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アメリカビザ-米国ビザ-米国国籍

アメリカビザ情報のベーシックをガイダンスしています。日本のイミグレーション戦略コンサルタント兼行政書士の目で、日本ビザと比較している視点は、他にはないものです。

アメリカビザ・総論

アメリカビザ・日米比較法・総論:
アメリカビザには移民ビザと非移民ビザの区別があります。
これは日本ビザでは身分系のビザと非身分系のビザ、の区別に似ていますが、日本では身分系のビザが直ちに永住権を意味するわけではありません。

アメリカへ行かれるかたのためのアメリカビザ情報コーナー

この点、日本人の場合、日米で査証免除取極めがあるため、観光・短期「商用」の目的でしたら基本的にビザは必要ありません(90日間)。
しかし、「就業(就労)」目的等で入国しようとするときは、ビザ(査証)が必要になります。この辺りは日本ビザとほぼ同様といえます。ただ、「商用」や「就業」の解釈は当然違います。
ビザ免除の範囲内か否かは微妙な場合があり、事前に十分確認が必要です。
アメリカは移民国家であり、歴史的に膨大な移民を受け入れてきましたが、近年ではかなり制限的・防御的になっています。ただ、日本の入国管理法と同様に、アメリカの移民法も流動的なものです。政策的考慮が強く働きます。
とはいえ、「抽選」で永住権を認容するような制度は日本では到底考えられないものであり、移民国家として日本との発想の隔たりは大きいです。
アメリカ(米国)でも日本でも移民政策を決める判断要素はほぼ同じであり、国外(海外)からの投資の必要性、企業等における優秀な人材の必要性、家族的結合の保護の必要性、社会に与える影響(許容性)、等の事情を比較衡量して判断されることになります。
非移民ビザの場合、在留期間内に出国するのが原則です。この期限の遵守はアメリカの場合、日本以上に厳しいですから日本人は注意が必要でしょう。
そして、「非移民ビザ」と言っても、その種類は日本ビザ以上に多く、それぞれの活動範囲が決められている点は日本ビザに類似しています。
他方、移民ビザ(永住権)は「グリーンカード」という名称で有名です。これは、今は緑色ではないですが、昔グリーンだったためにそう言われるようになったものです。
永住権者は自由に働けるというのが特徴の一つです。日本の永住権(権利ではないという見解もありますが便宜上そう呼称します。)もその点は同じです。また、永住権だけでは選挙権はないところも同じであり、選挙権を得るには、「市民権」が必要になります(ちなみに日本では市民権という概念は法令・制度上はありません。憲法等の講学上、時々使われる程度です。)。
アメリカビザの発給のシステムも日本のものと似ています(もともと日本の制度自体がアメリカの制度を見本にしているとも言われます。)。たとえば、アメリカ本国の移民局にビザのぺティションの認可を求める制度は、日本の「在留資格認定証明書」制度に類似する面があると解されます。
そして、在外公館で査証申請するのも共通です。
ビザや在留に際して、申請人本人との面接(インタビュー)をどの程度重視するかは、アメリカのほうが大きいです。たとえば、日本では永住申請に際して、「インタビュー」することは原則としてありません。これに対してアメリカでは、少なくとも永住権に関しては入念な面接が原則です。
ただ、それ以外の通常のビザが書面審査が基本なのは共通です。
さらに、ビザが入国の保証書ではないのも共通点です。アメリカでも日本でもビザがあっても入国できないのはありうることです。アメリカビザでよく聞くのは上陸審査時にアメリカへ永住する意思を示唆したために入国できなくなったという話です。日本でも就労については相当過敏に反応しますが、過敏さではアメリカのほうが上のように思います。
そしてビザ(の有効期限)と在留資格(の期限)が別なのも日米ほぼ同様です。
在留資格の変更が可能なのは日米同様で、また在留資格の種類によって変更が困難な場面があるのも同じです。「更新」よりも「変更」のほうが難しいところもそうです。
ただ、同じ「ビザ」という呼称を用いていても多少位置づけは異なります。
移民行政へのアクセスのし易さはアメリカのほうが進んでいると言えるでしょう。たとえば、郵送での申請やオンライン申請ではアメリカのほうがユーザーにとっては利用し易い環境です。これに対し、日本の入管は「本人出頭」をかなり徹底しており、入管でいつも長蛇の列が形成されています。
なお、「虚偽申請」に厳しいのはどこの国も同じです。日本の入管法では明文で、「虚偽のものでな」いことを要件にしています。ですから、本当のことを言えば許可されていたはずの事案でも、申請人がビザのことをよく知らないあまり、つい事実に反することを言い、不許可になることがります。そしていったん虚偽申請者になると以後の全ての申請で不利になるわけです。
ビザ申請での専門家の状況は日米でかなり違います。
たとえば、アメリカのlawyerは日本の法律家・法律士業とは全く制度が違い、異次元の存在です。


