもっと事務所を大きくすれば?とよく言われるが、方針として、大きくしない方針である。
ところで、次回の委員会は、法務省入国管理局(本省)の総務課の課長の方を招聘するとのこと。私を含めて委員18人を前にして、課長の方に1時間ほどお話頂く予定で、その後、直接、委員から課長の方に対し、質疑応答となる。今から何を質問するのか考えておくこととする。
:シンクタンクでの二回目の会議。今日の講師は法務省入国管理局(本省)の総務課の課長の方である。少人数の座談会形式なので、委員らと一緒に昼食をとられた。ところで、長年、入管業務をやっているが、入管職員から名刺を頂くのは、非常に珍しい。地方入管の審査部門ではまずそういうことはなく、通例、一方的に、こちらから名刺を出すだけである。入管職員の名刺は「ルールを守って国際化」と書かれてあった・・・。加えて、本省のキャリア官僚と直接話をするのも珍しい機会である。第一、行政書士会の申請取り次ぎの研修会でも、お越し頂くのは、地方局の統括等が多い。本省の課長と直接話せて何かトクしたようだった。時間の関係で当方からは、実態調査のあり方等、三つ程度しか質問できなかったが、改善が必要なのと、外国から外国人を受入れする以上、必然的にある種の限界があることは、改めて再確認した次第である。その詳細については、入管の業務を妨害することになるので、WEB上には書けない。ところで、行政書士会は、こういうのを「申請取り次ぎの業務研修」として認めてくれるのであろうか。取り次ぎの研修よりもはるかに深い勉強になったのだが・・・。帰りにシンクタンクの入っている建物の入り口で、送迎の車を待っていたのであろうか、先ほどの総務課課長の方がおられたので、会釈して帰った。経歴を拝見すると、一貫して本省勤務のように見受けられる。2時間の会議が終わったら電話が9件も入っていた。このブログを読むクライアントへのお願いであるが、電話を取れない場合はあるので、ご了承頂きたい。最近この委員会のために、電車の中でも入管政策の資料ばかり読む日々を送っている。次回は、入管政策で有名な大学教授を招聘とのこと。その先生とはあるメディアの記事で一緒に載っていたことがある。
:ところで就労系は所詮は就労目的であるせいか、身分系に比べ、クライアントのマナーが悪い。比べると分かってしまう。人の命や妻子、家族を助けるようなものでもないので(私の場合、そういうものばかり扱っている。)、モチベーションも違うのである。
:シンクタンクでの三回目の会議。今日の会議のまとめ。
講師は、政府の委員会でも影響力の大きい大学教授のI教授。元厚生労働省の官僚の方であるが、受入れに前向きという点で厚労省と意見が違うという。こちらの教授の意見がそのまま政策に採用される可能性がある。
○私は、教授の話がなかなか高度であったことから、そのまま国民に説明したところで、分かってくれるのかと思い、「単に受入れの話をしたところで、一般の国民は職を奪われる等と思うだけであり、国民に分かりやすい説明が必要なので、明快な説明ははないか。」と質問したところ、外国人の受入れ拡大を唱える場合に、現状の受入れ態勢では、受入れ拡大を警戒する一般国民に対し、直接的な説得力のある理由付けは困難、ということだった。オンラインで検索できる在留管理システム、情報の共有、外国人の「権利」だけではなく、現状でなおざりにされている、社会保険、納税、子弟、児童の就学等の「義務」の着実な履行の担保、日本語教育、等の受入れ態勢を整えることが先決。
○とはいえ、現在の外国人の受入れの現状は労働力が絶対的に不足しているというよりも、3K職場を中心に、募集しても日本人は来ないという「ミスマッチ」の必要性に拠るものである。外食、メーカーの工場(最近は販売業までらしい。)等、募集しても来ないという認識から始めるべき。求職者の「職種」に対する選好からもミスマッチが生じている。ミスマッチの主たる要因は「職種」であり、賃金の要因は比較的少ない(厚生労働省発表資料にあり。)。→つまり、賃金を高くすればよいわけではないし、やりたくない仕事を、国民に対し、やれなどという政策を実行するのも困難。ミスマッチの話を聞いて、最低賃金等の労働条件を濫りに上げれば、今度は会社が倒れるという話を思い出した。ちなみに、コンビニで売っているようなおにぎりや弁当等も外国人がいなければ作ることもできなくなっている、という、前に事務所に相談に来られた惣菜メーカーの人事担当者の話も思い出した。人が集まらないので、何かいい方法はないかという相談だった(現状では特に方法なし。)。受入れに反対する場合、誰に弁当を作ってもらっていると思っているのか、という意見もあることになる。
○外国人でも当然ながら、より条件のよい職場を求めるのであり、農業労働等、条件の悪いところでは集まらなくなるという事実にも配慮が要る(例、日系人の職場も固定的ではない。他方、技能実習は固定されている。)。
※私見では、間違いなく、今後、「在留」管理は強化される。それに対し、「管理強化反対!」という意見も出るであろう。しかしながら、強化というよりも、今までがあまりに杜撰だったのであって、行政サービスを提供するうえでも必要であり、また、そうしなければ、一般国民は受入れ自体に同意しない。その結果、日本は活力のない国になる。これは、今後、日本が従来と違った形態で外国人の受入れを行い、日本人だけではなく、外国人も幸せになるために、避けられない道と思われる。
・・・しかし、質問するとしても、一言が限度。講師が1時間近く話されるので、質問時間は30分かそこらしかない。他の委員の質問時間の関係で自分だけ質問するわけにもいかないし。
:議論としてはこうなろう。経済界等は外国人の受け入れ拡大を唱える。→厚労省や労組等は受け入れに反対し、そんなことよりも、国内の高齢者雇用、若年労働者、女性労働者の雇用対策を考えろ、外国人はその後だ、と主張する。→経済界等は、受け入れを問題にしている分野は、既に高齢者雇用、若年労働者、女性労働者の雇用対策は十分にやっている、と主張する(その証拠に、外国人労働者の多い地域では、高齢者や若年労働者、女性労働者の雇用率も高くなっている、とI教授は独自のデータを開陳された。)。つまり、日本の高齢者や若年労働者、女性労働者ではやりたがらない仕事がある。やれるのにやらない、賃金を少々高くしてもやる人間がいない。これ以上賃金を高くしたら、会社は倒産だ、国際競争力のない財やサービスしか作れなくなる。→また、メーカーであれば中国等に工場を作ればいいかもしれないが、介護や看護や外食産業等、海外に工場を作るわけにもゆかず、国内に労働力が必要な産業もある。→後は法律というよりも経済学的な分析の問題となろう。どの政策が経済学的に一番有利かという問題で、入管政策に法律学者ではなく、経済学者のI教授が重用されたのはそのためであろう。