アメリカビザ情報のベーシックをガイダンスしています。日本の移民法律家の目で、日本ビザと比較している視点は、他にはないものです。


アメリカビザ・日米比較法・各論:B-1・B-2ビザ

B-1ビザ

短期商用のビザです。ただ、「商用」という語は誤認されることがあります。このビザではアメリカで就業することはできません。たとえば米国企業で働くことはできません。では何ができるのかと申しますと、いわゆる「商談」や「市場調査」、売買等の「契約」、等です。
日米は査証免除プログラムがありますから、90日ならば「商用」でも原則として入国できます。ただ、近時は滞在期限の超過について厳しくなっていることからビザを取得して渡米することも検討に値します。
日本ビザでも同じ趣旨のものに「短期滞在」というビザがあります。ただアメリカのようにB-1、B-2という形で区分されてはおらず、商用・観光・親族訪問等が含まれています。
もっとも、実務的には商用か観光か、等で提出書類が違うなど、扱いは違うと言えます。
B-1ビザでの不法就労はアメリカでも問題とされています。
そのため、このような短期ビザでの出入国を繰り返すと就労の疑念を持たれ、入国の審査が厳しくなることがあります。
この点は日本ビザと同様です。
ですから、審査に問題がありそうなときは就業系のビザを申請することになります。
まとめると、要件の難易度とそのビザの効果は以下になります。
「ビザ免除プログラム」<「B-1ビザ」<「就業ビザ」

B-2ビザ

観光ビザのことですが、日本人はこれも90日を超えない限りビザ免除されますから日本人はそれほど利用しません。ただ、ビザ免除(ビザなし)にせよ、ビザありにせよ、未婚の男性ないし女性は比較的厳しく審査されます。
在留の目的が問題になることもありますので、事前に適法性を確認しておく必要があります。
「観光です。」と言いつつ観光目的と矛盾するものが所持品検査等から出てくれば当然問題になります。
アメリカの入国審査官は(も)「誘導尋問」しますので、うかつな答え方をしないことが大切です。


アメリカビザ・日米比較法・各論:Eビザ

Eビザ:

Eビザは、E-1ビザ・E-2ビザに分かれますが、日本ビザでは「投資経営ビザ」が比較の対象と考えられます。
しかし、日本の投資経営ビザはアメリカのEビザほどは難しくありません。日本では比較的小規模でも投資経営ビザが取得可能です。
とはいえ、両国に共通して、かなりの地位や投資金額が要求されると言え、就業系ビザの中でも困難な部類に属します。
Eビザは場合にもよりますが、数十万米$の規模が必要で、日本の「年間500万円基準」と比べると高額です。日本は海外からの投資を活性化させるために要件を緩和してきたのです。

ただ、このEビザが無くてもアメリカで企業経営はできます。
企業はこのEビザやL-1ビザ、H-1Bビザ等を併せて就労可能な在留資格を得ることになります。

Eビザは、その申請に係る米国企業が50%以上、日本の法人または日本人が所有していることが要件とされます。
制度が違うので単純には比較できませんが、日本の投資経営ビザは、大企業のエグゼクティブ用と自ら経営する場合(会社の所有者)用のものとで区別をしていません。
そのため、日本の投資経営ビザの保有者が会社を辞めて自ら起業する場合に若干の混同を来たしています。
日本の入管実務上、その場合のビザの「流用」はできないのです。ですから、アメリカのようにもう少し細分化したほうが分かり易いかも知れません。
たとえば「投資経営-ア」ビザ・「投資経営-イ」ビザなどがあってもよいはずです。
なお、同一のかたが同時に複数のビザの要件を充足することがあるのは日米同様です。
そのような場合は、各ビザの要件・効果を比較して決めることになります。
ちなみに、日米ともに、就業系ビザは「大卒」が基調になっています。最近の日本では学歴や資格はさほど重視しない傾向もありますが、海外に出るとこれらは意外なほど重視されます。それはこれらが客観的に判断できる基準だからです。


アメリカビザ・日米比較法・各論:Fビザ(F-1ビザ)

Fビザ(F-1ビザ):