:ある人のキャンセルがいかに他のクライアントに迷惑をかけるかについて。
ある週のある日、既に受任しているクライアントから、明日の午前中、申請できないかという話があった。しかしながら、翌日は、10時からの相談と、18時からの相談とで、二件入っており、午前中に東京入管へ行くのは困難であった。そこで、「既に先約が入っているので。」と回答し、その件は、翌週の月曜日の早朝に行くことにした。ちなみに、そのクライアントの件、永久上陸拒否対象者で、しかも事情により、何としてでも、早く招聘するべきケースであった。しかし、約束は約束、先約があるので、動かすわけにはいかない。
さて、次の日、10時、何と、10時のクライアントの若い女性は無断で、連絡もせずに、来なかった。来ないのはいい。少なくとも私にとっては、1万、2万の金員を頂いても、全く意味はない。しかし、時間ほど大切なものはない。最低でも事前に連絡して欲しい。それから来ない可能性が少しでもあるなら、予約しないで頂きたい。あなたは親から言われなかったのか。「何をやってもいいけども、人様に迷惑をかけることはするな。」と。私などは、同時に40人くらいから依頼されていて、そのほとんどが依頼人の人生に直結する事案である。こういうのがあると、他のクライアントの人生に影響してしまう。
「何をやってもいいけども、人様に迷惑をかけることはするな。」というのは、先日、思春期の子どもを抱えているある日本人女性と話をした際、子育てについて、話題が及んだときの女性の話で、そういう方針で子育てしているのだということだったので、ふと思い浮かんだのである。女性は子育てには苦労しており、息子は「不良小学生」になったが、今は落ち着いているということであった。その息子は再婚の連れ子になる案件で、母の再婚相手(外国人)のために、請願書を書いてくれていた。それがまた、母と義理の父のための、泣ける請願書だったのである。
さて、ある人が予約して無断でキャンセルするようなことがなければ、別の人の申請を早めに出し、ある男性の妻子を1日でも早く呼べたかもしれない。子どもは異国の地で日本に来れないまま、待っている。病気になったりする等の心配もある。・・・実はこのような事例は、こういう仕事をしていると、ほぼ定期的に出くわす場面である。うなづいてしまった先生も多いであろう。「想定のの範囲内」といえばそうであるが。経験上、なるべくこういうものは予約を入れないように努めているのであるが、限度がある。電話口で相手方のモチベーションの強さを確かめる質問をするのはこのためである。こういうことが続くと初診では全部、事務員か使用人が応対し、私(オーナーの行政書士)は対応しないという、どこかの事務所のような対応にならざるを得ない。
同日の18時は既に何回もお越しになっておられるクライアントで、とても誠実な感じのする日本人女性の相談。午前中に頭に来た分、ほっとした。みんなこういう方ばかりであればいいのだが・・・。年間で何百人も面談していると、話しやすい方とそうでない方と随分と違うと思うものである。
話題から外れるが、話しやすい方というのは、一般に営業向きだと思う。前に不動産会社の社長さんが来た。但し、20代の社長で、ものすごく人当たりがいい。前は訪問販売をしていて、驚異的な売上があったという。
今日の夜は、受任している外資系会社の社員さんに英文メールを書いて終わり。この仕事をやっていてよかったと思うのは、私は相談を受ける立場であるが、毎年何百人もの人の話を聞くので、自分も勉強させられる場合が多い。医者だったら、病気の話が中心であろう。
::空港での指紋押捺システムに絡み次のような択一問題を作ってみた。頭の体操にどうぞ。これがスパッと回答できればかなりのレベル。ボツ問もあり。
Q:外国人Aは、過去に出国命令の適用なく、自主出頭で指紋採取のうえ、帰国したが、現在、他人名義の旅券で不法入国し、配偶者の在留資格ないし、永住許可を得ている。この場合で、在留中に事実が発覚したらどうなるか。
A:
肢1 外国人Aは、配偶者の在留資格の場合でも、永住の場合でも、退去強制手続に付されない。
肢2 外国人Aは、配偶者の在留資格の在留資格の場合には、在留資格を失って、退去強制手続に付されるが、永住の場合には、付されない。
肢3 外国人Aは、配偶者の在留資格の在留資格の場合でも、永住の場合でも、在留資格を失って、退去強制手続に付される。この場合、在留資格は将来に向かって取り消される。
肢4 外国人Aは、配偶者の在留資格の在留資格の場合でも、永住の場合でも、在留資格を失って、退去強制手続に付される。この場合、在留資格は遡及的に取り消される。
肢5 外国人Aは、配偶者の在留資格の在留資格の場合でも、永住の場合でも、在留資格を失って、退去強制手続に付される。この場合、在留資格は取り消されるとは限らない。
肢6 該当する回答なし。
Q:外国人Bは、過去に出国命令の適用なく、自主出頭で指紋採取のうえ、帰国したが、その後、母国で合法的の改名のうえ、上陸拒否期間中に、退去強制歴を隠匿のうえ、本人名義の旅券で入国し、配偶者の在留資格ないし、永住許可を得ている。この場合、在留中に事実が発覚したらどうなるか。
A:
肢1 外国人Aと異なり、現在、有効な旅券を持っているから、在留資格は遡及的に取り消されない。
肢2 この場合でも、上陸拒否期間中ではない(7条1項4号)等の、上陸許可条件適合性がなかった以上、取消の対象になるが、退去強制手続には付されない。
肢3 この場合でも、上陸拒否期間中ではない(7条1項4号)等の、上陸許可条件適合性がなかった以上、取消の対象になり、かつ、退去強制手続に付される。
肢4 理論的には取消手続に著手可能であるが、実際には著手されない場合がある一方、取消手続に著手する場合もある。仮に取消手続に著手した場合、取消処分になる場合と、取消しない結果になる場合がある。
肢5 該当する回答なし。
Q:外国人Aは、過去に出国命令の適用なく、自主出頭で指紋採取のうえ、帰国したが、現在、他人名義の旅券で不法入国し、配偶者の在留資格ないし、永住許可を得ている。この場合で、再入国許可を得て出国し、再度戻ってきたときに、空港の指紋照合で、事実が発覚したらどうなるか。
A:
肢1 外国人Aは、退去命令に付される。
肢2 外国人Aは、退去強制に付される。
肢3 外国人Aは、仮上陸許可に付される。
肢4 外国人Aは、上陸特別許可に付される。
肢5 外国人Aは、在留特別許可に付される。
肢6 自動化ゲートのための指紋を登録することに成功した場合には入国できる。