Fビザは、いわゆる留学生用のビザです。ただ、日本の学生用ビザというのは「留学ビザ」と「就学ビザ」に分かれていますが、アメリカビザにはその区別はありません。
この種のビザを取るのには基本的にまず、入学先の学校の入学許可が要るというのは日米共通です。
ただ、アメリカの学生ビザは小学生・中学生まで認容されますが、日本の学生用ビザ(留学ビザ+就学ビザ)ではそれは認められていません。つまり家族滞在ビザの扱いになるのが原則になっています。
学生ビザの抱える問題は日米共通です。たとえば、中退や不法就労、オーバーステイです。それゆえ、当該学校の評価や学生本人の成績が審査対象になるのも共通しています。
受け入れる学校側の事情も類似している面があります。たとえば、近時の日本の大学等は、留学生の受け入れがないと経営できないところもありますが、アメリカでも同じような大学が存在するのです。また留学生向けの授業料を高くしているところもあります。
学生の就労の許可については、日本のほうが広範に認めています。
他方、アメリカでは、大学卒業後に1年間、実習のような形で働ける制度(プログラム)がありますが、日本ではそのようなものはありません。つまり、通常の就業系のビザ(在留資格)を取得せねばなりません。
日本のように資格外活動許可を広く認めて学生中から「実習」を認容するのが相当か、それともアメリカのように卒業後の「実習」を認容するのがよいのかは、政策的判断です。
学校を卒業後も在留を続けたい場合、日本では就業系のビザをとるか、婚姻により身分系のビザを取ることが必要です。実習を除けば、この点ではアメリカもほぼ同様です。
学生ビザを取得するポイントにも類似点があります。すなわち、あくまで学業目的ということをはっきりさせること、全過程を修了する意思を明確にすること、在留中の資金面をクリアーすること、修了後の帰国意思を明確にすること、などです。
学生ビザも含め、およそビザの難易度は申請人の出身国で異なります。これは日米共通です。たとえば、偽造パスポートが続出するような国の出身者は極めて厳しく審査されます。
ひどい場合は、元々就労目的で学生ビザを取ること自体が違法なのに、その学生ビザ自体も偽造パスポートや買収パスポートなことがあります。このようなことが続く場合、その国からの申請は正規の留学生でも不許可になるような「あおりを食う」ことはどこの国のイミグレーションでもやむを得ないところです。公文書というのは信用が第一であり、その国の公文書が賄賂・買収で信用されなくなれば、その国からの申請の全てが信用されなくなります。


アメリカビザ・日米比較法・各論:Hビザ(H-1Bビザ)

Hビザ(H-1Bビザ):

H-1Bビザは、就業系の米国ビザの中で最も有名なものの一つです。
会計士・情報処理技術者・建築士・職業法律家等がこれに該当しえます。
日本ビザで言えば、複数のビザに相当するところがあり、この点ではH-1Bビザは包括的だともいえます。たとえば、日本ビザでは、「法律・会計業務」というビザ “Legal/Accounting Services” が特別に用意されており、これには、いわゆる法律関連士業のほぼ全てが含まれていますが、建築士等は入りません(別のカテゴリーです。)。
このビザは大卒が原則になりますが、実務経験で補うことが可能な場合もあります。ただ、実務経験期間の証明はそう簡単ではありません。
他方、新卒者でも取得可能です。この辺りは日本ビザと類似します。
このH-1Bビザに限りませんが、アメリカビザは日本ビザと異なり、「年間発給数」の制限が設けられることがあるのが特徴です。日本の場合には、そういう形の制限はないのです。ですから、年度の途中で発給予定数を越したために以後、ビザは打ち切りになる、というようなことも日本の場合はないことです。
なお、雇用企業が外国企業でもよいのは日米共通です。
そして、”prevailing wage”(相場賃金)という概念が導入されています。要するにあまり安い賃金ではH-1Bビザは出ないのです。
ここは日本ビザでも同じことです。日本の場合、あまりに低賃金での就労を認容すると、それが日本人の労働環境に影響を及ぼすという観点から、「申請人が日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること。」という要件が存在します。
申請から許可にまでかかる期間はアメリカでも、数か月かかります。特に、NYの事件以後はますます遅くなったと、知人のアメリカの移民ロイヤーから聞いています。
そう考えれば日本のイミグレーションがとりわけ遅いとまでは言えないかも知れません。
提出する書類も日米で似通っています。大学の証明書関係や、申請理由書(説明書)のレターを作成・提出する基本的考え方はほぼ同様とみてよいと解されます。


アメリカビザ・日米比較法・各論:Lビザ(L-1ビザ)

Lビザ(L-1ビザ):