肢7 自動化ゲートのための指紋を登録しても、そこでは指紋照合していないので、入国との可否と関係がない。
肢8 該当する回答なし。
Q:外国人Bは、過去に出国命令の適用なく、自主出頭で指紋採取のうえ、帰国したが、その後、母国で合法的の改名のうえ、上陸拒否期間中に、退去強制歴を隠匿のうえ、本人名義の旅券で入国し、配偶者の在留資格ないし、永住許可を得ている。この場合で、再入国許可を得て出国し、再度戻ってきたときに、空港の指紋照合で、事実が発覚したらどうなるか。
A:
肢1 外国人Aと異なり、現在、有効な旅券を持っているから、退去強制手続に付されることはない。
肢2 外国人Aと異なり、現在、有効な旅券を持っているが、退去強制手続に付されることはある。その一方、退去命令になることはない。
肢3 外国人Aと異なり、現在、有効な旅券を持っているが、退去強制手続に付されることはある。その一方、退去命令になることもある。しかし、在留資格が取り消されることはない。
肢4 外国人Aと異なり、現在、有効な旅券を持っているが、退去強制手続に付されることはある。その一方、退去命令になることもある。また、在留資格が取り消されることもある。
肢5 該当する回答なし。
Q:外国人Cは、過去に出国命令の適用なく、自主出頭で指紋採取のうえ、帰国したが、その際、他人になりすましして帰国した。その後、母国で正規の本人名義の旅券を取得し、上陸拒否期間中に、退去強制歴を隠匿のうえ、本人名義の旅券で入国し、配偶者の在留資格ないし、永住許可を得ている。この場合で、再入国許可を得て出国し、再度戻ってきたときに、空港の指紋照合で、事実が発覚したらどうなるか。
肢1 外国人Aと同じである。
肢2 外国人Bと同じである。
肢3 外国人ABとも異なる。
肢4 該当する回答なし。
Q:上記の各々の設問の事例で、刑事法上の犯罪に該当するのはどの事例か。
A:
肢1 外国人A
肢2 外国人B
肢3 外国人C
肢4 外国人AとC
肢5 全員
肢6 該当する回答なし
Q:上記の各々の設問の事例で、入国管理局が警察に告発し、外国人が逮捕されるのはどの事例か。
A:
肢1 外国人A
肢2 外国人B
肢3 外国人C
肢4 外国人AとC
肢5 全員
肢6 該当する回答なし
Q:上記の各々の設問の事例で、入国管理局が警察に告発し、外国人が逮捕され、かつ起訴されるのはどの事例か。
A:
肢1 外国人A
肢2 外国人B
肢3 外国人C
肢4 外国人AとC
肢5 全員
肢6 該当する回答なし
Q:在留資格を取り消す場合、どこで取り消すか。
A:
肢1 空港支局
肢2 東京入管等の地方入管
肢3 最寄りの出張所
肢4 本省の入国在留課
肢5 在外公館
Q:原始的瑕疵に因り在留資格を遡及的に取り消した場合、物理的に収容するか。一般論で答えよ。
A:
肢1 在留期限を徒過した場合と同様に収容する。
肢2 在留期限を徒過した場合と同様に収容しない。
肢3 在留期限を徒過した場合と異なり収容する。
肢4 在留期限を徒過した場合と異なり収容しない。
肢5 該当する回答なし
:退去強制可能な資格外活動とは何か。
各社新聞報道によれば、東京地裁の判断で「エステ店」での就労が退去強制可能な資格外活動に該当しないとの判断が示されている。曰く、「判決で定塚誠裁判長は、女性の勤務時間には報酬のない待機時間が多く、実際に接客した時間は最大でも週27.75時間だったと指摘。さらに、女性が待機時間中にも宿題をしていたことや、大学のゼミの出席率が100%だったことなどを挙げ、「エステ店での就労活動が留学の特段の支障にはなっていない」と述べ、帰国させられる理由はないと結論づけた。 」(朝日新聞。)、という。1週間に「27時間」も「接客」したという。個別の事情は定かではないのだが、性感マッサージ店での就労が退去強制可能な資格外活動に該当しないのならば、外国人パブで「週に27時間」接客しても、退去強制は不可能になるようにも思える。もっとも、この案件は留学での資格外活動許可(週に28時間が限度。)を得ていた事例なのである。しかし、性感マッサージ店での就労はそもそも範囲外。事実認定が問題で、争点が規定時間内だったかどうかになっている模様である。いずれにせよ、この判断だと、留学で資格外活動で摘発できる事例は限定される。
(追記。この事件の別の被害者と思われる案件を受任した。どうやら、退去強制可能な事案ではなかった模様。)
:国際結婚仲介業者と行政書士
私はカップルをメインにしている行政書士なわけであるが、似たような職種に「国際結婚仲介業者」というものがある。同じくカップルを扱うが、大きな差異がある。それは、私が扱うケースは大半が「恋愛結婚」であるということ(ときどきお見合いの事案も扱う。)。他方、「国際結婚仲介業者」は、当然ながら「お見合い結婚」である。あるとき、ロシア人のお見合い結婚を扱う業者を経由して紹介されたロシア人につき、短期査証を申請したところ、モスクワの日本大使館で、発給拒否をされたという相談があった。私が扱うロシアのケースもほとんどが恋愛結婚パターンであり、見合いは例外である。業者の話によれば、その業者は、パブ・クラブ系の既往歴のある女性は意図的に外して紹介しているのだという。その真意を聞いたら、要は、いざ査証や在留資格を申請する段階で、日本に来れない等のトラブルが生じがちなので、それで原則、紹介対象にしていないのだということであった。ところが、そのようにして、今回も日本へ一回も行ったことのない女性を紹介したのだが、拒否されてしまったという。私が詳細に分析したところ、日本で就労したことのないのは、これは間違いないであろうと言える事案であった。拒否の理由については、このブログでは触れないが、一つ気づいた点がある。それは、根本的に当事者の関係のベースが弱いという部分である。恋愛結婚ベースで招聘するケースがほとんどの私から見ると、お見合い結婚で短期で招聘するような事案は、「査証が拒否されても、しようがないでしょう。」というような話にならない状況の事案が多い。ただ、結婚仲介業者からすれば、当事者の関係がそういう段階に過ぎない場合でも、招聘できないと困るというわけで、その立場は首肯できる。他方、今回の一件についての外務省や法務省の考えも、私のこれまでの様々な取扱い事件に鑑み、分らないわけではない。業者氏の話によれば、こんなひどい目に遭ったのは初めてだという。しかし、私見では、これはたまたま今までがうまく入れていただけなのではないか。たまたま今まで、外務省・法務省が不許可にするだけの口実を与えないような申請資料を出していたから来れていただけで、いったんちょっと問題が生じると、もう、当事者二名のベースが弱いという部分が問題点として噴出してくる。短期滞在の査証を、許可させるのは難しいことがあるが、不許可にはなりやすい。誰かが、外務省と法務省の入管に、「彼らのビザは就労目的だ。」などと嫌がらせでメールや文書で通報し、それに査証のコピーでもついているだけで、たとえそれが客観的には、事実無根であるとしても、不許可になってしまう場合がある。匿名でもいい。たとえば、仮に、在ロシア日本大使館のロシア人職員の中に、日本へ行くカップルを快く思わない者がおり、その職員が匿名で通報しても、不許可になってしまう可能性がある(これは仮定の話であり、そうだと言っているものではないので、念のため。)。驚くべき「疑わしきは不許可」の審査になっているのであった。まあ、今に始まったことではないが。
私は色々な事件で、この「嫌疑だけで不許可にする」ということで本当にいいのか、と疑問を持っているのだが、査証というのは、恐ろしく裁量が広いことになっていて、現状では合法である。
:福岡入管
ある案件で、福岡に出したら、入管から日配の夫に電話が入った。長期拒否者案件だったが、私がやるような実体の立証が完璧な内容の申請で入管から電話が入るのは珍しい(というか、福岡は、東京よりも人手に余剰があるのではないか。同じような現象が前、在特案件でもあった。東京入管なら、「これは家まで見に行くわけがない。」というケースで、わざわざ家まで来られた。)。
さて、聞けば、どうやらいわゆる、夫が全ての事実を妻から聞かされていないというパターンで、入管がそれを告知する類型であった。福岡入管の話は、夫には驚きだったかもしれない。ただ、プロの私は、「またそのパターンか。」ともいうべき類型で想定の範囲内。それはいいとして、以下の話があったという。
福岡入管「それと、この理由書とか、資料、やけにしっかり作っているので、驚いているんですよ。」
・・・それは私が作ったのだが、驚くようなものを作った覚えはない。東京入管でいつも出しているレベルのものである。最近は、東京入管には何も言われない。たぶん驚いてもいないであろう。それで、福岡はなぜ驚く?ただ、以前、広島入管で出したら、窓口の職員に驚かれた覚えはある。思案したが、福岡の管内の行政書士は普段、どういうものを出しているのか?東京は行政書士の競争も激烈なので、レベルも上がってしまう。確かに、私は、東京入管の永住の統括にも「まじめに作っている」などと言われてしまうほどなので、桁外れなのかもしれないが。私の事務所では、他の行政書士に依頼してダメだったので、ウチに来るというケースが結構多い。それで、今まで他の行政書士が作ったという資料をお客さんが持ってくるので、拝見させて頂いたが、今まで、私が作るものよりも、質的にも量的にも上のものは見たことがない。これはおごりではなく、本当にそうなのだからしようがない。
思うのだが、現在、行政書士は二極化してしまっている。確かに、ほとんど時間をかけないで、書類を作成し、「量をこなす」というのは一つの経営方針である。一見、料金が安い他の行政書士の仕事内容をお客さんから教えてもらったら、何のことはない。思いっきり手を抜いて、時間をかけていないだけである。書類をほとんどお客さんに作らせているところすらある。報酬の時給でみたら、私と大差ない。しかし、本来、違反歴のある案件というのは、在特でも上特でも色々と注意が必要だ。理由書なんて、慣れている私が作っても、10時間以上かかる。経験すればするほど、書く量や注意する要注意事項、調査対象項目等が段々増えてきてしまい、そんな簡単に、短時間で、作れるものではなくなった。確かに、「誰がやっても同じ事案」というのはある。そういうものは、私のような、はっきり言って、完璧を期する行政書士でなくてもいいかもしれない。しかし、微妙なケースは、差が出てしまう。妊娠の事案で胎児認知させるのを忘れた行政書士とか(結果は強制送還決定)、留学生の「専ら、明かな」資格外活動で、退去強制手続が進行しているのに、単純に、東京入管で、留学から日配へ「変更申請」だけして(不許可に決まっている。開いた口がふさがらない。)、横浜の警備や審判部門には何も出さない行政書士とか(結果は強制送還決定)、薬物事犯で執行猶予付の懲役刑を受け、入管が退去強制させる前に判決直後に自主帰国した事案で、「問題なく入国できるでしょう」などと回答して(本当は普通は入れません。)、本人にいきなり成田空港で上陸申請させた法律家を名乗るに値しない人とか(結果は退去命令)、色々と情報が入ってくる。
:資格外活動
入管側敗訴の判決が連続している模様である。広島地裁の判決では、「ホステスの仕事が、学業に悪影響を与えたと認められない」などとし、処分の取り消しを命じた(読売新聞、朝日新聞、中国新聞)。判決で曰く、「原告は当時、法が期待する程度に学問を行っていた」、「就労は学業に支障を及ぼすものではない」、「女性は平均的な学生と同等か、それ以上に学問をしていた。教育は、ホステスとは独立した重要な価値があった」、「アルバイトが学業に悪影響を与えた証拠はなく、アルバイトを理由とした強制退去処分は違法」、とのことである。しかし、これが特異な裁判官の見解に過ぎないならいざ知らず、調べたら、最近は、こういう判決があちこちで相次いでいる。
裁判官からすれば、「専ら」「明らかに」という文言は恐ろしくキツイ縛りの文言なのである。法令の文言の感覚からすると、非常に厳しい、限定された場合しか、退去強制可能な資格外活動にはならない。入管は、「更新を不許可にできる資格外活動」と「退去強制可能な資格外活動」を峻別しなければならず、「退去強制可能な資格外活動」の場合は多くないことになる。また、本件はホステスの就労だった点に注意しよう。これは元々、資格外活動許可で許可した就労ではない。つまり、週28時間以内であろうがなかろうが、やっただけで不法就労である。席に座って接客した瞬間に現認で不法就労である。ところが、裁判所は、退去強制は不可能だとしたのである。つまり、更新を不許可にすれば足りると考えたともいえる(これは別問題だが。)。
では、この判決の法理を「興行」に当てはめてみよう。「ホステスの仕事が、興行に悪影響を与えたと認められない」、「原告は当時、法が期待する程度に興行を行っていた」、「ホステスは興行に支障を及ぼすものではない」、「女性は平均的な舞踏家と同等か、それ以上に舞踊をしていた。舞踊は、ホステスとは独立した重要な価値があった」、「ホステスが舞踊に悪影響を与えた証拠はなく、ホステスを理由とした強制退去処分は違法」、・・・。一見するとそうなるように思うが?いずれにせよ、興行主は、興行自体はしっかりやるべきだ。さもないと、解釈の余地もない。