L-1ビザは、日本ビザで言えば、「企業内転勤」ビザが該当します。英語訳も同じ”Intracompany Transferee”です。
日系の多国籍企業で利用することが多いビザです。
なお、「-1」とか「-2」は当該ビザのサブカテゴリーを意味します。
たとえば、LビザではL-2ビザはL-1の家族を意味します。この点は日本ビザとは違うカテゴリーになっています。日本ビザでは「家族滞在」(Dependent)ビザが包括的に各種の就業系ビザのディペンダントを扱う形になっています(家族の範囲は当然違います。)。

L-1ビザは役員や管理職、ないし専門知識の保持者に認容されます。
この範囲と要件は日本の企業内転勤ビザとは異なります。日本のそれは「技術ビザ」と「人文国際ビザ」を足したようなビザですが、アメリカのL-1ビザとは少しずれて重なる円のような関係といえるでしょう。
専門知識の保持者”Specialized Knowledge”とは、たとえば、日本のOA機器でアメリカにはない機能のある商品のメンテナンスをできる技術者とか、同様の日本車のエンジニア等のことをいいます。
他方、日本では専門的だと考えられていても、アメリカでそれをできる技術者がありふれているときは、認められないこともあります。
しかし、ビザ申請の許否は申請の説明資料にもよりけりであり、一度不許可になっても、資料を揃えて再申請することは可能です。この点は日本ビザでも同じことが言えます。
L-1ビザは子会社、関連会社ないし支社について認められます。
たとえば、日本の企業がアメリカに子会社を作る場合は、50%以上の株式を所有することが要件になります。
なお、日本ビザでは投資経営ビザが比較的容易で、投資経営ビザの保持者は多いですが、アメリカの場合、Eビザが困難であるため、L-1の取得が多いようです。


アメリカビザ・日米比較法・各論:移民ビザ(グリーンカード・永住権)

移民ビザ(グリーンカード・永住権):

アメリカビザと言えば永住権・グリーンカード、というくらいアメリカの永住権は有名です。
永住権を取得すると、基本的に自由に就業できます。そこは日本と同じです。また、あくまで外国人のままですが、非移民とは別格になります。
ちなみに、日本では永住権を取っても「移民」だとは表現されていません。しかし、日本人配偶者での永住申請などを考えると、実態は「移民」と表現可能です。
さらにアメリカでは永住申請の類型によって「年間あたりの人数制限」があるのが特徴です(元々間口が狭いため、日本にはありません。)。
なお、永住権を取得すると、「帰化」(市民権取得)の申請が可能になります。他方、日本では、永住申請自体が困難なために、帰化申請とは選択的申請の関係になっており、永住権がなくても帰化申請可能です。
この永住権を取得しても日本の年金の受給権を失うことはありません。

アメリカの永住権を日本人が取得する場合は主に以下のパターンが考えられます。
1.親族
2.雇用
3.抽選
4.投資

1.親族

非割り当て移民と割り当て移民に区別されます。

・非割り当て移民(別格最上位。年間の割り当て制限なし。)
a.米国市民の配偶者。
b.米国市民の子ども(但しその子どもは21歳未満が要件。なお、「未満」は21歳を含まない。)。
c.米国市民の親(但しその米国市民は21歳以上が要件。なお、「以上」は21歳を含む。)。

日本人に多い米国市民との婚姻の場合、日本の永住権とは違って、基本的にはすぐに永住権を取得できます。日本では、3年要件などがありますが、それに比べるとはるかに早い段階で取得可能です。
しかし、インタビュー(面接)も要求される点は日本よりも厳しいと言えます。もっとも、日本でも婚姻の実体関係の審査を実地検分することもありえます。
日米ともに「偽装(仮装)婚姻」には注意を払っています。
婚姻関係の実体がないと認容されません。

他方、上記の典型パターンの婚姻関係等以外の親族関係の場合、永住申請自体は可能であっても、長期間待機扱いにされることがあります。どのくらい待たされるかは、その親族関係の内容によります。
これらの優先順位は以下です。

・割り当て移民(年間の割り当て制限あり。)
1.第一優先
米国市民の子どもで未婚かつ21歳以上のとき。
2.第二優先
2-A:永住者の配偶者および21歳未満の子ども。
2-B:永住者の21歳以上の子ども。
3.第三優先
米国市民の子どもで既婚のとき。
4.第四優先
米国市民の兄弟姉妹。

2.雇用

これにも下記のような優先順位があり、扱いを異にします。
日本では優先順位は特に制度化されているわけではありませんが、
実務上の運用では同じような考慮はされています。