興行の問題については、経済学的に考えるべきだ。パチンコ産業やゲーム産業、公営カジノ等のエンタメ産業やタバコ産業が存立を許されるとすれば、経済効果があるからである。アメリカの「禁酒法」の如く絶対に禁止した場合と、認容した場合との厳密な経済効果や社会に与える影響を、学問的に比較しているとは思えない。
読売新聞の人生相談でこういうのを見た。「20年以上ホステス続ける母」を恥ずかしいと思う日本人女性の相談である。これに対し、作家の立松 和平氏は、「職業はすべて貴いものです。」と諭し、「ホステスをしながら、3人の子どもを育ててきた」、「みんな自分の仕事を一生懸命にやっています。」、「お母さんは立派な人だ」と言うのである。
:札幌入管でドイツ人を入国拒否
報道によれば、「札幌入管小樽港出張所は〈1〉滞在日程が決まっていない〈2〉帰りのチケットを所持していない—-などの理由から、入国目的などを虚偽申請した疑いがあると判断した」結果、ドイツ人男性を退去命令に処したということであった(読売新聞等)。サミットの関係であるというが、政治的なことは論じるつもりはないので、コメントしない。ただ、以下のことを指摘しておこう。男性は、入国拒否に関し、どこかの「法律家」に依頼した模様である。その法律家は、お気の毒なことであった。おそらく、専門外の方であって、よく分らないまま引き受けたと推定される。なぜか。まず、こういう場面で、「札幌入管小樽港出張所」の近辺に、こういう問題に詳しい法律家なんてまずいない。東京でも、まともなのは、数えるほどしかいないんだから。次に、この案件は、もう法律家が引き受ける段階で、結論は決まっているのである。空港・海港の上陸審査の仕組みを勉強し、経験すれば分ることである。このドイツ人の方は、おそらくプロの入管職員の尋問に対し、不適切な回答をしてしまっている。「やっぱりあれは言わなかったことにして下さい。」と言うのは困難である。これゆえに、こういう案件は、私の場合、空港に来て、上陸審判に付されてから、騒ぐような、準備というものを考えていないケースは、初めから引き受けない。負けは見えているからである。だいたい、上陸審判は時間もないので、準備する時間もない。こういうのは、入国前から準備するのが当たり前である。最後に、〈1〉滞在日程が決まっていない〈2〉帰りのチケットを所持していない、というのは、入国拒否する理由になる。これも国際的な、旅行業界や入国審査の常識であろう?普通はそういうことは問題にされないではないか、と思った方は誤解している。本来は、これらを問うのが当たり前であって、だからこそ、査証免除されていない国の場合、招聘理由書とか滞在日程表を書いて査証申請するのである。もっといえば、ドイツ人は査証免除されているが、上陸許可は免除されていない。それから、観光目的と、サミット関連の調査は違うから、目的虚偽で、『外国人入国記録カード』の目的欄や、上陸審判の質問書に虚偽を書いたものとして、あるいは、「虚偽ではないことの立証がない」ものとして(立証責任は申請する外国人側にある。)、入国拒否されてもやむを得ない場合はあるだろう。このことは、観光目的と恋人訪問や親族訪問の目的は違うこととパラレルである。マスコミのみなさんももっと勉強して下さい。そういうわけで、最近、私はTBSとか毎日放送とか、たくさんテレビの取材が来る。最後に言いたいのは、この案件よりももっと大変なケースを私はたくさん抱えている。
:外国人パブの経営者や同業者まで相談に来る
ある日のことであった。空港での指紋チェックにより、奥さんが過去に不法滞在していた事態が、入管にばれることになる、どうしたらいいのか、という相談があった。最初は、普通の一般の方かと思っていた。しかし、私はプロなので、何となくだが、その相談者の男性には、素人らしからぬものを感じていた。そこで、1時間ほど話をしたのち、何気なく、「ところで、ご主人は何の仕事をされているのですか?」と聞いてみると、外国人パブの経営者だとのこと。「あーそうだったんですか。」となり、私はプロなら話が早いとばかりに、プロにしか分らないようなレベルの高い話をした。
ただ、どうも解せない。なぜ、外国人パブを経営しているような人が、わざわざ私に相談に来る?プロならば、自分の奥さんのことなんて、プロの知識で対応可能であろう。そう思って、私は、その方に、「なぜ?」と聞いてみた。答えは以下だった。男性曰く、「店の経営とか、他人のことならいいんですよ。たとえば、外国人を短期で呼ぶとか、興行で呼ぶとかにしたって、一か八かでやればいいんです。ダメならダメでいいんです。ところが、自分の妻のことになると、ダメです。一か八かじゃ困るんですよ。完璧を期したいんです。」、と。それで、プロだからこそプロのレベルの違いが分るので、ウチに相談に来られたのだということであった。
この人は錦糸町のほか、関東近県に手広く店舗を持っており、それも20年以上その世界で生きてきた人だ。おそらく、知識は豊富なはずである。しかし、それゆえに、彼は入管の厳しい現実を知っている。酸いも甘いも知っている。あるときは、甘く。あるときは、厳しく。入管に翻弄されてきた歴史を知っている。知っているがゆえに、知れば知るほど、軽々しく考えることができなくなるのである。これが全くの素人だと、入管の歴史も、過去に起きた膨大な事件も、裁判も、強制送還も、本当に何も知らないので、安易に考えてしまう傾向にある。かくして一か八かの危険な橋を渡っていることに気づいていない人が多い。
確かに外国人パブの経営者と、私のようなカップル専門の入管コンサルタントと比べると、仕事に必要な知識や情報は少し違う。少しと言ってもその差異は大きいのであろう。それに私のような仕事をしていると、同時期に話題になる事件について、相談される相談者が複数いるので、同時進行で色々な情報が入ってくる。指紋システムでの動向も然りである。
さて、またある日のこと、また別のある男性が血相を変えて電話してきた。聞けば、奥さんが入管に監禁されているという。すぐに事務所に呼んだところ、男性から、とある特殊文字とローマ字のミックスで書かれた日本語を見せられた。これは監禁されている外国人妻が書いたものだという。これを判読するには、日本語とその特殊文字の知識がいる。たまたま私は、長年の業務経験からその特殊文字を読めるようになってしまっていたので、読んでみたら、要旨、その昔、奥さんは日本に不法入国し、空港で発覚して強制送還されたところ、その後、合法的に改名後、その経歴を隠匿して、日本で在留していたが、今般、空港の指紋チェックでバレた、という話であった。男性はそんな経緯があったとは全く知らなかった。ともかく、この案件については、当方の適切な助言で解決に至った。その後、とあるきっかけにより、相談されていた男性は、私と同じ法律の士業であり、しかも、ホームページ上に「ビザ申請」を業務として扱うと表示している方であったと判明した。但し、彼は「同業者」だということを最後まで私には言わなかった。いや、それどころか、私には別の職業だと語っていた。これは言いにくかったのかもしれない。同業なので。しかし、なぜ自分のホームページ上に「ビザ申請」を業務として扱うと表示しているのに、私に相談に来るのであろうか。おそらく、こういう事態をご経験したことがないのであろう。ホームページ上に「ビザ申請」を業務として扱うと表示している行政書士のほとんどは実際には、ほとんどそれを扱っていない。100人の行政書士が、「私はビザをやります。」と表示していた場合、本当に日常的に取り組んでいる専業者は、推計2~3人だ、という恐ろしい実態がある。みなさんが見るうちのおよそ2~3%しか、本当の意味の専門家(専門医)ではないのである。
この相談者の男性の場合、しかし、一応、同業なので、プロゆえに、自分の奥さんにもしものことがあったら、誰に相談しようか、決めていたに違いない。でなければ、空港で入管に監禁されて、すぐウチに電話してくるはずもない。これは要するに医者と同じである。医者も自分が病気になったら、どの医者に相談するか、決めているという。
かくして、玄人が来る事務所になりつつある。他方、相変わらず、入管と縁もゆかりもない一般の方には、こういう入管コンサルタントの能力や価値の差はよく分らないようである。どの事務所を選ぶか、迷うようであれば、一度、近所の行政書士事務所にでも行って相談して、どの事務所がいいか、選んでもらったらどうであろうか?ときどき、ウチの事務所には、近所の税理士事務所とか、司法書士事務所、果ては弁護士事務所にて、どの事務所がいいか選んでもらったというお客さんもお越しになる。法律の全くの素人が選ぶよりは選別眼は確かであるから、あなたがいいと思う複数の候補となる、事務所のホームページを近所の行政書士事務所、税理士事務所とか、司法書士事務所等にて、見てもらって、選んでもらうとよいと思われる。
また、ある日、妊娠されたお嬢さんを連れたそのお父様がお越しになった。聞けば、彼氏(外国人)との結婚手続自体がどうしても進まないという。M国である。M国は中国やフィリピン等と全く違う難しさがある。昔、北九州にまで行って、M国の事案を処理した覚えがある。そのときの奥さんは、別の法律家に相談したが、全く、らちがあかないので、東京の私にまで相談に来た。その奥さんは、結婚できないなら、彼氏に悪いので、別れるという覚悟まで決めていたという。しかし、1年以上、どうやっても結婚できなかった。私は一計を講じ、法の網の盲点を見抜いて、合法的対応策を考えた。そのときの奥さんには、言葉で言い表せないほどに感謝された。
「何とか娘をよろしくお願いします。」。娘さんの父親にそう言われた私は、北九州のことを思い出した。最悪の場合、夫婦は引き裂かれてしまうのである。入管は人の人生を変えてしまうのであり、こういうものは、安易に扱うようなシロモノではない。
:教授ら、ネグリ氏来日中止で政府に抗議声明
「イタリア人哲学者アントニオ・ネグリ氏(74)の初来日が中止になった問題で」、「日本政府は、ネグリ氏の来日直前、ビザ申請に加え、入管法上の「特別上陸許可」を出すために、過去に受けた有罪判決が、政治犯罪によるものだとする証拠を書類で示すよう要求。ネグリ氏側は時間的に無理として来日を断念した。」ところ、大学教授らは、「来日中止で「思想的・学問的交流の機会を奪われ」「思想信条・学問の自由が侵された」と抗議。速やかに特別上陸許可を出すよう求めている。」、とのことである(朝日新聞)。
しかし、「同氏は在住するパリの日本大使館に18日、ビザを申請した」のである(朝日新聞)。然るに、日程は20日に上陸する日程だったという。・・・「国家転覆罪で禁固刑が確定した」というのだが、ならば、わずか1日や2日で、審査が間に合うわけがないであろう。ビザを甘く考えすぎなのではないか?抗議する筋合いではないと思う。こんなことで抗議されては、日頃、ロシア人や中国人の奥さんや恋人を呼ぶだけで、苦労している人が納得しないであろう。この件に関しては、私は外務省を理解する。ビザを専門で扱っていると、どうもこういう抗議の考え方は支持できなくなる。なにしろ、外務省は忙しいのである。この人だけ特別扱いすれば、他の案件が遅れてしまう。そうすると、たくさんの人が迷惑する。抗議したい気持ちは分るが、おそらく、ビザ専門のプロ行政書士10人に聞けば、10人全員が「そもそも申請が遅すぎる」と答えるであろう。
日本行きの短期ビザを、プロとして扱うと分るが、短期ビザは案外、奥が深い。デリケートな審査で、ちょっとでも疑問を持たれれば、明白な証拠がなくても、不許可にできる。そのうえ、拒否の理由を説明する必要もない。そこが入管とは違う。これで人生が変わってしまう人も多い。
ところで、考えたが、このようなことで抗議できるなら、興行の規制で、「表現の機会を奪われ」「表現の自由(憲法21条)が侵された」と抗議可能であると解されるが、いかがか。
:最近の当事務所の実績(全部は書ききれないので、一部のみ抜粋)
(1)偽装結婚で処罰され、強制送還された事案で、その後、真の愛を日本人夫との間に見つけた女性につき、人権救済を行った。一回で認定許可された。ビザはわずか1日で出た。依頼人は涙を流して喜ばれた。
(2)自分で申請したところ、特に違反歴はなかったが、記載内容が不適切だったために、不許可になった配偶者につき、人権救済を行った。一回で許可された。
(3)不法滞在中に、自分で結婚しようとあちこちを動いていたら、路上で私服警官数名に逮捕された配偶者につき、人権救済を行った。在特許可された。依頼人は言葉を失うほど喜ばれた。
(4)年齢差の大きい夫婦については、不許可になり易いが、慎重に申請内容を構成し、一回で許可された。
(5)自分で申請したところ、特に違反歴はなかったが、過去の出入国歴等、諸般のデータに照らし、申請内容が不適切だったために、不許可になった配偶者につき、人権救済を行った。一回で許可された。依頼人は当事務所に感謝をされた。
:当方では、最近、興行ビザにつき、芸能プロダクションやテレビ局から相談や取材を受けたので、ご参考までに興行ビザのQ&Aの追記を書いておいた。
:公務員の方から「行政に対し、ご意見を」。
私のサイトに興味を持って頂きました公務員の方から「行政に対し、ご意見を」と求められましたので、この場をお借りしてお答え致します。「行政」と申しましても、地方自治体行政、県庁、市区町村や警察行政もあれば、税務行政、入国管理行政等、広汎に渡りますから、一概に言えませんが、専門である入管や外務省の査証事務に限ってコメント致します。特に意見を申し上げる立場にありませんので、雑感です。