職務経験年数等の差異がありますが、ごく簡潔に例示すれば以下です。

第一優先 優れた研究者や多国籍企業の管理職等。
第二優先 修士以上の専門職者やそれ以外でも特に優れている者。
第三優先 学士以上の専門職者や、熟練労働者等。

雇用による場合は、原則として、煩雑な手続きが必要とされます。
まず、職務内容を決め、それについて労働局の承認を得ます。そして、雇用主は、求人広告を行い、米国人労働者に相当する人材が無かったことを証明する必要があります。これは、自国の労働者の職を確保する趣旨です。
日本でももちろん、「なぜ外国人を雇用せねばならないか。」、は常に審査の対象です。しかし、雇用をベースに永住申請するときでも、このような自国国籍者に人材がいないとの証明は要件ではありません。
その代わり、日本では、基本的に10年間以上の在留が要件になっています。
アメリカではさらにこのあと、移民局へぺティション申請します。

3.抽選

この「抽選」の趣旨は移民の多様化を図ることにあると言われています。もし抽選制度が無いと、特定の国の出身者で偏向してしまいます。したがって、アメリカへの移民が多い国には抽選の枠は付与されません。この点、日本はアメリカへの移民は基本的に少ない国です。よって、通常は抽選枠の対象国になっています。
日本も今後のことを考えると、この「抽選制度」の導入も全く考慮の余地もない、とまでは言えないと考えられます。
現状では、特定の国の出身者で偏向しているからです。
抽選の応募の方法は、必要事項を記入のうえ、所定住所へ送付することになります。
なお、当選確率は日本人の場合、宝くじに高額当選するよりもはるかに高い確率です。
当選すると、通知がきます。そして、所定の手続きを済ませて、インタビュー等を行って、永住権を得ることになります。ちなみに、一定の手続きを予め済ませておけば、家族にも永住権が与えられます。

4.投資

日本と同様、アメリカでも国外からの投資は歓迎されます。
そこで、相当高額のインベスターに永住権が付与されるプログラムがあります。基本的には100万US$です。これにより米国経済が活性化し、雇用が創出されることになります。
日本ではこのような制度はありませんが、今後は検討すべきでしょう。


アメリカビザ・日米比較法・各論:市民権・帰化

市民権・帰化:

アメリカ市民権は永住権とは異なります。これは米国国籍の取得を意味します。
国籍があるということは、ほとんどの国では原則として選挙権の付与を意味します。

また、アメリカは「生地主義」であり、出生証明書によって米国人と認定されます。その結果日本人でもかなり二重国籍が多く生じています。ただ、日本の国籍法により調整が要求されます。
なお、日本では今後いくら国際化が進んでも生地主義になることは、ほとんど考えがたいと解されます。

この市民権を取得するために帰化の手続きがあります。
日本との差異は永住権が前提になっている点等です。
アメリカの永住権を取得したかたが親族をより多く呼びたいのであれば、市民権取得をすることになります。
なぜなら永住権のみでは呼び寄せ範囲が狭いからです。
市民権の申請には、その在留状態に応じて一定の期間要件があります。日本では5年が基本になっていますがアメリカでもほぼ同様です。英語の読み書き等の能力も要求されますが、日本でもアメリカでも言語能力が絶対の要件なわけではありません。
日本人の場合、二重国籍の問題を検討しておく必要があります。
アメリカは日本よりもむしろ国家意識の強い国と言ってよいでしょう。ただ、「単一民族による帰属意識」では無いわけです。
アメリカ市民になるということはそのことも念頭に置く必要があります。
なお、帰化の難易度は国により千差万別です。アメリカは帰化し易い部類なのはもちろんです。他方、日本の制度も世界的にみればさほど閉鎖的だとは言えません。アメリカ以外の他国の立法例をみると非常に閉鎖的な鎖国状態の国が多く見られます。世界的にみると、日本の入管や法務局を閉鎖的だと、単純には批判できないのが事実です。

‡記事執筆‡イミグレーション戦略コンサルティングファーム行政書士あさひ新日本 代表 古川 峰光

‡記事執筆‡イミグレーション戦略コンサルティングファーム行政書士あさひ新日本 代表 古川 峰光

自身が国際結婚し、2万人以上の相談、20年以上の実績を有するイミグレーションコンサルタント兼行政書士。イミグレーション戦略の基盤となる渉外戸籍のマネジメント、在留資格のプログラム、来日後のライフステージに応じたサポート、永住権や国籍までの羅針盤になるようなコンサルテーションを実施。さらには、国際家族を形作ることに関わるアドバイザリー業務をコラボレーション。行政書士あさひ新日本は総合的なインバウンド・イミグレーションの真のコンサルティングサービスとしてご提案致します。

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