一般に色々な団体・個人から入管に対し、批判的な意見がされますので、それらはネット上に山ほど存在し、私が申し上げても意味ないことです。外国人に批判的な層からは、「入管は甘すぎる。外国人はもっと積極的に退去させるべきだ。」、「○○国人の入国審査はもっと厳格にするべきだ。」のような主張がされます。こうした考え方は、一部、最近の入管の実務(厳格化傾向にあり、日本人と結婚していても、どんどん追い出されています。)に反映しているのではと思えます。他方、外国人に好意的な(?)層からは、「入管は外国人の人権を侵害している。」「入管は先例を無視している。」のような主張がされます。
一つ申し上げられますのは、日本人も外国に行けば、そこの国ではただの「外国人」に過ぎませんので、差別されます。たとえば、これはポーランドに長年住んでいる日本人のお話で聞いたことですが、現地では日本人は確実に差別の対象だとの話です。なるべく「差別」が無くなればいいとは思いますが、そういう理想的な国際状況になればいいのでしょうが、またそう努力するべきなのでしょうが、現実にはどこの国も自国の国民を優先します。「外国人」に対し、どういう法的措置を採るのかは、政治判断も必要になります。入管行政は裁判所のような意味合いがあると解されます。裁判所は必ずしも先例に拘束されず、自己の判断で処分できます。そして、こういう事柄は日本だけではなく、国際的にみられる事象です。たとえば、国際結婚して、アメリカに旅行する場合に、外国人側のアメリカビザを拒否されるのはよくある話です。トラウマになる方も多いようです。また、日本人がフィリピンでの出入国で法に触れれば、フィリピンに入れなくなります。フィリピンに奥様がいらしたらどうなるのでしょうか(そしてそのフィリピン人の妻も日本に入れないとしたら?)。
外国人の配偶者を迎えるということは、そういう状況で守ってあげられるのは、自分だけだ、という意味をもちます。どこの国の入管も見た目(窓口)はソフトな場合もありますが、中身まで甘いものではないということです。
話題を転じまして、最近、ある外国人の元留学生の方から相談を受けました。留学生のときに、病気になってしまい、入管に在留期間の更新ないし資格変更を希望したところ、出国準備期間になりました。その出国準備期間から、さらに病気を理由に在留期間の更新ないし資格変更を希望したところ、不許可になって不法残留となり、出国命令で処分されました。ちなみに、この元留学生の方は、病気は事実であり、それ以外何か悪いことをしているわけでありません。実は、この場面でもう1回、出国準備期間を与えるかどうかは、入管の極めて広汎な裁量なのです。
外国人の方々は、在留期限間際に申請することもあります。それで不許可にした場合、既に在留期限を超過している場合、「出国準備期間」を付与されることがありますが、付与しない場合には、不法残留扱いされます。
出国命令は、建前では1年拒否ですが、実際には1年経っても来れるとは限らず、その元留学生の方は、結局、3年くらいは、日本に来れなかったようで(再来日は果たしたが、大変な苦労をされたようです。)、曰く、「こんなことになるとは知らなかった。こうなると分かっていたら絶対にそんなことはしなかった。こんなにも難しいとは思わなかった。」とその方は繰り返し言われます。また「お金に替えられる問題ではないけれども、今回の件で、人生において1000万以上は失った。」とまで言われていました。
また別件のご相談では、ある外国人女性が日本人男性と結婚しましたが、入管で配偶者ビザを拒否されました。理由は、男性に十分な経済力がないという点でした。そのときに女性が言われたのが、「なぜ市役所は、結婚するときに、十分な経済力がない場合には、配偶者ビザが出ないと事前に言ってくれなかったのか。」でした。・・・市役所にはそれを申し上げる知識・能力も義務もないです。十分な経済力を「立証できない」場合には、配偶者ビザが出ないのは、入管法の規定に由来する制限なのであって、外国人と結婚する場合には、日本人側がきちんと法令の文言と解釈運用を知らねばなりません。
私が申し上げたいのは、入国管理局への認識が最初から間違っているのではないかということです。どこの国も外国人を管理する政府機関はその国の中でも特殊なものであって、市役所のような「優しく、助けてくれる」という発想自体がないのです。特に海外経験の乏しい方ですと、市役所のように「優しく、助けてくれる」という発想をもってしまうようです。日本人でも海外経験が豊富で、特に米国やオーストラリア等の在留管理が厳しい国での在留経験のある方は、厳しさを最初から知っているため、特に問題のない案件でも私に相談をされるほど、意識が違うのです。
それで「行政に対し、ご意見を」というテーマで敢えてお答えすれば、最近の私が思っているのは、入管はもっと、「難しい、厳しい、甘くない」と広報するべきではないのかということです。ただこれを強調すると、誰も日本に来なくなることでしょう。これがジレンマです。結局、「見た目(窓口)はソフトな場合もありますが、中身まで甘いものではない」という状況が今後も続くと思われます。
【古川峰光について】
:古川峰光は、地方自治体等の行政から相談された実績も持つほか、頻繁に入管行政(地方支局のほか、法務省本省等。)とコミュニケーションを取っております。また、当方が提案したり、打診した事項が、法務省本省で議題になり、その結果、従来、不透明だった実務が改善された実績もあります。
たとえば、インターナショナルスクールと就学の在留資格の関係につき、法務省本省で新たな判断が示されました。これはこれまで不可能だった在留資格該当性が、私の打診によって実現したのです。先日のことですが、その結果を告げる入国管理局からの電話がありました。
専門外の方には意味がよく分からないかもしれませんが、「在留資格」というのは、一人の子どもや大人の人生や、場合によっては、企業経営の行く末を、決めてしまうものです。
他方、アメリカでは「ロビイスト」という職業があります。これは、議会の力が強いアメリカでは、議会に対して働きかけることが重要なため、それを職業にしているプロがいるのです。では、日本はどうでしょうか。日本は立法権というよりは、行政権が強いのです。これを「行政国家現象」といいます。
■業務・サービス内容
入管行政のカウンセリング。
■カウンセリング:
カウンセリングを承っております。費用等詳しくはお問い合わせ下さい。
こんにちは。古川峰光です。
「古川峰光の入国管理局コンサルティング」は、古川峰光が退去強制や上陸拒否の場面等について解説したサイトです。古川峰光の本業は「ビザ」、つまり「在留資格」で、入管を専門とする事務所に勤務しています。
古川峰光は「外国人の在留資格」等に関し、これまで数千件の相談を受けて来ましたが、最近では、土曜でも日曜でも電話の鳴らない日はなく、日々の相談件数が私で対応できる数を超えてしまい、多くの相談にお応えできなくなりました。どのご相談も真剣かつ深刻で、人生そのものを左右するものが多く、大変申し訳ない思いで一杯です。ここにお詫び申し上げます。
中には何十回も私とコンタクトをとろうとされた方もおられましたが、超多忙なときは、結局お会いできない場合もありました。「私が対応できないことでどうなるのだろう。」とか「どこへ相談をしに行くのだろう。」などと考えて心配になります。
ただ、古川峰光はできる限り、直接お会いして回答したいと考えており、自分の体が複数ない以上、限度があります。
そこで、インターネット上でできる限り、よくある質問を書いたり、自分の経験を書いたり、調査結果を公表して、参考にして戴きたいと考え、このサイトを作成したものです。
ほかにもいくつかのテーマでサイトを作りましたので、参考にされて下さい。
<Profile>
古川 峰光(こがわ みねみつ) 東京都出身
早稲田大学政治経済学部卒業。
ビザや在留資格、入国管理局等の問題につき、数千件の相談を受けてきた。365日毎日相談を受けている。
行政書士・法務大臣承認入国在留審査関係申請取次行政書士・ビザコンサルタント・マンション管理士。現在の保有資格は、行政書士・申請取次行政書士・マンション管理士・宅地建物取引主任者・管理業務主任者・福祉住環境コーディネーター、ビジネス実務法務検定試験3531人中全国1位、その他、語学などの資格を含め、合計15種。東京大学法学部、慶應義塾大学法学部、などの学生、主婦、社会人、企業実務法務担当者、現役官僚(国家1種)等への法律学の教育指導の経験あり。
毎日、入管と関わっており、事務所の本棚は国際結婚と入管関係の本で埋め尽くされている。ネット上のサイトの色々な情報が(善意かもしれないが)ハッキリ言って、全くデタラメなのに心を痛め、しかもそれを見て心配になり、右往左往し、完全に間違う人が多いため、入管関係者が真実を告白。
Q:本業は何をされている人なのですか。
A:こちらの事務所に勤務しております。ちなみに趣味はホームページ製作で、全部入管・ビザ関係ですが、色々な作品を製作しています。
Q:ビザや在留資格、入国管理局等の問題を相談する際、どういう基準で相談相手を選んだらよいですか。
A:現在ではインターネットという便利なものがありますから、ネットで検索し、出て来たサイトの情報量を比べてみて、一般には、豊富な内容のサイトを運営している相談機関がよいでしょう。ビザや在留資格、入国管理局等の問題を扱うと看板を掲げていても、情報量の少ないサイトの場合、プロの目でみると、本業にはしていないところが多いです。たとえば、グーグルやヤフーの広告で表示されるサイトもありますが、業界では、広告で表示される事務所は玉石混交です。全く論外な事務所も広告では表示されてしまいます。あくまで、内容で選んでください。「場所が近いから。」は絶対に止めたほうがよいです。入管業界の場合、都心にある事務所かどうかは関係ありません。なお、よく「近くのを紹介して下さい。」と聞かれるのですが、ご紹介はできないものなのです。
Q:プロと相談する場合、どういう基準で費用を考えたらよいのでしょうか。
A:費用はそのプロの経験と知識で決まると思いますが、移民法務として成熟しているアメリカの移民法律事務所の基準が参考になります。アメリカの場合、30分2万円でも珍しくないのですが、それでは1回相談して5-6万もかかり、いささか敷居が高くなってしまうでしょう。他方、日本の場合、アメリカの基準からすると極端に安いところもありますが、内容は期待できません。どんなに安くても、間違ったことを教えられるのならば、相談するほう(ユーザー)も迷惑です。
なお、このサイトの内容は若干補正のうえ、出版社から本として出版することになりましたので、以下にその本の序文を書いておきます。
「国際結婚手続とオーバーステイ」の序文より
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PROLOGUE はじめに
入国管理局と国際結婚の関係は正確にはほとんど知られていない。たとえば、インターネット上にある情報は多くが誤解に基づく。また、建前に過ぎない情報を、鵜呑みにしているものも多い。そこで筆者は自分で実際に受けた数千件の相談と経験、法的知識に基づき、人権救済の見地からまとめてみた。この本は、知識が無い等、心配する国際結婚夫妻等が多く、その結果、「不法滞在」が減らないことを特に問題視し、公益目的にて作成した趣旨である。また、国際結婚夫妻等が、適切かつ迅速な対応ができず、後手に回ったり、判断を誤った結果、永遠に離れ離れになることのないように、啓発する趣旨もある。
内容は関係者でもあまり知らないような高度なものも含み、レベルを下げないで書いてある側面がある。他の本や、インターネットにあるような情報との違いは、筆者は、社会的に、様々な国際結婚夫妻等から広く相談を受ける公器的な立場にあるため、個人的な狭い経験に留まらず、横断的な広い視点で書ける点である。
この本の内容は、現場的な視点での解説、意外に見落とす盲点等をピックアップし、国際結婚手続全般と、その応用としての「オーバーステイ」を研究し、解説する。インターネットにあるような陳腐な内容は省き、現実に役に立つ内容を中心に構成している。政府は不法滞在者を減らすことを唱導しているが、入管、市区町村、法務局、外務省、外国公館等はブラックボックスのままである。ネットで解説したサイトもちらほら見かけるが、完成度が足りないだけではなく、根本的に誤っている場合が多い。他方、学術書は、現場に即した内容ではない。この本には入管関係者的にも、あまり認識されていない情報まで含む。ただ、私見では、表現の自由の見地も重要であるうえ、口コミで誤った情報がインターネットに流布するよりは、こうしてまともな知識を掲載したほうが「被害者」が減ると解される。なお、本書は「ビザ」を、原則として「在留資格」の意味で記載している。おわりに、本書の出版にあたり、出版社アルクの御担当の方には大変御世話になった。この場をかりて厚く感謝の意を捧げたい。
行政書士 古川 峰光(Kogawa, Minemitsu)
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